【死刑囚042】感想ネタバレ第5巻(最終回・最終話・結末)まとめ

2002年から2004年まで週刊ヤングジャンプで連載していた『死刑囚042』最終巻5巻の最終回(最終話)を含めた感想ネタバレまとめです。結末(ラスト)はいかに!?

死刑囚042(5) (角川コミックス・エース)

死刑囚042(5) (角川コミックス・エース)

 

死刑囚・田嶋良平は、死刑に代わる新制度の実験台として、一定の殺人衝動を超えると爆発するチップを脳に埋め込んで、公立高校にて奉仕労働している。データが十分集まったとして、田嶋の学校での実験は終了した。しかし、次の被験者である053号のチップが爆発してしまい…。田嶋に運命の刻が迫る!

これまでのあらすじ

舞台は日本に限りなく類似した架空の近代法治国家。死刑囚042号(本名:田嶋良平)はある日突然独房から出され、椎名という研究者から死刑制度に代わる新たな制度のための実験に参加しないかと言われる。

その実験とは、殺人犯などの凶悪な死刑囚を死刑にする代わりに、興奮し殺意を抱いた時に脳が発する周波数を感知すると自動的に爆発するチップを脳内に埋め、かつ24時間体制の監視役をつけて安全を確保した上で社会奉仕をさせるというものであった。田嶋はその提案を受け入れ、チップを脳内に取り付け、「集英高校」で働く事になる。

本編あらすじ

ゆめはバイオリンでプロデビューしないかと誘われる。コンクール入賞のタイミングでCDデビューの話をもらい悩むゆめ。告白もされる。

042号の実験が終了することになり、刑務所に戻されることになった。みんなが諦めずに継続する道を検討している中で、椎名自身も仲間と一緒に第二の実験計画案を検討する。ゆめはあくまで自分のペースでゆっくりと進むことを決め、CDデビューと、告白、両方を断るがすっきりとした表情で歩いていく。

3度目の春に新しい実験体『死刑囚053号』がくる。本名:湯川安貴。25歳の時に猥褻目的で6歳、5歳、7歳の少女を次々と連れ去り殺害した快楽殺人鬼。椎名は田嶋に「動くマネキンかロボットだと思ってこらえろよ」とアドバイスする。

田嶋は「わざとじゃなけりゃ、そうとうズレてるよなアイツ」と感じる。田嶋との会話の中で椎名は「君はまだ・・・10歳やそこらの子供だったのに」と田嶋が子供時代に殺人を犯していることに気づく。

ゆめは田嶋に会いたいが、周囲に死刑囚053号がいることから止められる。椎名が学校でお別れのスピーチをおこなう。

この国の犯罪件数は年間2万件を越えます。そのうち殺人は大体1千件以上。そのうち大体6百件くらいが起訴されますが、死刑判決は年間数件も出ません。つまり殺人を犯した者も大多数がこの社会に戻ってきているんです。

死刑判決を受けた者と何十年かして社会に戻ってくる者。この両者は別世界の人間でしょうか?気づいてないだけで彼らは確実に我々の社会の一部なんです。我々が別世界だと思い込んで過ごしているだけにすぎません。

彼らもまた同じ人間で、君達と同じように母親から生まれ、ようやく立ち上がり、小学校に通い、中学校に通い、少し乱暴な言い方かもしれませんが、いま君達の隣に立っている。そういう人間の一人だったはずです。

何か他の人と感覚が違うと気づき傷ついたり、家庭の問題であったり、友人関係であったり、そういう小さな日常のほころびから・・・始まっていったのかもしれません。

だから、どうかあなたのまわりをもっと見てあげて下さい。さみしそうな人や何か問題を抱えているような人に少しだけやさしくしてあげて下さい。我々の社会の見えない隅に追いやらないであげて下さい。

第一の実験はそうして終わった。

それから4カ月。僕達は緑豊かな老人介護施設にいる。田嶋は点訳をこなせるようになって、ボランティア団体から仕事を引き受けている。今は映画化された有名な小説を訳している。ここは時間がゆっくり流れている。山口のじいさんの本のおかげで、田嶋はお年寄りに人気がある。彼のためには良かったのかもしれない。

椎名の結婚式に参加する田嶋。

人生には今思いかえせばあれが「幸せ」そのものだったな・・・と思い返す「幸せ」の方が多い。今幸せだと感じることはとても少なく、一瞬のことなのだけど、一生忘れられないそんな「幸せ」になる。

あやのと再開する田嶋。あやの腕には生まれたばかりの子供が抱えられている。「ありがとう」と伝える田嶋。

これが最後の幸せな彼の姿になった。

その後、053号がチップの誤作動で死亡。実験は中止になる。最後のカウンセリングで、田嶋から過去の失踪事件の話を聞かされる椎名。別れる最後にカウンセリングの手続きをしてくれと頼む椎名。

「ああ わかった」「ありがとな 椎名」「みんなも」「楽しかった」

それが彼の最後の姿になった。彼はカウンセリングを申請しなかった。彼のプライドがそうさせたのか。それとも彼なりに僕を気遣ったのかはわからない。半年後知らせが突然やって来た。新聞で公表されるまで僕達は何も知らされなかった。死刑が執行された2日後のことだ。

エピローグ

死刑囚042(1) (角川コミックス・エース)

死刑囚042(1) (角川コミックス・エース)

 

ゆめちゃんは教育学部の音楽科に合格。教師を目指しながら音楽家への道に邁進している。あやのさんは二人目を無事出産。旦那さんも赴任先から戻って4人で賑やかに暮らしている。

みらいちゃんとまりあちゃんは揃って有名大学の法学部に合格。未来の法曹界を担う頼もしいタッグだ。みらいちゃんは姉離れが少し進んだようでなによりだ。

真崎は刑務官さんと結婚し退職。僕と琴子さんにはもうすぐ子供が産まれる。しばらくして本庁の笹塚さんから手紙が届いた。ある写真を僕を気遣ってしばらく封印していたそうなのだ。

(結婚式のときの4人の幸せそうな写真が写っている)

彼は今、緑豊かな自然の中で眠っている。