2016年甲子園(高校野球)地方大会の注目校と展望

第98回全国高校野球選手権大会の地方予選が始まりました。各都道県で優勝候補と呼ばれる高校を中心に伝統校や新興勢力が試合でしのぎを削っています。第98回大会の展望・試合の下馬評・有力選手の評価・トーナメント優勝予想とともに、予選を勝ち抜いた優勝校(甲子園出場校)も一覧にしてまとめました。

北北海道

昨夏代表で春季全道4強の白樺学園を軸に、釧路江南、旭川西、稚内大谷、クラーク国際などが競い合う展開になりそうだ。白樺学園は春季全道で複数の投手を経験させ、北照、駒大苫小牧を相手に1点差で競り勝った。昨夏、2年で甲子園を経験した主将橋本が攻守の要だ。釧路江南は松田が打線の中心、内野陣の守備の出来が鍵を握る。旭川西は好打者の上楽、岸を擁して上位を狙う。稚内大谷は春季全道で札幌第一に2―3で惜敗したが、互角の戦いぶりを見せた。打力の遠軽、好投手がそろう旭川竜谷のほか、帯広工、江陵、経験者が残る昨夏の北大会準優勝の旭川実なども侮れない。

代表校:クラーク国際(初出場)

南北海道

選抜出場の札幌第一、春季全道大会で初優勝した札幌大谷、同準優勝の北海道栄など実力校がそろい、混戦となりそうだ。札幌第一は春、甲子園のマウンドを経験したエースで主将の上出がチームを引っ張る。札幌大谷は春季全道4試合すべてで2桁安打の強力打線が持ち味。北海道栄は左腕エース金沢が注目だが、打線も集中打でたたみかける。昨秋と今春、2季連続で道大会準優勝の雪辱を狙う。春の道大会1勝の函館工の下手投げエース本庄は内外角を丁寧に投げ分ける。昨夏代表の古豪北海、昨春の選抜で準優勝した東海大四から校名変更した東海大札幌、駒大苫小牧なども上位をうかがう。

代表校:北海(2年連続37度目)

青森県

選抜出場の青森山田、八戸学院光星はノーシード。抽選会が注目される。青森山田はエース堀岡、中軸打者の三森と投打の軸が盤石。八戸学院光星は伊藤、益田ら上位打線に力がある。両校とも投手力を底上げできれば夏の連戦に向けて心強い。昨秋の県大会は準優勝で、今春は4強入りした八戸工大一は石戸谷ら力のある打者が並ぶ。春優勝の八戸西は竹本が140キロ超の直球とスライダーで三振を奪える。春準優勝の聖愛は選手層が厚い。昨秋4強の青森北、春4強の五所川原工に加え、大湊も総合力がある。昨夏代表の三沢商は金渕ら経験者の奮起がカギ。十和田工や八戸商にも好投手がいる。

代表校:八戸学院光星(2年ぶり8度目)

秋田県

各チーム投打に磨きがかかっている。夏までに守備の完成度を上げ、失策を少なくできるか。混戦模様の大会だ。24年ぶりに春の県大会を制した能代は長打力のある細田、勝負強い杉渕ら打線に切れ目がない。急成長のエース大塚は、球威のある直球が武器。同大会準優勝の明桜はテンポ良い投球の阪田、変化球主体の山崎ら投手陣が充実しており、安定感がある。打たせて取る大館鳳鳴の左腕佐藤、140キロ超の直球で押す角館の右腕小木田は注目投手。守りが堅い大曲工、春は選手の故障に苦しんだ能代松陽のシード勢に加え、昨夏全国8強の秋田商、昨秋の県大会優勝の秋田も巻き返しを狙う。

代表校:大曲工(初出場)

岩手県

春の県大会2連覇の一関学院、準優勝の花巻東、3位の盛岡大付の私立勢3校が中心となる展開が予想される。一関学院は、春の県大会5試合で13盗塁と足を絡めた攻撃が持ち味。エース左腕大竹の立ち上がりの出来が勝敗の鍵を握る。花巻東は、打線が5投手の継投を援護してきた。春の県大会で打率5割超の3番熊谷ら昨夏の甲子園に出場した3年生が引っ張る。盛岡大付は春の県大会36得点と打線が好調。2本塁打を放った3番植田の長打力も期待できるが、投手力に不安が残る。今春の選抜に出場した釜石や、春の県大会で4強入りした一関工など公立勢も上位をうかがう。

代表校:盛岡大付(2年ぶり9度目)

宮城県

昨秋と今春の東北大会に出場した仙台育英、東陵、東北を各校が追う展開だ。仙台育英は、この春の県大会4試合で27得点、チーム打率3割2分8厘と打線が好調。昨夏の甲子園を経験した瀬戸、西巻の存在が大きい。背番号1を固定できていない投手陣の成長が連覇の鍵となりそうだ。その仙台育英の春の県大会6連覇を阻んだ東陵は、エース八鍬が計37回を投げ、四死球1と抜群の制球力を誇る。主将で捕手の菅原が巧みなリードでもり立てる。東北は、エース渡辺や植木ら主軸の勝負強い打撃が光る。昨秋に続き春県4強の柴田や仙台商、初めてシード権を得た富谷など、好投手を擁する公立校も注目。

