2017年8月7日(月)から兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開催される第99回全国高校野球選手権大会の地方予選が始まりました。各都道県で優勝候補と呼ばれる高校を中心に伝統校や新興勢力が試合でしのぎを削っています。第99回大会の展望・戦力分析・試合の下馬評・有力選手の評価・トーナメント優勝予想とともに、予選を勝ち抜いた優勝校(甲子園出場校)も一覧にしてまとめました。
北海道地方
北北海道
春の道大会4強の帯広大谷と稚内大谷を軸に、武修館や滝川西、白樺学園、遠軽などが追う展開となりそうだ。帯広大谷は打線に切れ目がなく、道大会3試合でいずれも8得点を奪った。準決勝で駒大苫小牧に敗れたが、延長十三回タイブレークにもつれる大接戦を演じた。稚内大谷は左腕のエース正岡が打線でも中軸を務める。中軸で主将の上川原が正岡を支えられるかが鍵となる。武修館は道大会1回戦で2者連続本塁打を放つなど、勢いに乗ると手ごわい。滝川西は昨夏の甲子園に初出場したクラーク国際に競り勝って道大会に出場。白樺学園は春の道大会への出場を逃し、夏に雪辱を期す。
代表校:滝川西(19年ぶり3回目)
南北海道
春の道大会を制した駒大苫小牧と準優勝の函館大有斗や、2年連続で春の選抜に出場した札幌第一が軸。北海や東海大札幌、北照なども注目される。駒大苫小牧は全道大会で札幌第一にコールド勝ち。全試合で逆転勝ちするなど粘りが持ち味だ。主戦の工藤の成長も著しい。技巧派のエース成田を擁する函館大有斗は中軸に新出、西田、浅井の2年生をそろえ、勢いがある。札幌第一は今春の甲子園で初戦敗退したことをバネに、投手力の向上を図る。昨夏の甲子園で準優勝した北海は春の全道大会への出場を逃し、雪辱を期す。札幌日大や北広島、鵡川も上位を狙う力がある。
代表校:北海(3年連続38回目)
東北地方
青森県
昨秋と今春の東北大会にそろって出場した青森山田、八戸学院光星を軸に、私立勢中心の展開となりそうだ。青森山田は変化球が武器の左腕三上、高い制球力を持つ左腕寺岡ら投手層が厚い。選抜大会出場経験がある相坂、工藤ら内野陣の守備も堅い。八戸学院光星はけがで離脱していたエース向井が東北大会から復帰。春の県大会は4試合で36得点と打線が好調で、4番小池は打率4割を超えた。春4強の八戸工大一は最速149キロの右腕古屋敷を擁し、聖愛は切れ目のない打線を誇る。集中打がある八戸西、粘り強い打線を持つ青森東など、公立勢も上位を狙える力がある。
代表校:青森山田(8年ぶり11回目)
秋田県
今春の県大会を9年ぶりに制した明桜が一歩リードする。最速145キロの直球が武器の山口をはじめ、投手層が厚い。大会のチーム打率は3割3分を超え、児玉、松本大らの長打も期待される。同大会準優勝の能代松陽は、140キロ近い直球に多彩な変化球を交ぜる左腕・佐藤開の出来が鍵を握る。同大会3位の角館は、40キロの緩急差をつける鈴木佳の投球を、大会4試合で44安打の打線が援護する。金足農はエース吉田が軸。甲子園に11回出場した酒田南(山形)を練習試合で破り、勢いに乗る。昨夏の甲子園で先発した藤井を擁する大曲工、昨秋の県大会優勝の横手も巻き返しを狙う。
代表校:明桜(8年ぶり9回目)
岩手県
今春の選抜大会で8強入りした盛岡大付の実力が頭一つ抜けている。その後を花巻東、久慈、大船渡東が追う。盛岡大付の強力打線は健在で、春の県大会5試合のうち3試合で2桁得点を挙げ、危なげなく優勝した。打の中心は、選抜大会で1番の植田と4番で主将の比嘉。県大会では2人そろって3本塁打を放ち、存在感を示した。甲子園常連校の花巻東は、春の東北大会出場を逃したが、底力はある。豊富な投手陣と打線がかみ合えば、頂点も狙えるだろう。東北大会出場の久慈、大船渡東の公立勢は、強豪との対戦で自信をつけた。競り合いに持ち込めれば上位をうかがえる。
代表校:盛岡大付(2年連続10回目)
宮城県
今春の東北大会に出場した仙台育英、東北、東陵を軸にした戦いが予想される。春の選抜大会に出場した仙台育英が総合力ではやや抜けている。攻守の柱である主将西巻や、140キロを超える直球が武器の左腕長谷川らがチームを引っ張る。東北は、2年生投手の葛岡、古川原を中心に守り勝つ野球が持ち味。春の県大会でも5試合で5失点、2失策と安定している。打線は昨夏の甲子園を経験した布施、杉沢らが好調だ。春の県大会で仙台育英を破った東陵は、投打でチームを牽引(けんいん)する佐藤瑞を中心に堅守が光る。仙台の佐藤隼、石巻工の森、柴田の岩佐らの好投手にも注目が集まる。
