【リオ五輪回顧録】7人制ラグビーの偉業と日本のメダリスト

熱狂のリオオリンピックがついに終幕しました。終わってみればあっという間のオリンピック。改めて日本の成績を振り返りたいと思います。日本選手団は前回ロンドン大会の38個を上回り、過去最高の41個のメダルを獲得しました。

過去最高の41個のメダルを獲得

www.joc.or.jp

前評判通りに活躍した競技や選手もいれば、前評判以上に活躍した競技や選手もいます。逆にあと一歩のところで負けてしまったレスリングの4連覇を逃した吉田沙保里選手や、初戦敗退となったフェンシングの太田雄貴選手など、様々なドラマが生まれました。

前評判通りに活躍した競技・選手

やはり柔道と水泳でしょう。男子柔道は全階級でメダルを獲得という偉業を達成。女子柔道は優勝候補と言われていた松本薫選手が惜しくも負けてしまいましたが、銅メダルを獲得。水泳はメダル候補だった萩野公介と瀬戸大也が実力を発揮しました。

私が評価したいのはシンクロナイズドスイミングです。水泳連盟はかつて6大会連続でメダルを獲得していたシンクロナイズドスイミングの名伯楽の井村雅代コーチを招聘。

過去に指導陣の若返りを図りたいと水泳連盟が井村コーチを外して以降は、そのまま日本の低迷期に繋がりました。一方、代表を離れた井村コーチは中国に招かれ、当時弱かった中国を強化。

「国賊」「売国奴」と批判にさられながらも「スポーツに国境はない」と信念をもっている井村コーチは北京五輪とロンドン五輪では中国にメダルをもたらしました。

ライバル国である日本の指導者に頭を下げた中国のメダルへの執念は凄く、逆に優秀な指導者を手放した水泳連盟の責任は重いと言えるでしょう。今大会でも中国は銀メダルを獲得し、3大会連続でメダル獲得、今では世界の強豪国になっています。

なにはともあれ2大会ぶりにメダルを獲得した日本。そして指導者として9大会連続でメダルを獲得している井村コーチの素晴らしさを改めて認識したオリンピックでした。

7人制ラグビーの偉業

リオ五輪から新競技として採用された7人制ラグビーで男子日本代表が残した偉業を讃えたい。個人的に今大会で最も熱い競技でした。

男子日本代表は惜しくもメダルは逃したものの価値ある4位。予選リーグでは優勝候補のニュージランドを倒し、決勝トーナメントでは強豪国フランスなど格上の相手に勝利しました!

7人制ラグビーは一般的な15人制と違い、瞬間的な爆発力など身体能力がフルに問われるスポーツのため、日本は不利だと言われていましたが、その中でセブンズラグビー日本代表が残した4位という結果は偉業だと言えます。

優勝したのはフィジー。フィジーは「フライング・フィジアンズ(空飛ぶフィジー人)」という異名とともにセブンズでは世界的強豪。しかし人口80万人の南太平洋の小さな島国のため、これまで五輪のメダルとは無縁の国でした。

そのフィジーにとってオリンピック史上初のメダルとなり、しかも金メダル!ラグビーファンにとってはこの組み合わせはドラマチックでした。決勝の相手はイギリス。もともとフィジーはイギリス統治下にあった因縁の相手。試合終了の笛に、フランク・バイニマラマ首相をはじめとするフィジー関係者らは喜びを爆発させたそうです。

イギリスはイングランド、ウェールズ、スコットランドの連合国として参加。3国ともラグビーの世界ランキング上位国ばかりです。わかりやすく例えると甲子園大会で大阪府だけ「大阪選抜」で挑むようなもの。

ラグビーファンからすると(イギリスだけ卑怯じゃね?)とみんなが思っていました。それをフィジーが決勝で撃破!歴史を振り返るとラグビーというスポーツをフィジーに伝えたのはイギリスであり皮肉な結果になりました。