代表校:東北(7年ぶり22度目)

山形県

各校に強打者がそろい、混戦模様だ。頭一つリードしているのは昨秋と今春の県大会を制した酒田南。高校通算30本塁打の石垣を筆頭に豊川、長嶺らの長打力が魅力。春の県大会では4割を超すチーム打率で圧倒した。昨夏の甲子園を経験した鶴岡東も奈須や佐藤を軸にパンチ力がある。エース太田や小林ら投手陣の踏ん張りが鍵だ。春の県大会で先発全員安打を達成するなどして準優勝した東海大山形も、打線に切れ目がない。投手力では九里学園。左腕の登藤は緩急の使い分けが武器で、初の甲子園を目指す。好左腕の荒沢を擁する山形中央や山形南などの公立勢も波に乗れば上位に食い込む力はある。

代表校:鶴岡東(2年連続5度目)

福島県

福島大会10連覇を目指す聖光学院が打撃力で一歩リードする。好投手を擁する磐城や光南の公立勢、昨夏準優勝の日大東北など私立の実力校にも注目だ。聖光学院は春の県大会の1試合平均得点が10点に迫る。加納や鈴木駿、瀬川ら長打力のある打者が並ぶ打線は群を抜く。エースの鈴木拓ら投手陣の仕上がりが鍵を握りそうだ。21年ぶりの優勝を狙う磐城は春の県大会で聖光学院を破り、勢いに乗る。エース左腕の戸田は80キロ台の変化球を交えた緩急が持ち味。光南は石井と坂路翔の両左腕に安定感があり、接戦での勝負強さが光る。集中打がある学法石川、堅い守りの日大東北も上位を狙える力がある。

代表校:聖光学院(10年連続13度目)

群馬県

昨秋と今春の県大会決勝にすべて違うチームが勝ち進んでおり、混戦が予想される。今春優勝の前橋育英はエース佐藤ら投手陣が安定しており、関東大会で初優勝した。今春準優勝で3年連続の全国選手権を狙う健大高崎は、甲子園を経験した野手の宮本やエース石毛が残る。今春の選抜大会出場の桐生第一は左の内池、右下手の青木らタイプの違う投手がそろう。昨秋を制した樹徳は、4番嶋田を中心に爆発的な強打を誇る。公立校も上位をうかがう。前橋工のエース八野田は関東大会を経験し、伊勢崎清明の岡本は今春の県大会で健大を八回まで3安打に抑えている。前橋は打線に勢いがある。

代表校:前橋育英(3年ぶり2度目)

茨城県

今春の県大会を制した常総学院がわずかにリード。同準優勝の石岡一、霞ケ浦、水戸商、明秀日立などが挑む。常総学院は直球とスライダーが武器の左腕エース、鈴木昭の出来が鍵を握る。春に経験を積んだ倉田や樫村が控える。県大会の打率が3割3分3厘の打線は切れ目がなく、花輪や宮里の長打力に期待がかかる。今春の関東大会に初出場して勢いに乗る石岡一は、エース高崎を軸とした堅い守りと、少ない好機をものにする粘り強い打線が持ち味。2連覇を狙う霞ケ浦は4番の佐野を中心とした強力な打線に注目だ。水戸商はエースで4番の滝がチームを引っ張る。明秀日立は総合力がある。

代表校:常総学院(3年ぶり16度目)

埼玉県

3季連続の甲子園をねらう花咲徳栄と春の県大会を制した浦和学院が軸。上尾、聖望学園、山村学園などの実力校が挑む。花咲徳栄は制球力が強みの2年生右腕綱脇が急成長。打撃好調の岡崎、勝負強い西川、楠本ら打線に切れ目が無い。エース左腕高橋昂の復活が鍵だ。浦和学院は最速140キロのエース榊原と、攻守に安定する主将諏訪を軸とした基本に忠実な野球が持ち味。守備力の強化が課題だ。山下、渡部など投手層が厚い上尾、打線に力のある聖望学園や春日部東も注目。春の県大会4強の山村学園や昨秋県3位の春日部共栄のほか、川越東、西武台、狭山ケ丘も上位を狙える。

代表校:花咲徳栄(2年連続4度目)

栃木県

春の関東大会8強入りの文星芸大付と栃木大会5連覇中の作新学院が軸になりそうだ。文星芸大付は制球力抜群のエース左腕佐藤良、控えの海老原と投手陣が安定。打線は春の県大会で橋浦や伊藤が打率4割を超え、盗塁など機動力も使える。作新学院は春の県大会2本塁打の小島や昨夏の甲子園で5番だった小林らが力強い。速球派の今井や入江、技巧派左腕の宇賀神ら投手陣の層も厚い。好投手の伊沢と水野を擁して昨秋の県大会を制した白鴎大足利や春の県大会準優勝の青藍泰斗が上位を狙う。公立校では春の県大会で作新学院を破った栃木工のほか、真岡工や栃木も注目される。