代表校:仙台育英(2年ぶり26回目)
山形県
春の県大会を制した日大山形、準優勝の羽黒に加え、昨夏の覇者の鶴岡東、酒田南を中心に混戦となりそうだ。日大山形は、急成長を見せた森田や沼沢拓ら投手の層が厚く、下位からも長打が出る打線が魅力。145キロを出した佐藤幸を擁する羽黒は、春の県大会で最多の8盗塁と機動力がある。鶴岡東は、ともに昨夏の甲子園でも登板した吉住と小林一という2人の好投手がそろう。酒田南は、佐藤敦、長嶺、豊川ら打線に長打力がある。春の県大会3位の九里学園は斎藤が巧みな投球を見せる。大泉ら打線が強力な山形中央や、山形商、山形南の公立勢も、波に乗れば上位に食い込む力がある。
代表校:日大山形(4年ぶり17回目)
福島県
昨年、福島大会10連覇を果たした聖光学院が総合力でリード。学法石川、光南などの実力校が続く。聖光学院は勝負強い瀬川や長打力のある仁平、柳沼ら切れ目のない打線が魅力。昨夏、甲子園のマウンドを踏んだ斎藤、制球力が武器の堀田らが投手陣を支える。学法石川はエース尾形が中心。140キロ台後半の直球で三振を奪える。光南は安定感のある左腕・石井諒ら投手陣の層が厚い。春は選手の故障に苦しんだ日大東北も堅い守備で巻き返しを図る。長打力がある園部が打線を引っ張るいわき光洋、昨年8強の磐城も上位を狙える。福島商、東日大昌平、福島東は打線に力がある。
代表校:聖光学院(11年連続14回目)
関東地方
群馬県
今春の選抜大会に出場した前橋育英と健大高崎の2校が安定している。昨春から県大会は4季連続で両校による決勝。育英が4勝しているが、いずれも接戦だ。育英の強みは厚い投手層と堅い守備。エースは固定しておらず、春の大会は甲子園で登板した根岸が背番号1だった。健大は、得意の機動力を生かし、少ない安打でも得点に結びつける攻撃力が持ち味。育英投手陣を攻略できるかが鍵になりそうだ。両校を追うのは、甲子園を経験している強打者鏑木を擁する桐生第一や投手力に定評がある常磐、伊勢崎清明、東農大二。今春の県大会4強の高崎、前橋東などの公立勢もチャンスをうかがう。
代表校:前橋育英(2年連続3回目)
茨城県
昨秋と今春の県大会を制した明秀日立を軸に、両大会で準優勝に甘んじた霞ケ浦が巻き返しを図る。公立の土浦湖北と石岡一に加え、常磐大が追う。昨夏の覇者・常総学院は投手陣の復調次第で優勝争いに絡みそうだ。 明秀日立は今春の県大会5試合の平均得点が7・0。打率5割超の増田と池田陵を筆頭に、打線に切れ目がない。エース粂はコーナーをつき、打たせて取る投球が身上だ。 霞ケ浦のエース遠藤は、伸びのある直球と変化球を織り交ぜた投球が持ち味。土浦湖北はエース矢萩を中心に堅守とバランスのいい打線に注目が集まる。石岡一は総合力の高さ、常磐大は強力打線に特徴がある。
代表校:土浦日大(31年ぶり3回目)
埼玉県
3年連続の甲子園出場がかかる花咲徳栄と、今春の関東大会覇者の浦和学院の2強に、実力校が挑む構図だ。花咲徳栄は春季県大会の5試合で計50得点。西川、野村ら中軸の長打力が光る。浦和学院は春の県、関東大会の計9試合で1試合平均失点数が1・89。好左腕佐野の変化球に、幾多の好打者のバットが空を切った。「打の徳栄、投の浦学」と言える。公立勢にも注目が集まる。市川越は昨夏も活躍したメンディスら投手陣の出来が鍵を握る。大宮東は昨夏、公立校唯一の4強入り。27年ぶりの夏の甲子園出場を狙う。私立校では、春日部共栄や聖望学園も頂点まで上りつめる実力がある。
代表校:花咲徳栄(3年連続5回目)
栃木県
7連覇を目指す作新学院が優勝争いの軸だ。春の県大会優勝の白鴎大足利、秋春4強入りの石橋にも注目だ。 作新学院は春の選抜で好投した大関がチームを引っ張る。投手陣には篠原と高山が控え、春の県、関東大会を通じて打率3割7分の打線は切れ目がなく、機動力もある。 白鴎大足利は益子、秋、秋葉ら中軸打者の前に走者を出せるかが鍵。北浦、仁見の2投手にも期待がかかる。右腕の竹内を擁する石橋に加え、栃木工、宇都宮工など公立校も力がある。佐野日大は打線が好調。矢板中央も田鎖颯を中心に長打力がある。春の大会で振るわなかった国学院栃木と文星芸大付も巻き返しを図る。
代表校:作新学院(7年連続13回目)
千葉県
