望んでいた妊娠。欲しいと思っていた赤ちゃん。とても嬉しい反面、頑張っている仕事の問題にぶつかります。妊娠したら、仕事は続けられる? それとも辞める? 妊娠中に不安になる、仕事に関する悩みについてまとめました。
- 妊娠中の仕事の悩み
- 職場の制度は何がある?
- 妊娠がきっかけで仕事を辞める場合は?
- 産休・育休を取ってからの退職はマナー違反
- 妊娠中に仕事を続ける上での注意点
- 仕事が忙しい妊婦さんに知ってほしい制度
- 妊娠中の立ち仕事の際に気をつけたいこと
- こんな場合は、なるべく早く休職か退職を
- 妊娠中に無理なくできる仕事
- 出産後の仕事復帰について
- まとめ
妊娠中の仕事の悩み
退職?育休?産休?
望んでいた妊娠! または、想像外? の妊娠だった場合も、赤ちゃんに出会えることは、この上ない喜びです。ただ、一方で妊娠と同時に、いろんな悩みがつきまといます。
仕事はどうしよう? 育休や産休を取るか、それとも退職した方がいいのか…。ある調査によれば、妊娠•出産を機に退職をした女性は、およそ8割にも及ぶとか。
この状況を考えると、今の仕事を続けることは難しいのかもしれない……。どうすればいいのか、本当に悩むところです。
休職の時期
妊娠すれば、初期はつわりが酷い時。お腹こそ出ていないけど、妊娠していなかった時とは、大きな差が生まれます。体調が悪い日もあるし、良い日もある……。
休職の時期はいつが最適なのか。休職を取るのが、早すぎると思われないか、など決断に迷うところです。
家庭の経済面
今の仕事を続けるかどうするか…、おそらく悩む選択肢さえない、と感じるとすれば、それは「経済的な不安」があるから。
「今仕事を辞めてしまったら、収入はどうやって確保すればいいんだろう」。蓄えがなければ、不安になるのも当然ですね。休職や育休の間、給料はどうなるのだろう? 気になります。
妊婦の体調や経過状況
初産であれば、その不安は未知数! 「この先、私はどうなっていくんだろう」と、想像のつかない不安にかられます。筆者も、初産の頃は出産雑誌を読みふけって、情報を集めることに必死でした。
そんな不安をよそに、どんどん成長していく我が子。大きくなるお腹。体調も、今までと変わってくるのか気になります。
職場の制度は何がある?
産前産後休業(産休)
●産前「6週間」、産後は「8週間」
私たちが一般的に言っている「産休」は、「産前産後休業」と言います。これは、労働基準法で定められている休暇制度です。産前休業については、予定日を含め6週間以内に「本人が」申請します。また、産後休業に関しては、本人の申し出に関係なく、産後6週間は働くことができません。
産後については、本人の希望があった場合、また医師からの就業許可が出た場合に限り、雇用者は妊産婦を働かせることができます。
出産手当金
●給料が出ていない期間の補填として
職場には、出産手当金があります。出産日前42日から産後56日までに、給与が支給されなかった期間を対象に貰える手当で、1日あたりの標準給与額のおよそ2/3が支給されるようです。
育児休暇制度
●子どもの誕生日から1年間お休みができる
出産の時に産前産後休業を使ったら、次に使うのは育児休暇制度でしょうか。育児休暇制度は、子どもを生んだ日から、翌年の誕生日の前日までを期間とし、お休みが取れます。ただし、これは「短期での契約」などの人は受けることができないので、注意です。
出産後の復帰時期
●早い人は、産後3カ月から
復帰の時期は悩むところですが、早い人で産後3カ月を目処に復帰する人もいるようです。これは、「今の職場から、取り残されないように」という思いが大きいとのこと。
ただ、一旦復帰したものの、やはり早すぎたと感じ、再度休職をするママがいる事実もあります。仕事と子育ての両立はなかなか難しいことがうかがえますね。
妊娠がきっかけで仕事を辞める場合は?
