ライターのヨッピーが記事広告PR表記で様々な人とバトルが繰り広げられていました。私もブロガー兼メディア運営兼元記事広告の営業という立場で自分の見解をまとめました。
PR表記をどうして入れなきゃいけないかというと、優良誤認を防ぐためでしょう。お金もらって宣伝しているのに、第三者の公平な視点の記事だと誤認させちゃうのは良くないぞ、と。だから、「この記事はお金をもらって書いてますよ」ということが見ている人にわかればいいのかなと思って、最近やってるPR企画はぜんぶ、冒頭に「本日の企画はどこそこの提供でお送りします」と入れるようにしてるんですけど、その一方で、見ている人たちの中には「記事のタイトルにもPRと入れろ」っていう人も出てくるわけです。
引用:「おもしろい広告」ってどうやって作るの?人気ライターのヨッピーさんに聞く
個人的に読者の立場としてタイトルに「PR」はいらないと考えています。記事の最初に「ギガが減る」という議論がありますが、ワンクリックくらいどうでもいいです。記事冒頭に記事広告の旨を記載できていればOKです。
確かにクリックする前に広告記事だと理解できることは理想ですが、タグ表記やカテゴリー表記で対応すれば問題ないと思います。ただし(技術的には簡単ですが)メディア側のシステムの問題になるので、ライター個人がどうにか出来る部分を超えていると思います。ヨッピーに負担かけ過ぎ。
最近、ヨッピーは記事広告ばかり書いてるって言われたりして、本当に「クワァーーッ!」て思ってるんですけど。まぁその「記事広告いっぱい書いてる」みたいな指摘自体は正しいんです。
引用:メディアと広告はどう共存すべきか? 人気ライターのヨッピーさんと考える
ライター個人に企業が直接連絡をして、記事広告の依頼をすることはほとんどありません。記事が書けるライターというよりTwitterのフォロワー数が多いインフルエンサーに依頼が集中する傾向が強いと思っています。
依頼する側にとってはアクセスがどれだけ集まったのか、どれだけFacebookでシェアされたのかが気になるので仕方のないところです。そういう意味ではインフルエンサーでもあり、面白い記事も書けるヨッピーは希少価値の高い人だと言えます。身体をはった記事なんかは秀逸。
ネットメディアでは、大量の記事を安価に制作してビューを集め、たくさんの広告を貼り付けて広告収益を得るというビジネスモデルが確立してきました。ライターは外注して、記事を安く買い叩く。さらには無料でも書きたいという人を集め、コストを抑える。そうすれば、安い広告単価でそこそこ儲けられる。広告単価が下がると、きちんとライターに対価を払おうとするメディアは存続できなくなる。
引用:メディアと広告はどう共存すべきか? 人気ライターのヨッピーさんと考える
DeNA「WELQ(ウェルク)」しかり最近のメディアは全部この体制で運営しています。つまり多くのライターと呼ばれる人はランサーズやクラウドワークスの依頼を受けて仕事を探すのが基本となっているのです。
そしてランサーズやクラウドワークスの案件には往々にして1文字1円とかの募集が多いので、クラウドソーシングの案件のみで「ライター1本で食っていける」だけの収入を得ることは難しいです。
思ったより「タイトルに入れろ派」の人が多いので入れる方向でやろうかなと思います。ただし、本文中も書いた通り媒体ごとの方針もあるので今後全部ってわけにはいかないかもしれないけど自分に裁量があるやつに関してはそうします。その上で予防線として張っておきたいんだけど、「ヨッピーの記事は読みたくないからヨッピーって入れろ」とか「下ネタなら下ネタって書け」とか言い出すと本当にキリがないので、その辺については別個の問題として捉えさせて頂きまする。
常々思うんですが、ヨッピーはクライアントにも結構意見を言っているらしいですよね。企画から携わっているらしく、実績もあるので「こうしたほうがいい」という意見がクライアントも聞く耳を持っているのでしょう。運営側でもないのに「自分に裁量がある」って凄いわ。
たぶんタイトルに「PR」と入れるとPVが減る。それは間違いないだろう。しかしPVが減ったとして、それで何が問題があるのか。タイトルにPRという文字を見つけてクリックしない人は、たぶんクリックしてもそれが広告だと分かったら広告主や書いた人を嫌いになるだろう。「騙された」と思うかもしれない。これを広告業界では「潜在敵対顧客」と呼ぶ。あたりまえだが潜在敵対顧客が増えると商品や企業のブランドが下がる。タイトルに「PR」と入れたり、最初から具体的な製品名を入れたりするのは潜在敵対顧客を増やすのを抑制するので本来の広告目的に照らせばマシな話のはずだ。
引用:広告は悪なのか。
ヨッピーは広告業界のニューエコノミーの存在であり、電通や博報堂の広告関係のオールドエコノミーとはよく喧嘩していますね。「単著もない奴がほざくな!」「クリエイティブ賞もとってない奴が広告を語るな!」というオールドエコノミーの皆さんと、「お前らの広告ってクリック数いくつだよ(笑)」「バズらない広告って商品価値ないよね」というネット業界のライターさんとの意見が真っ向から衝突しているのを遠くから見て、水と油のような関係だと思います。
「もう表立った喧嘩はこりごりだから、メッセンジャーでやりたい」的なことを言ってたヨッピーさんが、その翌日には『有名人、かつ勝てそうな相手、かつ丁度いいスケープゴート』と見たのか(これは推測ですが)、清水さんには公開の場で喧嘩腰になって真っ向から反論してたのを見まして。ああ、この人は直情型の熱血漢ではなくてクレバーに相手を見てから勝てる喧嘩だけをする人なんだな、と思ったので、そうブックマークコメントに書きました。
引用:ヨッピーさんは、なぜ[PR]をタイトルに入れたくなかったのか?