有力校に好投手がそろい、例年以上の混戦になりそうだ。春の選抜に出場した東海大市原望洋はエース金久保が投打の軸。選抜でも鋭いスライダーを武器に14回を投げ、打者としても4番に座った。専大松戸は1試合平均の失点が1・4と安定した投手力で春の県大会を制した。右腕のエース川上を筆頭に投手陣の層の厚さは群を抜く。関東大会で負傷した左腕浜名の回復具合が鍵か。連覇を狙う木更津総合は急成長のエース山下と切れ目のない打線で勝機は十分。今春準優勝の千葉敬愛、手堅い野球が伝統の習志野、昨夏準優勝の市船橋などにもチャンスがある。
代表校:木更津総合(2年連続6回目)
東東京
飛び抜けたチームはなく、春の都大会4強の帝京、昨年の覇者・関東一、二松学舎大付などが横一線で並ぶ。6年ぶりの甲子園出場を目指す帝京は大胡、仁田、松沢ら投手陣が豊富だ。打線はどこからでも長打が期待できる。3連覇を狙う関東一は最速147キロのエース高橋がチームの中心。広角に打ち分ける打撃で好機をつくる。二松学舎大付の永井は打力、走力がある好選手だ。春8強の東京実は攻守のバランスが取れている。朋優学院や共栄学園、実践学園、岩倉も上位をうかがう。好投手がいる城西や東海大高輪台はノーシードながら侮れない。文京や城東の都立勢も力をつけている。
代表校:二松学舎大付(3年ぶり2回目)
西東京
選抜出場の早稲田実と日大三が総合力で優位に立っている。この2校を、春の都大会4強の国士舘、夏は3年連続準優勝の東海大菅生、連覇を狙う八王子などが追う。早稲田実は打線が強力だ。高校通算本塁打100本の清宮、野村の中軸だけでなく、上位から下位まで勝負強い打者がそろう。投手陣の成長が鍵を握る。日大三は投手力でやや上回る。切れのいいスライダーを持つ桜井を中心に金成、柿沢などがいる。東海大菅生は堅守に加え、投手にも安定感がある。八王子は甲子園のマウンドを経験した早乙女と米原が残る。駒大や創価、都立校として上位進出の実績がある日野、片倉にも注目だ。
代表校:東海大菅生(17年ぶり3回目)
神奈川県
東海大相模、横浜、慶応を中心に混戦が予想される。一昨年夏に全国制覇し、今春の県大会優勝の東海大相模は足を絡めた攻撃と堅守が光る。2年生の4番森下が軸の打線は下位からでも長打を放つ。春の関東大会は秋田、安里(あさと)らの継投で準優勝した。昨夏優勝の横浜は4番増田が中心の打のチーム。長打力がある長南(ちょうなん)、万波や、緩急をつけた投球が持ち味の左腕板川ら2年生も注目される。昨夏準優勝の慶応は安定した制球の右腕森田、県内屈指の強打者正木が優勝争いの鍵。星槎(せいさ)国際はプロ注目の右腕本田を擁し、初優勝を狙う。強打者桂川が軸の桐光学園、打線に爆発力がある横浜隼人も有力だ。
代表校:横浜(2年連続17回目)
中部地方
山梨県
昨夏、昨秋、今春と3季連続で県内の大会を制している山梨学院が優勝争いの軸。東海大甲府、日本航空と駿台甲府が続く。山梨学院は制球力のある左腕吉松と打撃も定評がある右腕栗尾、強打者の捕手五十嵐ら昨夏の甲子園を経験した3年生を中心に総合力で一歩リードしている。東海大甲府は強肩の捕手亀田を中心に、2年ぶりの夏の甲子園を目指す。山梨大会で4年連続4強入りの日本航空、23年ぶりの春の関東大会で強豪前橋育英と接戦を演じた駿台甲府が後を追う。公立校では春の県大会8強の甲府工と笛吹、昨秋準優勝の市川、優勝経験のある日川に期待がかかる。
代表校:山梨学院(2年連続7回目)
新潟県
昨秋と春の県大会を制した日本文理が総合力で一歩リードしている。鋭いスライダーが持ち味の右腕稲垣、制球力のある左腕新谷ら投手陣が充実。打線は川村、松木を軸に県大会6試合で計52得点。2009年に県勢最高の全国選手権大会準優勝に導いた大井監督が今夏で退任するため、チームの士気も高い。春の県大会準優勝の中越も地力はある。坂井翔、坂井琢兄弟、小鷹、斉藤と長打力のある打者がそろう。エース沢中は春の北信越大会で好投し、調子を上げている。春の県大会4強の新潟明訓と関根学園も優勝争いに加わる力はある。1、2年主体で昨夏4強に進んだ加茂暁星も注目だ。
代表校:日本文理(3年ぶり9回目)
長野県
有力校の差はほとんどないが、今春の県大会を制した小諸商が一歩リードか。1年生の秋からエースの高橋は最速143キロの力のある直球が持ち味。機動力で広げた好機を、関や渡辺大ら中軸がいかす手堅い野球で、悲願の初優勝を目指す。 東海大諏訪は春の北信越大会で選抜大会16強の福井工大福井を破り、勢いがある。昨夏の甲子園で好投した塩沢を擁する佐久長聖は、打線の仕上がり具合が連覇への鍵だ。 春の県大会4強の東京都市大塩尻は強打が魅力。上田西の工藤や権田、松商学園の青柳真や直江、長野商の和田、松本深志の小林綾や小林絃など、各校に好投手がそろい、目が離せない。
