2019年ラグビーW杯対戦相手の特徴分析と勝利の期待

2019年ラグビーW杯組み合わせ抽選会の結果、アイルランド、スコットランドと同組になりました。アイルランドとはどんなラグビースタイルなのか、他の対戦国はどうなっているのか、変革の時期を迎えたJAPANラグビーはどうなるのか。対戦相手への特徴を分析しながら今回の抽選会の感想をまとめました。

【ラグビー2019W杯】日本“死の組”入り回避は本当に吉か

5月10日、京都迎賓館で2019年9月20日から日本で開催されるラグビーワールドカップ(W杯)の組み合わせ抽選会が行なわれた。ホスト国の日本代表(世界ランキング11位)は予選プールAに入り、世界ランキング4位につけるアイルランド代表、5位のスコットランド代表、ヨーロッパ地区1位チーム、そしてヨーロッパ・オセアニア大陸間プレーオフ勝者チームと対戦することが決まった。

マスコミは「死のグループを回避できて良かった」「比較的楽なグループに入れた」という意見が多いですが、少し勘違いしている雰囲気があります。そもそも前回大会まで日本はW杯で1勝しか挙げていない国でした。

おそらく「相手に恵まれた」と思っているのはアイルランドやスコットランドのほうではないでしょうか。イングランド、南アフリカ、オーストラリアとの対戦を避けられたのは幸運でしたが、アイルランドとスコティッシュは日本にとって格上のチームであることは間違いありません。

そこらへんは選手やラグビー関係者が一番理解していると思います。「楽なグループはない」というコメントに、ベスト8への野心が見え隠れしている気がします。

偉大なる敗者と呼ばれるアイルランド

ワールドラグビー世界ランキング4位。昨秋のニュージーランド戦では対戦史上初めてオールブラックスを破り、今季の6カ国対抗ラグビー最終節でも、それまでテストマッチ18連勝を続けていたイングランドに土をつけた。ラグビーワールドカップ2015イングランド大会でも、その年の6カ国対抗を制していたこともあり、優勝候補の一角に挙げられていたアイルランドだが、恐ろしいくらいの充実ぶりは止まるところを知らない。

出典:http://jpn2017.rugby-japan.jp/ireland/

死のグループではないので楽観的な主張が多いですが、アイルランド、スコットランドとの相性は悪いです。どちらも弱点らしい弱点もなく、ベーシックスキルの高いチーム。両チームとの過去のテストマッチ成績は全戦全敗なので、全然楽なグループじゃありません。

しかもアイルランドは往年のオールドタイプの戦術から、強力なFW陣と展開力のあるBK陣が融合した最先端のラグビースタイルを取り入れて過去最強と評価する人もいます。抽選会でのアイルランド代表HCであるジョー・シュミットのコメント「今日の抽選で、これからメインミール(W杯本番)はどうなるのか。今日は前菜です。」という独特なコメントも飛び出した。

勝率0%のスコットランド

スコットランドとの対戦成績は7戦0勝7敗。スコットランドに勝った最初で最後が宿澤広朗監督がいた1989年の一戦だけ。この試合はナショナルチームではなかったとはいえ、代表チームに準じる相手との対戦であることに変わりはない。

宿沢さんが生きていれば今回の組み合わせを見て「スコットランドには勝てると思います」とコメントしたのは間違いない。当時、スコットランドの非公開練習をグラウンド横の伊藤忠商事ビルから双眼鏡で偵察していたってエピソードは今も語り草になっている。

スコティッシュラグビーは手堅いラグビースタイルで「負けない試合」をするというイメージ。自分らにとって嫌な流れを作らせないし、とにかく試合運びが上手い。スコッチ・ウイスキーを片手にスコットランド相手に完全勝利する日が来ることを望んでいる。

オセアニアという怖い存在

ヨーロッパ・オセアニア大陸間プレーオフ勝者チームはフィジー・トンガ・サモア辺りが有力です。どこが来ても安心できません。対戦成績はフィジー(17戦3勝14敗)、サモア(15戦4勝11敗)、トンガ(16戦7勝9敗)と負け越しています。おそらく2016年リオ五輪チャンピオンのフィジーとは対戦が避けられそうですが、トンガ、サモアも強豪国です。

近年のテストマッチでは勝ったり負けたりしていますが、テストマッチではあまり本気を出してこないから注意が必要です。W杯では別人のチームになります。事実、1999年W杯のサモア戦、2003年W杯のフィジー戦、2007年W杯のフィジー戦、2011年W杯のトンガ戦、とアイランダーには全敗。

マスコミは五郎丸を使いすぎ

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マスコミやW杯後のファンは五郎丸歩選手をJAPANの顔のように取り上げる人が多いですが、今の日本代表メンバーに選ばれていないんですよね…。彼もスター選手に扱われて色々とプレッシャーを受けていそうで、ちょっと可哀想な感じになっています。残念ながら2019年W杯ではメンバーに選ばれないと思います。

才能豊かなBK陣でレギュラーを何年間も維持できるほど甘くない。まず年齢的な問題。スピードが要求されるポジションで、33歳で迎える2019年のメンバー入りはかなり厳しい。確実に選手としての旬を過ぎている。

キッカーとしてなら田村優(NEC)がいますし、FB候補としても松島幸太朗(サントリー)を筆頭に、尾崎晟也(帝京大学)や野口竜司(東海大学)など若い才能も台頭してきています。

JAPANラグビー変革の時期

代表の強化にとって不可欠な強豪国との国際試合も、この枠組みに基づいて組み合わせが決められてきたからです。事実、W杯を別にすれば、2008年から私がGMに就任するまでの4年間、日本代表が世界のトップ10にランキングされているチームと試合をしたケースは1回しかありませんでした。

出典:勝っても「格付け」が変わらない!?世界のラグビー界は驚きの階級社会。

世界のラグビー界では各国のレベルごとに「ティア1」「ティア2」にカテゴリー分けされています。これらはテストマッチにも影響されており、強豪国との国際試合にも影響されていました。これまでティア2に属するJAPANは「強豪国と国際試合をしたくても出来なかった」のです。

しかし15年W杯の活躍を経て、強豪国ともマッチメイクされる機会が格段に増えました。これはW杯で活躍できた最大のメリットであると断言できます。このチャンスをぜひ生かしてほしい。

変革の時期を迎えたJAPAN。ラグビー人気が高まった今、本当の意味での「強さ」が求められています。それを証明する最高の舞台が2019年日本開催のW杯です。「2015年はマグレ勝利か」と言われるか「強豪の仲間入り」を果たせるかが試されています。

まとめ

前回大会までJAPANは「雪辱を晴らしたい(福岡堅樹)」「どのチームも強くやりがいのあるプールだと思います(山田章仁)」なんてコメントを言える立場ではありませんでした。

ファンからするとどんな前向きなコメントも「まず1勝してから言えよ」という評価しか出来ませんでした。それが今や自信溢れるコメントを選手が言えるようになり、またファンもそれを信じられるようになりました。

2017年6月17日と24日にアイルランド戦があります。W杯の前哨戦と言われていますが、テストマッチ未経験の8人を含む若いメンバーが多く、主力選手がいないので2軍メンバーになっています。2軍で勝てると思われているのでしょうか。舐められたもんだなJAPAN。そんなチームに負けるな!頑張れ!

アイリッシュ・コーヒーを飲みながら健闘を祈っています。