ヨッピーって「僕、はてなブックマーク大嫌いなんですよね」だったんですね。その割には
この辺については自転車ガチ勢がはてブのコメントなんかで補足してくれることに期待したい。
引用:「美味すぎるハンバーグを食べたくなったヨッピーが、買ったばかりの自転車で御殿場まで走った(良い子はマネをしないでください)」
って、はてなブックマークを思いっきり煽っており矛盾している。嫌いなら、わざわざ「はてブでコメントしてくれ」なんて書くなよ。このときは好きで、このあと嫌いになったという可能性もありますが、上記記事が2016年11月16日と比較的新しい記事なので、その可能性は低いと思います。
ただ「はてブは嫌い」発言は本人ではなく、第三者からの暴露です。ヨッピーは「はてブは嫌いだけど利用価値はある(だから嫌いなのは黙っておこう)」という大人の付き合い方をしていることを知ったのが私にとって一番の収穫でした。
ヨッピーさんがハナっから僕をクレーマー扱いして、喧嘩相手を諌めるみたいな不愉快な接し方をして来て、議論にもまともに乗ってこないからだ、と思って憤っていたんですよ。向こうからリプライして来たのに何だよ、と。個人的にはオープンな場での議論にしたかったのに、1対1のメッセンジャーに誘導されて「喧嘩っぱやい人と思われたくないので、こちらで」みたいなこと言われた時点で、腹が立っていましたし……。
引用:ヨッピーさん。喧嘩ではなく議論がしたかったのに、喧嘩をふっかけてしまってごめんなさい
メディア界隈の人って喧嘩の仕方がスマートですよね。会社としての発言ではなく、個人の発言が多いってのもありますが、一連の流れを見ていて思いました。
世の中には何も言わず内容証明郵便で「あなたの記事は当社の名誉棄損であり損害賠償を求める」という会社もあります。なんか知り合い同士の小競り合いだったことも関係しているのでしょうが、スマートな喧嘩だと思いました。
ヨッピーさんが「記事のタイトルにもPRと入れろ」という人達に対する反論をしている発言に刺激される形で、ウェブ業界では有名な編集プロダクションのノオトの宮脇さんがFacebookで同意する言及をしたことが発火点になっています。まぁ、正確に言うと、元々は確か昨年末に誰かが、ヨッピーさんはなぜ自分の記事広告の件名にPR表記をいれないのだろう、という趣旨の問題提起をしたのがきっかけで、宮脇さんと、ネットウォッチャーとして有名なおおつねさんを中心にした人達が平行線の議論になったことがありまして。
引用:記事広告PR表記問題やネイティブアドの論争が不毛と思う理由
最後のこのリンクを貼っておきます。あちこちで論争が飛び交っており、収拾がつかなくなってしまったのを徳力さんが見事にまとめあげた記事です。天晴れ!
この記事内でも言及されていますが、健全化を推し進めているヨッピーをいじめてもしょうがないと思っています。ヨッピーは冒頭にスポンサード入れているだけ偉い。
本来議論の的にすべきは「記事広告なのに一文字も記事広告と出していない」いわゆるステマ記事を撲滅すべきなんです。
今回の件でヨッピーが書いた記事のクリック数は減り、悪いメディア運営者が「ククク…ざまぁみろ」と陰でほくそ笑むことになっています。ちゃんとしている人が重箱の隅をつつかれている感があります。広告業界の健全化は遠いようです。