代表校:松商学園(9年ぶり36回目)
静岡県
昨秋の東海大会で優勝し選抜大会に出場した静岡が一歩リード。25年ぶりに春季県大会を制した東海大静岡翔洋、初の甲子園出場を狙う藤枝明誠などが追う展開となる。静岡はともに140キロ超の直球に威力がある池谷、竹内の二枚看板を擁し、投手力が高い。打線も選抜大会で優勝した大阪桐蔭から8点を奪うなど強力だ。東海大静岡翔洋のエース飯沢は制球力が光り、4番の奥村は50メートル5秒9と足でも打線を引っ張る。藤枝明誠は右腕久保田を軸に粘り強く戦う。ノーシードにも昨秋の県大会優勝の聖隷クリストファー、昨夏代表の常葉大菊川、静清など実力校がおり、目が離せない。
代表校:藤枝明誠(初出場)
愛知県
強打の中京大中京と今春の選抜に出場した至学館が軸になりそうだ。中京大中京は、高校通算本塁打50本以上の鵜飼や広角に打ち分ける伊藤康のほか、谷村、沢井ら好打者が並び、打線に切れ目がない。至学館は右腕新美、左腕川口の左右両投手に安定感があり、春の県大会、東海大会で優勝。積極的な走塁で好機を作り、鎌倉、井口は長打力もある。春の県大会2位の東邦は、最速144キロの2年生右腕扇谷、勝負強い打撃を見せる1年生石川ら下級生の活躍が鍵を握る。好投手・釜谷を擁する栄徳やシード校の桜丘、愛知にもチャンスがある。ノーシードの愛工大名電、享栄も総合力が高い。
代表校:中京大中京(2年ぶり28回目)
岐阜県
春の東海大会で準優勝した大垣日大が一歩リードする。右腕修行(しゅうぎょう)は制球力が光り、チェンジアップが武器の左腕石川は完投能力がある。長打力のある宮坂を中心に打線は切れ目がない。昨夏の覇者、中京院中京は、高野、小鶴、西川らミート力のある打者がそろう。タイプの異なる6投手の継投も持ち味。春の県大会4強で、機動力を駆使する岐阜各務野と、強打の渡辺颯を擁する土岐商が追いかける。5年ぶりの夏の甲子園を目指す県岐阜商は、最速140キロ超のエース岡本に期待がかかる。今春の選抜を経験した多治見、昨秋の東海大会に出場した美濃加茂と麗沢瑞浪も上位を狙う。
代表校:大垣日大(3年ぶり4回目)
富山県
昨秋と今春の県大会を制し、春の選抜大会にも出場した高岡商に、甲子園出場経験のある新湊や、春の県大会でノーシードから準優勝して勢いに乗る砺波工などが迫る。高岡商は制球力に磨きがかかるエース左腕土合と190センチの長身を生かす伏見、最速142キロの山田が競い合い、投手陣の層が厚い。4番筏を中心にした打線も力強い。新湊は、長谷川と矢崎のバッテリーが投打の軸としてチームをまとめる。砺波工は、キレのある変化球を投げる主戦北野ら投手陣の仕上がりが鍵となりそう。打線に力のある高朋、投手を中心に守備の堅い呉羽や昨夏の甲子園出場校・富山第一なども上位をうかがう。
代表校:高岡商(2年ぶり18回目)
石川県
2連覇を狙う星稜、春の県大会優勝の金沢、昨秋の県大会を制した日本航空石川の3強が中心の展開となりそうだ。星稜は昨夏の甲子園を経験した最速149キロの本格派右腕清水や竹谷ら投手の層が厚く、打線も下位まで切れ目がない。金沢は春に3本塁打した森下ら中軸打線が強力だ。投手陣は左腕3人を擁する。日本航空石川はキレのあるスライダーが武器の右腕佐渡、185センチ97キロで長打力が光る上田らの活躍が鍵だ。春の初戦で遊学館を下して4強入りした寺井は右腕西川英が大黒柱で接戦に強い。小松大谷、金沢商、津幡に加え、春の雪辱を誓う遊学館からも目が離せない。
代表校:日本航空石川(8年ぶり2回目)
福井県
今春の県大会で初優勝した啓新、今春の選抜大会に出場した福井工大福井が軸になる。一昨年の選抜覇者・敦賀気比や昨夏の代表校・北陸、昨秋の県大会優勝の福井商も力があり、目が離せない。啓新は最速152キロを誇る牧が投手陣の中心。打線では清水の長打力に期待がかかる。福井工大福井は春の県大会5試合で計66得点。北川を中心に爆発力のある打線と、選抜で延長15回引き分けに持ち込んだ粘り強さが強みだ。敦賀気比は投手陣を中心に守備を固め、北陸は甲子園経験者6人が引っ張る。福井商はエース石本が打線でも要。春の県大会4強の坂井、好投手を擁する武生工や武生商にも注目が集まる。