代表校:作新学院(6年連続12度目)

千葉県

今春の選抜大会で8強入りした木更津総合、春の県大会を制した東海大市原望洋、準優勝の千葉黎明を中心に大混戦となりそうだ。木更津総合のエース早川は、伸びのある直球を武器に選抜を1人で投げ抜いた。選抜の3試合すべてで打点を挙げた4番鳥海が引っ張る打線も強力だ。東海大市原望洋は、最速153キロの右腕島を擁し、打線も春の県大会での打率が5割超の峯尾、倉石を中心につながりがある。千葉黎明は投手を中心に、春の県大会5試合で失策3と堅い守備が持ち味だ。昨夏覇者の専大松戸、好投手鈴木を擁して春4強の成田と千葉経大付、昨秋準優勝の千葉明徳なども上位を狙う。

代表校:木更津総合(3年ぶり5度目)

東東京

秋春連続で都大会を制した関東一と、いずれも準優勝の二松学舎大付が総合力でリードする。関東一は長打力のある佐藤佑や米田、俊足の本橋らを中心に3季連続の甲子園を狙う。二松学舎大付は最速140キロ台後半の左腕大江が健在で、今村、三口が打線を引っ張る。攻撃力がある帝京は佐藤怜ら投手陣の出来が鍵を握る。春の都大会4強の東亜学園は打線に切れ目がない。投打で関根が大黒柱の城東は、15年ぶり3回目の代表に期待がかかる。右腕市川を擁する岩倉、個々の能力が高い修徳も注目。創部7年目で初のシード権を得た日本ウェルネス、守備の堅い都立の江戸川もチャンスがある。

代表校:関東第一(2年連続7度目)

西東京

16年ぶりの優勝をめざす東海大菅生、伝統の強打を誇る日大三、連覇がかかる早稲田実が混戦の中心か。2年続けて準優勝の東海大菅生は、キレのあるスライダーが武器の伊藤、好機に強い落合が攻守の柱となり、「三度目の正直」を狙う。日大三は宮木の俊足巧打、中軸に座る坂倉、山本の長打力が光る。昨夏の甲子園で2本塁打の清宮、出塁率の高い金子が主力の早稲田実はノーシードで臨む。服部ら甲子園を経験した投手陣が安定感を増せば激戦を乗り切れるか。初優勝に挑む八王子は打線に切れ目がない。早大学院は最速145キロの右腕柴田に注目。都立勢は日野や東大和、昭和に上位進出の力がある。

代表校:八王子学園八王子(初出場)

神奈川県

県内の公式戦では昨秋から負けなしで、今春の関東大会で準優勝した横浜が一歩抜けた存在だ。最速150キロ超の右腕藤平と、制球力が光る左腕石川が投打で活躍。長打力のある村田、公家を軸とした打線には厚みがあり、関東大会では2度のコールド勝ちを収めた。昨夏の甲子園で優勝した東海大相模は「打倒横浜」を掲げ、右腕北村や強打者戸崎を中心に総合力が高い。下手投げの中川が柱の桐光学園も有力だ。小技も巧みな慶応、強力打線の横浜隼人、春の県大会準優勝の日大と、4強の藤沢翔陵も上位をうかがう。公立の厚木北や弥栄も投手力が充実し、戦いぶりが注目される。

代表校:横浜(3年ぶり16度目)

山梨県

春季県大会、夏の山梨大会、秋季県大会を通して6大会連続優勝中の東海大甲府が総合力で一歩リード。春季関東地区大会4強入りで自信をつけた日本航空などが追う。県内初の7大会連続優勝に挑む東海大甲府は球のキレで勝負する菊地と制球力が強みの松葉が二枚看板。福武ら内野陣の守りも堅い。打線は機動力を生かし、どこからでも得点できる。日本航空はエース片岡に加え、冷静な投球が光る西角が急成長。捕手の片野や関東大会で長打力を見せた上栗ら2年生にも注目したい。昨夏準優勝の甲府城西は好機での打撃が鍵となりそう。優勝経験のある日川も、昨夏初戦敗退の雪辱を期す。

代表校:山梨学院(5年ぶり6度目)

新潟県

昨秋と春の県大会で、4強がすべて異なる。強豪校の実力は伯仲しており、混戦が予想される。新潟明訓は、春の県大会準決勝を被安打2で完封した大藪、北信越大会2回戦を零封した広田ら投手層が厚い。同大会2回戦は3併殺と堅い守備を見せた。打線は下位までむらがない。北越も力がある。左腕のエース江村はキレのある直球が武器だ。打線は4番小杉ら中軸を中心に勢いがあり、春の県大会準決勝、決勝で2桁安打を放った。昨秋の県大会を制した日本文理は、中学からバッテリーを組む投手稲垣と捕手川村がチームを引っ張る。同大会準優勝の県立校、村上桜ケ丘は堅守で接戦に持ち込みたい。

