そういえば千葉の田舎の実家には神棚があった。
祖父と祖母は大切にしていた神棚。戦前生まれの祖父は信心深かったのだろうか。「昔の家にはごく普通にあった」で片づけることもできるかもしれない。
昔はどこの家にもみんな神棚があったのかもしれないが、いつのまにか時代の変化に消えた。最近の住宅では珍しいものになってしまっている。もしも若い夫婦の家に神棚があったらヤバい宗教にハマっているのではと疑ってしまうくらいだ。
祖父は太平洋戦争時は海軍にいたらしい。なんでも当時の海軍は頭脳と体力どちらも優れてなければ入隊できないエリート集団と祖母が教えてくれた。田舎だったのでおそらく招集されての入隊だったと思うが、確かに昔の人の中ではかなりの高身長だった。
しかし、思い返せば本人から直接戦争や軍隊について話したことは一度もなかった。孫に自慢する話でもなかったのかもしれない。軍人にとってあの戦争は消したい過去だったのか。少なくとも祖父にとっては自慢することでなかったようだ。
最近、神棚に祈っていたのは五穀豊穣の祈りではなく、別の誰かの鎮魂だったのではないかと考えるようになった。