代表校:坂井(初出場)
近畿地方
三重県
昨秋、今春の県大会で続けて4強に残った近大高専、菰野と、春の県大会準優勝の津田学園が中心になりそうだ。初優勝を狙う近大高専は打線に厚みがあり、今春の県大会は1試合平均約8点を奪い優勝した。エースの中西に続く投手の台頭が鍵を握る。菰野は投手陣が充実。安定感のある左腕・村上のほか、140キロ超の直球を投げる岡林飛、田中法もいる。津田学園はエース水谷を中心に、堅守が光る。主軸の仲林ら2年生に主力が多く、勢いがある。投打にバランスのとれた津商もシード校入り。連覇のかかるいなべ総合、昨秋王者の海星、好投手を擁する宇治山田商、三重はノーシードから頂点を目指す。
代表校:津田学園(初出場)
滋賀県
今春の選抜に出場した滋賀学園、昨秋と今春の県大会でともに4強入りした近江、春の県大会を制した彦根東を中心に、混戦になりそうだ。滋賀学園は変化球が持ち味の棚原に、甲子園登板経験のある神村も控える。後藤ら経験豊富な打線も強みだ。近江は春の県大会で村田が4試合に先発し、力をつけた。北村、香水、西村啓らの長打力も光る。彦根東は3年の松井、2年の左腕増居ら投手陣の層が厚く、春の全5試合では5投手が登板。1失策の堅守で守り抜いた。春の県大会で準優勝した強打の草津東、初めて4強入りした伊吹に加え、北大津、八幡商、八日市など公立勢も上位をうかがう。
代表校:彦根東(4年ぶり2度目)
京都府
混戦模様の中、春の府大会優勝の龍谷大平安が軸となりそうだ。左腕高井はキレのある速球が持ち味。2年生の小寺、島田も球威がある。打線は長打力のある岡田や松田を中心に切れ目がない。昨秋の府大会を制した東山のエース金和は、140キロ超の速球と多彩な変化球で勝負する。打線にも粘り強さがある。同準優勝の京都翔英は中軸打者に力がある。エース藤山の復調が鍵となる福知山成美は、ノーシードから上位を狙う。春の府大会準優勝で勢いに乗る綾部や同4強の立命館、京都国際、さらに好投手を擁する京都成章、昨秋の府大会4強の乙訓(おとくに)にも注目だ。
代表校:京都成章(19年ぶり3回目)
大阪府
選抜の決勝で史上初の大阪対決を制した大阪桐蔭、準優勝した履正社が軸だ。大阪桐蔭は選抜の初戦から公式戦で16連勝。「夏まで負けなし」を目標に掲げ、春夏連覇を目指す。選抜でマウンド度胸が増したエース徳山をはじめ、横川、柿木、吉峰ら投手陣が春に力をつけた。履正社は6月上旬時点で高校通算57本塁打の安田、若林ら強力打線が健在。エース竹田は制球力を磨き、選抜の雪辱を期す。東海大仰星は春季府予選で履正社を破り、近畿大会で準優勝。笹沼ら好右腕がそろう。大体大浪商のエース宮本は直球の威力が抜群。春季府予選4強の上宮太子、公立勢の今宮、北野、池田も上位をうかがう。
代表校:大阪桐蔭(3年ぶり9回目)
兵庫県
選抜4強で春の県大会も制した報徳学園が一歩リード。昨秋の県大会で報徳学園を破って優勝した神戸国際大付、連覇をめざす市尼崎、春の県大会準優勝の社などが追う。報徳学園のエース西垣は選抜全4試合に先発し、140キロ超の直球に磨きをかけた。打線は小園や篠原を中心に切れ目がない。神戸国際大付は昨秋の近畿大会で準優勝。黒田、岡野の左右二枚看板で臨む。市尼崎は谷尻、殿谷ら昨夏の甲子園出場メンバーが多く残った。社は春の県大会5試合で37得点の攻撃力を誇る。このほかエース野上を擁する育英や、2年連続準優勝の明石商、東洋大姫路、滝川二にも注目だ。
代表校:神戸国際大付(3年ぶり2回目)
奈良県
一昨年秋から県内の公式戦で無敗の智弁学園が軸となる。春の県大会準優勝の奈良大付、4強の天理、高田商が力の差を縮めている。智弁学園は昨春の選抜優勝メンバー、福元と太田が打線を引っ張る。エース松本は今春の選抜を経験し、安定感を増した。春の県大会決勝で、智弁学園を七回まで6点リードした奈良大付は、切れ目のない打線が持ち味だ。天理は一昨年夏の甲子園を経験した4番神野を中心に打撃力がある。今春の選抜に出場した高田商は制球力のある左腕古川の出来が鍵に。昨秋4強の橿原学院と高取国際、昨夏4強の郡山の戦いぶりも注目される。
代表校:天理(2年ぶり28回目)
和歌山県