代表校:中越(2年連続10度目)

長野県

2年連続優勝を狙う上田西、春の県大会を制した松本第一が一歩リード。佐久長聖、松商学園が続く。上田西は昨夏の甲子園でもエースだった草海(くさがい)を、右腕工藤と左腕坂本が支える。打線は塚田と斎藤尊の1、2番コンビが要となる。松本第一は巧打者牧秀や4番新山らの中軸が勝負強い。投手は吉原の球種が豊富だ。佐久長聖は140キロ超の右腕小林に加え、森本、吉沢もいて投手層は厚い。松商学園は上位打者の宮嶋や梨本ら好打者がそろう。春の県大会4強の長野日大に加え、強打者峰村を擁する長野商、打線が好調な松本深志も有力。岡谷南、小諸商や野沢北など公立勢にも期待がかかる。

代表校:佐久長聖(2年ぶり7度目)

静岡県

春の東海大会を制して勢いづく常葉橘と昨夏の代表校・静岡が2強だ。常葉橘は今春以降、投手陣の成長が目覚ましい。本格派のエース谷脇は、東海大会で144キロを記録した直球と変化球のコンビネーションがいい。2番手の鈴木も東海大会決勝では5回1/3を無失点に抑え、精神的な強さが光る。3年連続で夏の甲子園出場を目指す静岡は、昨年の春夏とも甲子園のマウンドを踏んだエース村木が腰痛から復帰した。打線は主将鈴木将を中心に長打力と機動力を備え、どこからでも得点できる。春の県大会準優勝の日大三島とプロ注目の右腕横尾を擁する静清も優勝争いに割って入る力を持つ。

代表校:常葉学園菊川(3年ぶり5度目)

愛知県

今春の選抜に出場した東邦が頭一つ抜けている。エースで4番の右腕藤嶋に加え、藤嶋と同等の140キロ台の速球を持つ左腕松山、好打の鈴木光らを擁し、投打に高いレベルを誇る。春の県大会を制した享栄は投手力が高い。右横手投げの成田に加え、フォークが武器の右腕二宮が急成長し、二枚看板となった。中京大中京は昨夏の甲子園を経験した杉本や内藤らが並ぶ打線が強力で、複数の左右の好投手も抱える。春の県大会2位の愛産大三河は藤江と池田を中軸に据え、足を絡めた攻撃を見せる。注目の好投手がいる大府や千種のシード勢のほか、強打者高橋を擁する愛工大名電もノーシードから頂点を目指す。

代表校:東邦(2年ぶり17度目)

岐阜県

今春の東海大会準優勝の県岐阜商、昨秋県大会優勝の大垣日大、同準優勝の中京の3校が軸になりそうだ。県岐阜商はエース村橋が上り調子。打線も松田、広瀬と好打者がおり、今春の県大会で優勝した。大垣日大は石川、伊藤の両投手が成長した。主将湯口は甲子園経験があり、チームを引っ張る。中京は今春の県大会4強で、昨夏3試合連続本塁打の今井が健在だ。昨夏代表の岐阜城北は毛利、今春県大会で準優勝した美濃加茂は内田、昨夏旋風を起こした斐太は谷と、好投手の活躍で混戦となる可能性も。今春の県大会8強の市岐阜商、長良、大垣商、関商工も目が離せない。

代表校:中京(14年ぶり6度目)

富山県

春の県大会を制した富山第一と連覇を狙う高岡商が軸。滑川、富山、富山商、富山国際大付も力がある。富山第一は最速144キロの中津原、変化球にキレのある森の両右腕が安定している。打線は主将宝達、岩城、狭間ら左打者が並び、長打力も併せ持つ。高岡商は昨夏の甲子園を経験した右腕北村、主将の捕手堀内を中心に、春の北信越大会で準優勝した。打線好調の滑川は昨秋と今春の県大会で連続4強。富山は堅守で21年ぶりに春の県大会で4強入り。富山商は持ち前の勝負強さで2年ぶりの優勝を狙う。富山国際大付の若杉、砺波工の天池、富山東の帯刀ら昨夏を経験した投手にも注目だ。

代表校:富山第一(3年ぶり2度目)

石川県

春の北信越大会を制した星稜に昨夏の甲子園で16強入りした遊学館が迫る。昨秋の県大会4強だった野々市明倫、小松、小松大谷、日本航空石川がいずれもノーシードで、組み合わせが注目される。星稜は北信越大会で本塁打を放った森田、虎谷ら強力打線が看板。遊学館も甲子園を経験した内潟、中村らの強打に加え、先発9人中6人が50メートル6秒台前半で走る俊足が魅力だ。堅実に打線をつなぎ春の県大会で準優勝した金沢商、守備からリズムをつくる野々市明倫の公立勢は16年ぶりの私学打倒を目指す。186センチの長身から投げ下ろす打田を中心に投手層が厚い日本航空石川も注目だ。

代表校:星稜(2年ぶり18度目)