メダリスト一覧

最後に尊敬の念を込めてリオ五輪のメダリストを記す。

金メダル【体操】内村航平 体操男子 個人総合
銅メダル【体操】白井健三 体操男子種目別 跳馬
金メダル【体操】体操男子団体 体操男子団体
銅メダル【柔道】高藤直寿 男子60kg級
銅メダル【柔道】海老沼匡 男子66kg級
金メダル【柔道】大野将平 男子73kg級
銅メダル【柔道】永瀬貴規 男子81kg級
金メダル【柔道】ベイカー茉秋 男子90kg級
銅メダル【柔道】羽賀龍之介 男子100kg級
銀メダル【柔道】原沢久喜 男子100kg超級
銅メダル【柔道】近藤亜美 女子48kg級
銅メダル【柔道】中村美里 女子52kg級
銅メダル【柔道】松本薫  女子57kg級
金メダル【柔道】田知本遥 女子70kg級
銅メダル【柔道】山部佳苗 女子78kg超級
銀メダル【水泳】坂井聖人 競泳男子200mバタフライ
銅メダル【水泳】江原騎士 競泳男子4×200mリレー
銅メダル【水泳】小堀勇気 競泳男子4×200mリレー
銅メダル【水泳】萩野公介 競泳男子4×200mリレー
銅メダル【水泳】松田丈志 競泳男子4×200mリレー
金メダル【水泳】萩野公介 競泳男子400m個人メドレー
銅メダル【水泳】瀬戸大也 競泳男子400m個人メドレー
銀メダル【水泳】萩野公介 競泳男子200m個人メドレー
金メダル【水泳】金藤理絵 競泳女子200m平泳ぎ
銅メダル【水泳】星奈津美 競泳女子200mバタフライ
銅メダル【水泳】乾友紀子 シンクロナイズドスイミングデュエット
銅メダル【水泳】三井梨紗子 シンクロナイズドスイミングデュエット
銅メダル【水泳】シンクロ・チーム シンクロナイズドスイミングチーム
銀メダル【陸上競技】飯塚翔太 男子4×100mリレー
銀メダル【陸上競技】桐生祥秀 男子4×100mリレー
銀メダル【陸上競技】山県亮太 男子4×100mリレー
銀メダル【陸上競技】ケンブリッジ飛鳥 男子4×100mリレー
銅メダル【陸上競技】荒井広宙 男子50km競歩
銅メダル【バドミントン】奥原希望 女子シングルス
金メダル【バドミントン】高橋礼華 女子ダブルス
金メダル【バドミントン】松友美佐紀 女子ダブルス
銀メダル【レスリング】樋口黎 フリースタイル男子57kg級
銀メダル【レスリング】太田忍 グレコローマン男子59kg級
金メダル【レスリング】登坂絵莉 フリースタイル女子48kg級
銀メダル【レスリング】吉田沙保里 フリースタイル女子53kg級
金メダル【レスリング】伊調馨 フリースタイル女子58kg級
金メダル【レスリング】川井梨紗子 フリースタイル女子63kg級
金メダル【レスリング】土性沙羅 フリースタイル女子69kg級
銅メダル【卓球】水谷隼 男子シングルス
銀メダル【卓球】丹羽孝希 男子団体
銀メダル【卓球】水谷隼  男子団体
銀メダル【卓球】吉村真晴 男子団体
銅メダル【卓球】石川佳純 女子団体
銅メダル【卓球】伊藤美誠 女子団体
銅メダル【卓球】福原愛  女子団体
銅メダル【テニス】錦織圭 男子シングルス
銅メダル【カヌー】羽根田卓也 スラローム男子カナディアンシングル
銅メダル【ウェイトリフティング】三宅宏実 女子48kg級188kg

合計:金12個、銀8個、銅21個。

 次の開催地は日本。いまから4年後が待ち遠しいです。