今春の近畿大会に出場した智弁和歌山が一歩リードしている。捕手に定着した蔵野が投手陣を引っ張り、春季大会県予選では5試合で失点4。長打力があり、昨夏も主軸を担った文元に、黒川らが加わった強力打線は健在だ。追う各校は実力伯仲。県予選準優勝の和歌山商は昨夏の主力の南らが打線を引っ張る。昨秋の近畿大会に出場した和歌山東と高野山の力も安定しており、右上手投げの白浜を擁する向陽も上位進出の力がある。県予選初戦で九回に9点差から逆転サヨナラ勝ちして、4強に進出した紀北工も勢いに乗る。市和歌山の宮本、箕島の中川、田辺の爰川(ここがわ)ら好投手の活躍にも注目だ。
代表校:智弁和歌山(2年ぶり22回目)
中国地方
岡山県
春の県大会を制し、4季連続の甲子園出場を目指す創志学園を、玉野光南、倉敷商、関西などの実力校が追う展開が予想される。いずれも好投手を擁しており、打線の出来が鍵を握りそうだ。創志学園の投打の中心はエースの難波。キレのある変化球を巧みに使い、打たせて取る。俊足巧打の主将山本ら、打線がどれだけ難波を援護できるかがポイントになる。春の県大会準優勝の玉野光南は、最速148キロ右腕の斎藤寛、奥田ら投手陣が充実。4強の倉敷商も2年生投手の引地を中心に堅守を誇る。昨秋の県大会優勝の関西は物部、神頭、二村と投手陣が多彩だ。玉島商や興譲館、倉敷工も上位を狙う。
代表校:おかやま山陽(初出場)
広島県
春の県大会を制した広島新庄と準優勝の広陵を中心にした展開が予想される。広島新庄は昨夏の代表校。昨秋の県大会でも優勝し、安定した実力を見せる。最速139キロのエース有村と右腕竹辺ら投手陣は、打たせて取る投球が持ち味。打者には昨夏の甲子園を経験した古川、河内もいる。広陵は春の県大会4試合で相手打線を0点に抑えるなど、平元―中村のバッテリーを中心に堅い守りが特徴だ。今春の選抜出場の呉は高松、永田ら投手陣の成長が鍵を握る。春の県大会4強の如水館は石垣、肴屋(さかなや)を中心につなぐ野球が持ち味。西条農、尾道商、高陽東なども上位をうかがう。
代表校:広陵(3年ぶり22回目)
鳥取県
昨秋、今春と県大会で優勝し、春季中国地区大会を今春初めて制した鳥取城北が頭一つ抜け出ている。今春の県大会で準優勝した米子東、4強の倉吉東、鳥取西が追う。鳥取城北は部員約150人で選手層が厚い。投手陣は変化球がいい福本、140キロ超の速球を投げる松江の両右腕と打たせて取る左腕黒木ら。打線は1番を打つ山本貴をはじめ、上位から下位まで力のある打者がそろっている。米子東は2年からエースの妹尾、捕手加藤のバッテリーを中心に守りが堅い。倉吉東は攻守にバランスがとれ、投手は名越と山田昂の二枚看板。鳥取西は田見、土居ら昨夏からメンバーの4人がチームを引っ張る。
代表校:米子松蔭(17年ぶり3回目)
島根県
春の県大会を制した石見智翠館を中心に、大社、益田東、浜田が絡む展開が予想される。県大会では上位進出を逃したが、開星、立正大淞南のほか、昨年優勝の出雲も後を追う。石見智翠館は投打に安定した力がある。2年前に夏の甲子園で投げた安藤に加え、小立、亀川と投手層が厚い。大社は140キロ超えの直球とスライダーが武器のエース長岡の出来が鍵を握る。益田東は前田、浜田は重川がともに横手から切れのある変化球を投げる。立正大淞南は安定した守備が健在で、開星は攻撃力が高い。連覇を狙う出雲も機動力を絡めた攻撃で上位をうかがう。
代表校:開星(3年ぶり10回目)
山口県
昨秋と今春の県大会を制した宇部鴻城を軸に、高川学園などの有力校が競い合う。宇部鴻城はキレのいい直球を投げ込む左腕の早稲田をはじめ、エース級4人を擁する投手陣の厚さが強み。主将で中軸の嶋谷ら長打力がある打者もそろう。昨夏の山口大会覇者、高川学園は上り調子。エースの椋木は右横手から最速138キロの直球をコーナーに投げ分け、打線はつながりが良い。昨秋と今春の県大会でいずれも4強の徳山商工は吉村、高尾らの投手陣が失点を抑え、接戦慣れしている。足を絡めて得点を重ねる岩国商、粘り強い野球の桜ケ丘、走攻守のバランスが取れた長門も上位をうかがう。
代表校:下関国際(初出場)
四国地方
香川県
春の県大会で優勝した三本松や、昨秋と今春の四国大会に出た英明が一歩リード。高松商や坂出なども力がある。三本松は、140キロ前後の力強い速球が持ち味の右腕佐藤の投球が鍵を握る。主将渡辺を中心とする打線も切れ目がない。英明は強力打線が好調で、長打力がある藤井や千原が注目される。高松商は右腕松岡が守備の要。主将植田、藤川、篠宮、米麦ら長打力のある打者がそろう。昨夏、決勝で敗れて逃した全国選手権出場を目指す。坂出は制球力がある西山の堅実な投球が期待される。昨夏の優勝校・尽誠学園のほか、大手前高松、寒川などの実力校も頂点をうかがう。