福井県

選抜に出場した敦賀気比と福井工大福井を軸に、春の県大会で4強入りした啓新と美方も力をつけており、混戦模様の大会になりそうだ。敦賀気比は右腕の山崎が柱。長身から繰り出す切れのある投球が持ち味で、選抜での登板経験が強みだ。福井工大福井は春の県大会で優勝。北村が2試合連続で本塁打を放つなど、4試合で計45点を挙げ、打線に爆発力がある。啓新は創部5年目のチーム。制球力があり、最速136キロの直球を投げるエース荒木に加え、牧、上ノ山と投手層が厚い。春の北信越大会で初戦を突破し、勢いに乗る美方のほか、福井商や若狭などの公立勢からも目が離せない。

代表校:北陸(24年ぶり3度目)

三重県

今春の選抜に出場したいなべ総合を筆頭に、昨秋の県大会を制した海星、2年前の選手権大会で準優勝した三重、昨夏代表の津商などが続く展開か。いなべ総合は、山内と渡辺啓の二枚看板に加え、春の東海大会で2試合に先発した赤木や変則左腕の加藤など投手陣が充実。春の県大会では1試合平均で11点を奪った打線も強力だ。海星は50メートル6秒の犬飼ら俊足がそろい、機動力で相手を揺さぶる。三重は誰もが長打を打てる切れ目のない打線が持ち味。津商は昨夏の甲子園に出場したメンバーが多く残り、投手層も厚い。5月の東海大会で愛知県王者の享栄を破った津田学園も勢いがある。

代表校:いなべ総合(6年ぶり2度目)

滋賀県

県勢13年ぶりに選抜で8強入りした滋賀学園や昨夏優勝の比叡山、準優勝の近江は、そろってノーシード。昨秋優勝の北大津、今春優勝の光泉、秋春準優勝の近江兄弟社も上位をうかがう。春に滋賀学園を破った草津東にも力があり、混戦が予想される。春夏連続出場を狙う滋賀学園は中軸の後藤、馬越を筆頭に打線に切れ目がないのが強み。2年生右腕神村は力のある直球と多彩な変化球が持ち味だ。近江は140キロを超える速球と制球力が魅力の右腕京山、左の内林ら投手陣が充実。北大津は岡、中島を中心に勝負強さが光る。主戦竹村は直球に伸びがある好投手。近江兄弟社は投打の中心、阪部が鍵を握る。

代表校:近江(2年ぶり12度目)

京都府

今春の選抜大会で4強入りした龍谷大平安が総合力で一歩リードか。140キロ超の直球に威力がある左腕市岡は安定感が増し、打線も橋本を筆頭に長打力が期待できる打者が並ぶ。全国へ進めば史上2校目となる春夏通算100勝まであと1勝と迫っており、勝利への気迫が感じられる。一方、春の府大会は京都翔英が初優勝。6試合で計66安打と上位から下位まで切れ目のない打線は強力。二塁送球が2秒を切る強肩の捕手石原を中心とした守備力に磨きがかかれば、夏の頂点も見えてくる。昨夏の覇者鳥羽や立命館宇治、福知山成美といった実力校はノーシードからの戦いとなり、混戦が予想される。

代表校:京都翔英(初出場)

大阪府

春の近畿大会を制した履正社と、選抜大会出場の大阪桐蔭が軸になりそうだ。履正社は球威が魅力の寺島、山口の両左腕を擁す。近畿大会決勝では選抜優勝校の智弁学園を継投で零封した。打線も4番安田らに長打力がある。大阪桐蔭は故障で春季府予選のベンチから外れたエース高山が回復し、2回戦で敗れた選抜の雪辱を誓う。選手層が厚く、チーム内の競争の激しさも強み。続くのは、最速147キロの右腕西田がいる昨夏準優勝の大体大浪商や春季府予選3位の関大北陽。強力打線の汎愛や昨秋の府予選で優勝した大商大堺にも注目。昨夏優勝の大阪偕星、好投手を擁する上宮、阪南大も上位を狙う。

代表校:履正社(6年ぶり3度目)

兵庫県

昨秋から県内無敗で、今春の選抜8強の明石商が一歩リード。好投手を擁する報徳学園、神戸国際大付、神港学園などが追う。明石商のエース吉高はスプリットを決め球に選抜3試合で失点4と安定。150キロ近い直球を投げる山崎も控える。打線は中軸の橋本や小西から下位まで切れ目がない。報徳学園は昨秋、今春の県大会で準優勝。左腕主島(ぬしじま)は1年秋からエースで粘り強さが持ち味。神戸国際大付は直球に威力のある東郷、平内(へいない)の左右二枚看板で2年ぶりの優勝を目指す。昨秋の県大会3位の神港学園は主将三宅が投打の中心。このほか育英や東洋大姫路、滝川二、選抜出場の長田にも注目だ。

代表校:市尼崎(33年ぶり2度目)

