【健康で文化的な最低限度の生活】感想ネタバレ第2巻まとめ

2014年からビッグコミックスピリッツで連載中の『健康で文化的な最低限度の生活』第2巻を読んだ感想評価ネタバレ書評

福祉事務所でケースワーカーとして働きはじめた新人公務員の義経えみる。生活に困窮している人々を支援することの難しさに悩みながらも、日々、[生活]の最前線で奮闘している。

あらすじ

福祉事務所でケースワーカーとして働きはじめた新人公務員の義経えみる。生活に困窮している人々を支援することの難しさに悩みながらも、日々、[生活]の最前線で奮闘している。そんな折、就労支援に取り組む最中で、えみるが担当する阿久沢さんに多重債務が発覚!

一方、同期の七条が担当する岩佐さんも、高い就労意欲とは裏腹に精神的に追い込まれ…対応に葛藤する新人ケースワーカー達。第2巻では、容易にはいかない就労支援の実態と、騒がれている不正受給の、とある一面が描かれる。彼らにできることは何なのか?

目次
第8話 だからどうしろと言うのこの僕に
第9話 WHY?
第10話 それぞれの
第11話 夏の休日
第12話 日下部欣也くん
第13話 不正受給?
第14話 63? 78?
第15話 全額徴収
第16話 やり場なき怒り
第17話 彷徨う

本編あらすじ

就労に強い意欲を持っていた岩佐朋美さんの支援を担当するのは、義経えみると同期の七条竜一。岩佐さんは夫のDVが原因で離婚。2児の母であり、「働けます!私は生活保護なんか受けるような人間じゃないんです!」としていますが、七条の上司が岩佐さんの精神的な不安定さに気付きます。

f:id:kaizoku-diary:20201115103821p:plain

上司に言われ、七条は岩佐さんに精神科を受診するよう指示をしたところ、岩佐さんはうつ病の診断とPTSDの症状も見られました。生活保護を受給していることに対する自責の念、「働け」という世間のプレッシャーがあるため、病院の先生は七条に「なるべくプレッシャーをかけないように」とアドバイスします。

前半のもう一つの話は多重債務の話。阿久沢正夫さんは1巻から登場しています。健康上の異常はないはずだが、緊張感のためか咳が止まらない人です。

えみるは法テラスに行くことを勧めますが、阿久沢さんは責任感が強く頑なに拒みます。阿久沢さんは過去に会社を経営していましたが失敗したため現在は多重債務を抱えています。

ベテランのケースワーカーの半田さんが上手に説得し、法テラスに行くことに納得しました。結果的に過払い金が発生しており、もう返済が終了していることが発覚します。しかもかなりの過払い金が戻ってくることになりました!

後半は不正受給の話。日下部さとみさんは、認知症のおじいさんと子どもが2人(高校生と中学生)の4人家族。シングルマザーで親の介護をしながら、パートで働いて家事までするさとみさんは大変な様子が伺えます。

反抗的だった高校生の息子(欣也)が最近はギターに夢中になることで態度が落ち着き、中学生の娘も手伝いをしてくれるみたいで落ちついて生活できているようです。

ある日、えみるは上司から日下部さんの世帯に申告してない収入があると指摘されます。生活保護受給者は、申告せずに黙って収入を得ている場合、不正受給になってしまいます。日下部さんの息子の欣也が収入申告せずにアルバイトをしていました。

日下部さんの家に訪問に行き、事実確認しに行くえみる。母のさとみさんは息子がアルバイトしているとは知りませんでした。息子の欣也が帰宅し、えみるは本人に話を聞きます。

えみるは、生活保護を受けている家庭は収入を申告しなければいけないことを説明。収入を申告してない場合は、不正受給となりバイト代を役所に返してもらうことになると2人に告げます。

義経えみるは安易にアルバイトを勧めてしまったり、全額返還しなくてもいいかもしれないと中途半端な説明をしてしまいます。「期待させて落とす」ことをしてしまいます。

***感想・評価・考察***

新人ケースワーカーの目を通して、生活保護のリアルに迫る青春群像劇。題名は日本国憲法第25条第1項の条文「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」からとられている。連載開始以来、本屋でも大きく取り上げられていたため、気になって購入しました。

14話冒頭の数字
生活保護利用者数:216万1053人
生活保護費総額:3兆6028億円
不正受給額:190億5372万円(全体の0.5%)
※平成24年度厚生労働省

不正受給の話はアホだなと呆れる話でした。確かにアルバイトをして自分で稼ぐのは偉いですが、稼いだ収入を申告しなければ不正受給となる。今回は、そのことを欣也が知らなかったので稼いだ金額を全額徴収することになった。

欣也からしたら、自分が稼いだ金で自分の欲しいものを買ってどうしていけないんだ、と納得がいっていない様子。いや、納得しろよ!そこ申告しろよw

感想としては不条理でもなんでもないと思います。今回は本人は知らなかったという流れで、悪質ではありませんが「知らなかったからOK」にはなりません。こんなことがないように役所は書面にて通知し、本人にもサインをもらっています。

役所の仕事はこんなことまでするのかと驚きました。丁寧な仕事をしています。それなのに「知らなかった」ってお前はどんだけバカなんだよと思った内容でした。うっかりで60万円は稼げませんよ。

高校生の欣也は過去にも万引きや自転車窃盗による補導歴があります。こういう奴は将来絶対に犯罪をおこします。ここらへんで徹底的に社会の厳しさを教えてやるのが筋というものでしょう。個人的にすぐキレる奴は更生できないと思っています。