代表校:三本松(24年ぶり3回目)
徳島県
今春の県大会を制した徳島商と、昨秋と今春の県大会でいずれも準優勝した鳴門渦潮の実力は伯仲している。大会初の6連覇がかかる鳴門にも注目だ。徳島商は、春の県大会5試合で14打点をたたき出した千里(ちり)を中心に、武田、森山と長打力のある選手が並ぶ。持ち味の機動力も生かして、相手守備を揺さぶる。鳴門渦潮は春の県大会でチーム打率3割4分を記録した。打率5割超の豊久を筆頭に、切れ目のない打線はどこからでも好機を作れる。昨秋の県大会で優勝した生光学園は選手層が厚い。昨秋、初の四国大会出場を果たした徳島北や、富岡西、池田なども力がある。
代表校:鳴門渦潮(9年ぶり7回目)
愛媛県
今春の選抜大会に出場した帝京五と昨夏代表の松山聖陵が一歩リードしているが、他校の実力も伯仲している。帝京五は打率が4割を超える篠崎や俊足の主将宮下がチームを引っ張る。打線は下位まで切れ目がなく、磨かれた選球眼が試合を有利に運ぶ。松山聖陵は優勝した今春の県大会の1試合平均得点が7点近く。多彩な変化球を投げる左腕岡本を中心に投打でレベルが高い。昨秋の四国大会4強の済美は打力があり、右腕八塚は威力のある速球を投げる。長身左腕の内田を擁する宇和島東、昨夏の愛媛大会準優勝の新田、今春の県大会で準優勝した松山商にも注目したい。
代表校:済美(4年ぶり5回目)
高知県
昨秋の四国大会以降、県内の公式戦では負け無しの明徳義塾が一歩リード。今春の選抜大会に21世紀枠で出場した中村、高知中央、岡豊が追う。シードの常連だった高知、高知商、土佐がシードから外れ、混戦の予感だ。明徳義塾の左腕北本は多彩な変化球が光り、右腕の市川も上手投げから横手投げに変えて安定感が増した。打線は中軸の今井、谷合から下位まで切れ目がない。中村は昨夏の決勝で明徳義塾に敗れ、エース北原を中心に雪辱を誓う。高知中央は強力な打線が持ち味。岡豊は守備が堅く、失策も少ない。高知、高知商、土佐も春季県大会以降、経験を積み、差を縮めつつある。
代表校:明徳義塾(8年連続19回目)
九州・沖縄地方
福岡県
選抜8強の福岡大大濠と東海大福岡が軸になる。福岡大大濠のエース三浦は140キロを超す直球と制球力が光る。三浦が選抜4試合中、3試合を完投する一方、春の九州大会は三浦を温存した2戦目で敗れた。投手陣の底上げが鍵だ。東海大福岡は粘りが持ち味で、昨秋の県大会は3試合を逆転勝ち。エース安田のテンポの良い投球が、チームを支えている。春の県大会を制した九産大九州や強力打線の西日本短大付、昨夏4強の真颯館も頂点を狙う。4連覇がかかる九州国際大付も注目。公立勢は20年間、夏の甲子園を阻まれており、東筑や昨秋の県大会4強の小倉工の奮起が期待される。
代表校:東筑(21年ぶり6回目)
佐賀県
例年以上に各校の実力差が小さく、大混戦だ。軸になるのは佐賀北。小技や機動力を駆使する粘り強い攻撃は健在で、昨秋、今春の県大会を制した。エース中島拓は打たせて取る投手。百崎監督は3月に定年を迎えたが、再任用で全国制覇から10年の今夏も指揮を執る。佐賀商は昨秋の九州大会8強。空閑(くが)ら勝負強い打者がそろい、9年ぶりの甲子園に期待がかかる。今春の県大会準優勝の佐賀学園は左腕藤崎の直球にキレがある。昨夏代表の唐津商は、俊足岡本晃、長打力のある土井ら甲子園経験者の存在が大きい。強打の伊万里農林、好投手を擁する早稲田佐賀、敬徳、神埼清明にも注目だ。
代表校:早稲田佐賀(初出場)
長崎県
昨秋の県大会を制した長崎日大やNHK杯で上位に入った大村工、創成館のほか、多くの公立校も実力をつけており、例年以上に混戦模様だ。長崎日大は多彩な投手陣と長打力のある大塚ら攻守のバランスが取れたチーム。大村工は切れ目のない打線が武器。主戦・満行の直球も光る。機動力を生かした攻撃が得意の創成館は春から調子を上げてきた。波佐見は伝統の強力打線が健在。速球派の村川竜、左腕の隅田が投手陣を支える。春の県大会で初優勝した鹿町工(しかまちこう)は讃岐、浜口の制球力の良さが特長。昨夏の長崎大会覇者・長崎商に加え、佐世保実、清峰、海星も上位をうかがう。
代表校:波佐見(16年ぶり3回目)
熊本県