奈良県

今春の選抜大会で初優勝し、その後の近畿大会でも準優勝した智弁学園が一歩リード。天理や奈良大付、関西中央などの実力校が追う展開だ。春夏連覇を目指す智弁学園は最速145キロのエース村上に加え、制球の良い松本大ら投手陣が充実。どの打順からも好機が作れる打力を備える。昨夏代表で春の県予選準優勝の天理。経験豊富な左腕森浦、制球力のある仲野の二枚看板の投手陣には安定感がある。好機に強い主将の漆原ら好打者も多い。春の県予選4強の奈良大付と関西中央は切れ目のない打線が持ち味。力をつけてきた法隆寺国際、五條、平城、登美ケ丘など県立勢も上位をうかがう。

代表校:智弁学園(2年ぶり18度目)

和歌山県

選抜大会に出場した市和歌山、近畿大会4強入りの智弁和歌山が軸だが、力の差を縮めているチームも多い。市和歌山は右腕の赤羽と左腕の栗栖を擁し、投手力が高い。連覇を狙う智弁和歌山は昨夏からレギュラーの高垣らを中心に、長打力のある1年の文元や林を加えた強力打線が魅力だ。昨夏の主力が多く残る箕島や、春季大会県予選で市和歌山を破った日高中津も力をつけている。シード校の紀央館と有田中央、昨夏準優勝の和歌山商、好投手・南中道を擁する高野山、近年上位を脅かす和歌山東も注目。初出場で元プロの岡本哲司監督率いる和歌山南陵の戦いぶりも気になるところだ。

代表校:市和歌山(2年ぶり5度目)

岡山県

今春の選抜に出場した創志学園が軸。関西、倉敷工、おかやま山陽などが追うが、実力は伯仲している。創志学園のエース高田は最速150キロ超で、キレのよい変化球も交ぜる全国でも屈指の右腕。攻撃で得意の機動力が生かせるかが鍵となりそうだ。春の県大会4強の関西は、速球派の右腕小郷ら投手陣が充実している。準優勝の倉敷工は、長沢を中心とした打撃のチームで守備にも磨きをかけている。県大会を制したおかやま山陽は4試合すべてで2桁安打を記録した。岡山理大付もノーシードながら目が離せない。昨夏の代表、岡山学芸館や伝統校の倉敷商も選手層が厚く上位を狙える。

代表校:創志学園(初出場)

広島県

2人の投手が好投し、春の県大会を制した崇徳を中心に混戦が予想される。崇徳の投手陣は、140キロ台の直球とスライダーが持ち味のエース高原と身長194センチの河合が軸。打線は大会で3試合連続本塁打を放った矢田が中心だ。準優勝の如水館は昨秋の中国大会でも4強入り。継投しながら守り勝つのが身上で、遊撃手の持田が攻撃を引っ張る。投打に安定した力を持つ広陵、水沢と中西の2人の投手を擁する古豪広島商も復活を期す。140キロ台の直球を持つエース堀ら、昨夏の甲子園経験者が残る広島新庄にも注目。春の県大会8強の西条農のほか、大竹、尾道商も上位をうかがう。

代表校:広島新庄(2年連続2度目)

鳥取県

春の県大会を制した鳥取城北、決勝で六回以降に得点を重ねてその鳥取城北を追い詰めた鳥取西、3位倉吉東、4位境が中心となりそうだ。鳥取城北は昨夏の代表校。投攻守のバランスがとれている。春の県大会は全4試合で1試合平均10得点した。エース中塚は本格派右腕。控えも力がある。鳥取西は昨夏も決勝で鳥取城北に敗れ、雪辱を期している。エース国岡、中軸を担う土居、小林、勢川の昨夏経験者がチームを引っ張る。倉吉東は打線が好調。1勝した春の中国大会でエース中嶋と控えの名越が好投し、守りに自信をつけたのが好材料。境は中軸を打つ勝部を中心とした打撃が魅力だ。

代表校:境(9年ぶり8度目)

島根県

今春の選抜に出場した開星、昨秋の県大会優勝の大社、いずれも好投手が複数いる立正大淞南、益田東、安来を中心に混戦模様だ。開星は最速147キロのエース吉川に加え左腕の岡崎、右横手の勝部が成長。瀬戸口らの打線が援護できるか。大社は昨夏のレギュラーが5人残った。上野、林ら投手陣も多彩だ。4年前の代表・立正大淞南は伝統の守備と走塁も健在で確実性のある打撃が光る。益田東は寺本、野路、稲林圭、安来は安部、万波、木戸と3投手が安定している。春の県大会決勝で開星打線を3安打に抑えた川角を擁する大東のほか隠岐、出雲、出雲商も投手に力がある。

代表校:出雲(初出場)

山口県

春の中国大会準優勝の早鞆が一歩リード。投手陣が厚く、最速140キロで制球力があるエース原に、鋭いスライダーが武器の岩崎らが控える。打線は同大会で2点本塁打を放った内田を中心に、俊足の西浦、長打力のある江藤と切れ目がない。昨秋、今春の県大会でいずれも優勝し、「3冠」をねらう。今春の選抜大会に出場した南陽工は、エース重冨の仕上がりが鍵を握りそうだ。古豪の宇部商は、昨夏の山口大会を経験した堀川や宮崎洸、宮崎大らを軸に強打で挑む。昨夏の山口大会で4強の宇部鴻城は投打のバランスがいい。左腕の山野を擁する高川学園、機動力が持ち味の岩国も上位を目指す。

