30代おススメの児童文学書「ボク、ただいまレンタル中」

いまだ記憶の中で覚えている小学時代に読んだ絵本(児童文学)について少しネタバレを含めつつ記憶を掘り起こしたいと思います。

田舎の図書館に置かれていた本に僕は興味を持った

火の鳥 1

火の鳥 1

  • 作者:手塚治虫
  • 発売日: 2014/04/25
  • メディア: Kindle版
 

時代は1990年から1996年頃。

田んぼの中に建っているド田舎の小学校だったが、OBが私財を投入して敷地内に場違いな二階建ての立派な図書館があった。

小学生時代はオーパーツ、UMA(未確認動物)、心霊現象、恐竜、都市伝説、怪奇現象や超常現象の本が好きだった。何回も繰り返し読みながら「こわいなー」「世界にはすごいところがあるんだ」と恐怖と憧れの気持ちを抱いていたと思う。

図書館には『火の鳥』『はだしのゲン』もあった。『ブラックジャック』や『三つ目がとおる』こそなかったが、手塚治虫シリーズは充実していたのは覚えている。小学生には少しハードルが高い本もあった。夏休みも解放されていたので、もっと図書館に行けばよかった。

その中でも、いまだに記憶に覚えている本がある。

ボク、ただいまレンタル中

自動車だって、服だって、ベッドだって、おむつだって、なんだって貸してしまう世のなかだもの『レンタルまご』を商売にする者があったってふしぎじゃない。だが、きみがその『まご』になったらさあ、どうする?小学中級以上。

ボク、ただいまレンタル中。ストーリーは覚えているが、肝心のタイトルを忘れてしまっていたため探すのに苦労した。

調べたら第39回(1993年度)青少年読書感想文の課題図書だった。当時小学2年生だったし、家にある記憶がないので、夏休みの読書感想文の課題図書ではなく、図書館で読んだと思う。もう20年以上前なので記憶も曖昧。

『ボク、ただいまレンタル中』は1992年11月に、作家の長崎源之助氏(1924-2011)がポプラ社から出版しました。そして出版の翌年、この作品は第39回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選ばれました。

引用:長崎源之助が描いた日系人―『ボク、ただいまレンタル中』を読む

20年経って驚いたが、戦争をテーマにした本だった。なんとなくイラストが自分好みでわかりやすく、ストーリーも低学年でも読みやすい内容だったから覚えているのかもしれない。

物語は夕方に鉄棒にぶらさがっていた主人公の小学6年生の井上一也君に話しかけるおじさんと出会うシーンから始まる。孫をレンタル(派遣)するアルバイトすることになった主人公は、様々な人物と出会う。確か絵を描くのが好きな主人公だった気がする。

物語中盤で「何か欲しいものがある?」と聞かれた井上少年は絵具と答え、「なんて欲がないの!」みたいなシーンがある。謙虚だ。

この物語には戦争の悲惨さや人種差別が取り上げられているが、当時の小学校低学年の私には理解できなかった。なにせ人種差別の人種の意味すら知らないし、日本人以外も知らない。ただ「戦争というもので苦労した人が出てきた」くらいの印象だった。(チョーセンって何だろう)と疑問に思いつつも、理解できない部分は深く考えず、気にしないで、イラストを見ながら読める部分だけ読んでいた。

現代であれば小学生のアルバイトについて書かれている本は労働法の問題で課題図書には選ばれないだろう。ラストではおじさんが捕まってしまうのだが、なんとも言えない終わり方が心に引っかかっていた。この頃からハッピーエンドを求めていたのかもしれない。

最後に

夏休みの課題図書は20冊くらいから選べる仕組みだったような。『僕らの七日間戦争』もこの課題図書制度で読んだ気がする。好きなだけ選択できたが、あらすじを読んで興味を持った2冊~3冊程度しかいつも買わなかった。(それでも十分多い方だった。)

改めて振り返ってみると物語の本質を理解できていなかったものの思い出に残っていることに気づき少し驚いている。不思議なものだ。誰しも記憶に残っている児童図書の一つや二つはあるのではないか。

あれはとても暑い夏だった。外ではセミが鳴いていて、私は強い日差しを浴びながらもクーラーのついた部屋にいた。午前中はテレ朝のアニメを見ながら、午後から課題図書を読んでいた日々が人生で一番幸せだったのかもしれない。

ふと20年ぶりに読みたくなった。