昨春から3季連続で甲子園4強入りした秀岳館が中心。その秀岳館に今春の選抜に出場した熊本工、今春の県大会を制した文徳、NHK旗優勝の九州学院などがどう迫るかが見どころ。昨夏の熊本大会1回戦で敗れた八代が今春の県大会では準優勝、球磨工が4強入りするなど公立勢も頭角を現している。秀岳館は田浦、川端の両左腕が軸となり、守備でリズムをつくって攻撃につなげる。打線は俊足の半情、長打力のある木本や広部、幸地と上位から切れ目がない。春の選抜で奈良の智弁学園に0―9で敗れた熊本工は、エース山口の制球力と打撃力の底上げが甲子園出場への鍵になりそうだ。
代表校:秀岳館(2年連続3回目)
大分県
昨秋と今春の県大会を連覇した明豊と、昨秋の県選手権を制した大分商がややリード。昨夏の覇者・大分やシード校の杵築などが後を追う。明豊は1年時の一昨年、甲子園を経験した中軸・杉園を筆頭に、下位打線でも得点を期待できる。大分商は広沢、三代を軸に大量得点を狙える打撃のチームだ。大分は1番の三浦を中心に、積極的な走塁で確実に点を積み上げる。杵築は球威のある市原良、太田が好投手。外野手は俊足ぞろいで、守備も堅い。キレのある直球と変化球が武器の柳ケ浦の田中は今大会注目の右腕。最速145キロの尾花を擁する藤蔭からも目が離せない。
代表校:明豊(2年ぶり6回目)
宮崎県
春の九州大会に出場した日南学園が2年連続の代表を狙う。ほかにも6月の県選手権で優勝した延岡学園を筆頭に、宮崎日大、日章学園、都城東、鵬翔など私立の実力校がしのぎを削る。春の県大会で準優勝した宮崎南、4強の都城商などの公立勢も着実に力をつけている。日南学園は、出塁率の高い河野、長打力のある金丸を中心に打線が充実している。けがから復帰したエース上野の仕上がり具合が鍵を握る。延岡学園の藤谷は1年時からマウンドを経験し、140キロ超の直球が魅力の右腕。宮崎南は好機での集中力にたけている。宮崎日大の木幡、都城商の森といった投手もこの夏の主役候補だ。
代表校:聖心ウルスラ(12年ぶり2回目)
鹿児島県
春の九州大会優勝の神村学園と準優勝の鹿児島実、そしてNHK旗準優勝の鹿児島城西が横一線で代表を目指す。神村学園は俵森、中里、青柳と投手層が厚い。守備からリズムをつくり、長打力がある捕手田中怜を中心にたたみかける。鹿児島実は春の九州大会4連投のエース渡辺が好調だ。186センチの長身から切れのあるスライダーを繰り出し、九州の強豪校を計5失点に抑えた。鹿児島城西のエース石川はNHK旗で鹿児島実を完封、準優勝に導いた。大会2連覇がかかる樟南と、昨秋の県大会優勝のれいめいは打線に期待がもてる。春の県大会8強の池田、公立勢では大島、武岡台が上位を狙う。
代表校:神村学園(5年ぶり4回目)
沖縄県
昨秋、今春の県大会いずれも8強に進出できたのは2校のみ。今年も混戦模様だ。最有力は春優勝の沖縄尚学か。タイプの違う左右の3投手は力の差がない。打線も、1年の夏から中軸を任される砂川を中心に上位から下位まで切れ目がない。美来工科はエースで4番の山内が大黒柱。力強い直球と沈む変化球が持ち味で、5月の招待試合で早稲田実(東京)を相手に計8イニングを3安打に抑えて自信をつけた。春の九州大会4強の美里工は強力打線が武器。試合巧者の興南、昨秋4強の知念、那覇も投打のレベルが高い。昨夏代表の嘉手納、好投手を擁する宜野湾、実力校のコザも上位を狙う。
代表校:興南(2年ぶり11回目)
優勝校の予想
2017年の甲子園優勝校はどこか。優勝候補筆頭は大阪大会の優勝校になるのは間違いない。選抜大会は同一都道府県同士の決勝としては45年振り、大阪勢同士では史上初となった大阪桐蔭 対 履正社の大阪勢対決。選抜では大阪桐蔭に軍配が上がったが夏大会はどうなるのか。横綱対決とも目されており、地方大会の中で一番の注目度が高まる。
激戦区と呼ばれる神奈川県の優勝校も本命候補。横浜、東海大相模、慶応義塾、桐光学園、日大藤沢と混戦模様。対抗馬になりそうなのは西東京都、福岡県、兵庫県、熊本県。スポーツ紙でも連日取り上げられているのが清宮幸太郎擁する早稲田実業。清宮が入学して以来一度も勝てていない日大三高がリベンジを果たすのかに注目が集まっている。
また選抜ベスト8同士の福岡大大濠と東海大福岡がいる福岡県は激戦必至。作新学院(栃木)は昨夏優勝校として研究されている中で勝ち残れるのか。選抜ベスト4の報徳学園(兵庫県)や秀岳館(熊本県)も県予選は油断できない。春の選抜で勝てても夏の甲子園で連続出場できるチームは少ない。どの都道府県も県ベスト4以上は優勝できる実力があるだけに予想がどれだけ的中しているかにも注目。