代表校:高川学園(初出場)

香川県

選抜準優勝の高松商を軸に21世紀枠で選抜に出場した小豆島、小豆島を破り春季四国大会に香川1位として出場した大手前高松などが争う。高松商はエース浦、主将米麦(よねばく)、投手も務める二塁手美濃ら実力者がそろう。選抜直後の四国大会出場校決定戦では小豆島に敗れた。登板しなかった浦の投球が鍵を握る。小豆島は、左腕・長谷川と植松のバッテリーを中心に守り勝つ野球で春夏連続の甲子園出場を目指す。春の県大会を制し、四国大会出場順位決定戦で小豆島を破った大手前高松は直球とキレのあるスライダーが持ち味の右腕・門内が守りの柱。主将松岡を中心に機動力で相手を揺さぶる。

代表校:尽誠学園(9年ぶり11度目)

徳島県

4年連続優勝している鳴門が昨秋と今春の県大会でも優勝し、一歩抜けている。昨秋準優勝の城南や、今春準優勝の富岡西なども力がある。鳴門は守備がよく鍛えられて失点が少ないうえ、春に3本塁打した主将手束や捕手佐原を軸に攻撃も粘り強い。2年連続して甲子園での登板経験がある左腕河野、右横手投げの尾崎もさらに力をつけた。城南は、主将で俊足の大野や長打力のある佐尾山を中心としたつながりが良い打線が魅力。富岡西は左腕紀本が春の県大会3試合を、緩急を織り交ぜて完投した。片山大も制球が良い。秋と春ともにベスト4の生光学園、秋に3位に入った古豪池田も、投打ともに上向きだ。

代表校:鳴門(5年連続11度目)

愛媛県

今春、4年ぶりに選抜大会出場を逃した県勢は、春の県大会で優勝、四国大会で準優勝した川之江や、春の県大会4強の済美、新田など強豪校の実力が伯仲している。川之江は四国大会で選抜に出場した明徳義塾(高知)を破り、自信をつけた。多彩な変化球を操る右腕の糸川は安定しており、打線は主将の日野をはじめ左の好打者が並ぶ。済美は投打のバランスが良い。新田は県大会のチーム打率が4割近く、県内トップ級の強打を誇る。県大会準優勝の松山聖陵は195センチの長身右腕アドゥワの調子が鍵を握る。昨夏代表の今治西は堅守が健在。昨夏の愛媛大会準Vの小松も上位をうかがう。

代表校:松山聖陵(初出場)

高知県

今春の選抜大会に出場した明徳義塾と土佐、春の四国大会を制した高知の3校が中心の戦いになりそう。高知大会7連覇を目指す明徳義塾は守備が安定。昨夏の甲子園を知る捕手古賀、遊撃手高村らセンターラインが堅い。攻撃は小技を効果的に使う。高知は5年連続、決勝で1点差負けしており、雪辱を誓う。投手は吉村、谷脇の二枚看板。打線は栄枝、西海、沢田の中軸に長打力がある。土佐はエース尾崎がどこまで踏ん張れるかが鍵だ。打撃ではミート力のある主将吉川周に期待がかかる。シード校の高知商、140キロ超の直球を投げる左腕安岡将を擁する室戸など公立勢も上位をうかがう。

代表校:明徳義塾(7年連続18度目)

福岡県

好投手を擁するチームを軸に実力が伯仲した大会だ。春の九州大会で優勝した福岡大大濠の浜地は直球のキレと伸びが持ち味。準優勝した西日本短大付の谷口は制球がよく、夏も優勝争いの中心になりそう。九産大九産の梅野は強気の投球が信条。直球は最速150キロ超といい、昨秋の県大会準決勝では福岡大大濠をノーヒットノーランに封じた。九産大九州の岩田は左横手投げの技巧派で知られる。大会3連覇がかかる九州国際大付や飯塚、自由ケ丘、福岡第一は打線に切れ目がない。昨夏準優勝の東海大福岡(旧東海大五)や小倉、東筑、祐誠も実力がある。

代表校:九州国際大付(3年連続7度目)

佐賀県

好投手がそろい、実力が伯仲している。昨秋と今春の県大会で優勝した佐賀商が一歩抜けている。追う他校は秋春連続で4強入りしたチームはなく、混戦模様だ。佐賀商は1番空閑(くが)、4番野中を中心に打線が好調。春の九州大会では九州学院(熊本)相手に2桁得点と力を見せた。エース右腕の龍野、右下手の諸隈など好投手もそろう。龍谷は、昨夏の甲子園経験者が多く残る。久野、柳内の二遊間を中心に守備の堅いセンターラインで投手陣をもりたてる。春の県大会4強の佐賀学園は日永田と藤木の2投手が安定。佐賀北は総合力で挑む。50メートル走で6秒を切る松石が攻めの起点となる佐賀西、好右腕・坂口を擁する鹿島も注目だ。

代表校:唐津商(5年ぶり5度目)

長崎県

今春の選抜大会に出場した海星を中心に強豪校がしのぎを削る。打線が売りのチームが多く、投手陣の活躍が命運を分けることになりそうだ。海星は島原、永石が打線の中軸としてチームを引っ張る。投手陣では春田や土谷の復調と、飯田や広森の成長が鍵を握る。長崎日大はつなぐ打線が好調で、春の九州大会で4強入り。樋口が攻守の中心だ。春の県大会で初優勝した大村工は城田、山道、白石らの爆発力がある打線で大量点を稼ぐ。長崎商や長崎総大付、好投手野元を擁する佐世保工、打力抜群の島原農も上位をうかがう。清峰、波佐見、創成館も調子を上げてきた。

代表校:長崎商(29年ぶり7度目)

熊本県

選抜4強の秀岳館、昨夏代表で今春の大会を制した九州学院を軸に、東海大星翔、文徳、城北、有明などの私立勢が代表の座を狙う。春4強の必由館、8強の千原台など公立勢がどこまで巻き返せるか。秀岳館は有村、堀江を中心に投手層が厚い。打線は九鬼を軸に、追い込まれるとノーステップ打法でコンパクトに振り抜く。九州学院は昨夏の甲子園を経験した村上、元村、松下が中軸を担う。熊本地震で1カ月近く練習ができなかった高校が多い。夏に向けた前哨戦と位置づけられる各種大会も中止となり、公式戦が少ないなかで各校の実力は測り切れず、思わぬ「台風の目」が出てくる可能性もある。

代表校:秀岳館(15年ぶり2度目)

大分県

昨秋と今春の県選手権大会、県大会の優勝校がすべて異なり、混戦気味だ。やや優位なのが臼杵と鶴崎工。昨秋の県大会で昨夏の覇者・明豊を抑え、春秋合わせ62年ぶりに優勝した臼杵は、主軸長野を中心に大量得点が期待できる打線だ。鶴崎工は昨秋の県選手権を制し、身長182センチの横手投げエース高橋を中心に守り勝つ。明豊は堅守のうえ、機動力に優れ、打順に関係なく得点できる。今春の県大会を制した大分は、選抜4強の熊本・秀岳館を九州大会で破り、勢いに乗る。情報科学は春の県選手権を制し、打線が上り調子だ。大分工は投手層が厚い。佐伯鶴城と藤蔭も注目だ。

代表校:大分(2年ぶり2度目)

宮崎県

選抜大会に出場した日南学園や、シード校の都城、鵬翔などの私立勢がややリード。春の県大会を制した富島や、県選手権大会優勝の都城工などの公立勢が追う。日南学園は昨夏から出場している選手が多く、層が厚い。故障で春の九州大会を休んだ左腕エース森山や主軸益山の復活が鍵。都城は140キロ台後半の直球に多彩な変化球を織り交ぜる右腕の山本が引っ張る。富島は4番で捕手の木村が要。飛び抜けた選手はいないが、攻守にバランスがとれている。都城工は県選手権大会決勝で18安打15得点を奪った爆発力が持ち味。聖心ウルスラ、延岡学園、宮崎工、宮崎日大なども上位をうかがう。

代表校:日南学園(2年ぶり8度目)

鹿児島県

夏春連続での甲子園出場を果たした鹿児島実に、樟南、神村学園など実力校が食らいつく。混戦の予感。鹿児島実は谷村、丸山両投手が甲子園で経験を積んだ。さらにNHK旗で優勝まで引っ張った泰がおり、投手層が厚い。主将綿屋を軸にした打線にも注目だ。樟南は、NHK旗で鹿児島実打線を3失点に抑えたエース浜屋が鍵を握る。神村学園は春の県大会、4割強の打率で他を圧倒。決勝も樟南に19安打を浴びせ、13得点を挙げた。県屈指の右腕太田を擁するれいめいや、昨秋の県大会準優勝の鹿児島城西も期待できる。NHK旗で鹿児島実と延長十回の熱戦をみせた大島も力がある。

代表校:樟南(3年ぶり19度目)

沖縄県

昨秋と今春の県大会でともに8強に残ったのは2校のみ。好投手が割拠し、まれに見る「戦国時代」の様相だ。軸は春の九州大会4強の糸満。大黒柱の平安は最速140キロの直球とスライダーを緩急よく投げ分け、スタミナも十分。春の県大会で延長十四回を投げ合った沖縄尚学の左腕諸見里も直球に力があり遜色がない。春の県準優勝校・豊見城の右横手翁長は、変化球主体の投球術にたける。昨夏の甲子園8強・興南は、主戦比屋根の復調が鍵だ。昨秋の県王者・八重山、今春の県4強の美来工科も攻守に安定感がある。美里工、嘉手納、宜野座、コザも急速に力をつけており、侮れない。

代表校:嘉手納(初出場)