妊娠が分かったら、早めに報告
●妊娠が分かったら、なるべく早く報告を
妊娠が分かり、退職を決めた人は、できるだけ早く職場にその意思を伝える必要があります。伝える時期は、早ければ早いほど良いでしょう。
これは、あなたという社員が1人抜けることで、その穴埋めをどうするか考えなければならない、職場を配慮しての行動です。
辞める時期
●出産前4カ月くらいが相当
辞める時期については、出産予定日の4カ月前くらいに退職する人が多いようです。ただ、妊産婦の体調には個人差があるため、それまで継続して勤務が難しいようなら、もっと早い退職をおすすめします。
出産育児一時金
出産と育児をするにあたって出る一時金のことで、1児につき42万円を受け取ることができます。これは、1児ごとの金額であるため、多胎児であれば人数分の一時金が支払われることになります。
この一時金を支給する共済けんぽから、出産をした医療機関へ直接支払うことで、そのまま出産費用に充てることもできます。
産休・育休を取ってからの退職はマナー違反
●復帰する気がないのなら、退職を
たまに育休•産休を最大限取った後で、退職をした人の話を聞きます。これは、当事者からすると得したような気になる方法ではありますが、職場から見ると、感じ方は反対です。お世話になっていた職場なのですから、去る時には気持ちよく出て行けるような関係性で、職場を出たいものです。
職場の繁忙期は避ける
●職場の立場で時期を決める
退職の時期も悩むところですが、絶対に避けたいのが「会社の繁忙期」。「よりにもよって、何故今辞めるんだ!?」と、職場の仲間の恨み節を聞くような状況は、好ましくありません。妊産婦の体調が第一ですが、できれば会社の落ち着いている時期を選んで退職しましょう。
退職の意思を上司に報告
●最初の報告は、直属の上司に
退職の意を表すのは、退職を決めた時点で、早めに行いましょう。報告するのは、まずは「直属の上司」に、それから退職時期などを双方で詰めて、更に上の役職の社員へ報告しましょう。
失業手当の受給の延長
●失業手当は、退職日から1年以内
退職後に申請したい手当として、失業手当がありますが、これは退職日から1年以内、という決まりがあります。しかし、この手当は受給できる期間を「延長」できる特例があります。
それは、病気などが理由で、失業手当が終わっても、すぐに働くことができない人や、定年退職をした人が対象となります。
妊娠中に仕事を続ける上での注意点
早めに上司に報告
●意思が決まれば、すぐ
こちらは、すでに既出の通り、妊娠をしたこと、その後仕事を続けるという意思も含めて、早めの報告が理想的です。
通勤ラッシュを避ける
●席に座れない時間帯は負担になる
今まで何ともなかった通勤ラッシュ時の出勤も、妊娠すると「つわり」や体調不良が起こることもしばしば。身体の負担とならないよう、出勤の時間を少しずらすなどして、車内が込み合っていない時間帯を選びましょう。
ハイヒールやストッキングを履かない
●妊婦であるという自覚を持って
妊娠したら、服装にも気を遣いましょう。何気なく履いていたヒールの高い靴やストッキングは、なるべく控えましょう。ハイヒールはつまずきやすいだけでなく、足が疲れやすくなりむくみの原因にもなります。
からだを動かす仕事を控える
●重い物を持たないように
からだを動かす仕事では、ケガをする危険性が出てきます。事故を未然に防ぐためにも、重い物は持たないようにするとか、足場が滑りやすい所での作業は避けるなどの意思を上司に伝えましょう。
身体を冷やさない
●冷暖房対策をきちんと
体調管理の中でも、身体を冷やさないように気をつけましょう。職場では、自分が好む室温に設定されていいるわけではありません。どんな室温でも対応できる、冷暖房対策が必要です。
デスクワークの時には、膝掛けを用いたり、カーディガンをバッグに常に入れておくなどしておくと、困りません。
座りっぱなしを避ける
●腰痛が起こりやすい
次に仕事の分野別で、意識をしたいことについてお伝えします。デスクワークなど、座りっぱなしの仕事の人は、「腰痛」対策に注意。骨盤が不安定になるため、腰が痛くなりやすくなります。今までよりも、頻繁に立ち上がって休憩を取るなど、ずっと座っている状態を減らしましょう。
長時間の勤務は避ける
・残業はほどほどに
勤務時間が長いと、ストレスや疲労がたまりやすいと言われています。普段ならば大丈夫でも、妊娠中は無理をすると身体に負担がかかってしまいます。すると、母体だけでなく赤ちゃんにも悪影響が出る危険性があるので、長時間の勤務は避けたほうが良いです。できるだけ定時で上がれるよう、残業は控えるようにしましょう。
夜勤の仕事を控える
●交代制であれば、なるべく控えて
人は、通常朝に起きて夜には寝るようになっています。イレギュラーな生活になる夜勤は、妊婦である身体には大きな負担となります。交代制などで可能であれば、昼の勤務に移ることが好ましいでしょう。
立ち仕事を控える
●1時間以上立ちっぱなしを避ける
立ち仕事の人は、上司に相談するなどして1時間以上ずっと立っている状態を避けるようにします。途中で事務作業に入らせてもらうなど、きちんと希望を伝えましょう。無理をしていると、お腹が張りやすくなったり、仕事を続けることが苦になります。
ストレスの溜まる仕事をセーブする
●ストレス発散をこまめに
クレーム対応など、ストレスの溜まる仕事は要注意です。ストレスは、お腹の赤ちゃんにも悪い影響を与えるため、仕事を続けるのであれば、今まで以上にストレスを発散することが必須になります。それでも辛い時は、無理をしない方が良いでしょう。
ゆとりのある制服を着る
・体を締めつけないように
職種や仕事場によっては、制服があることもありますよね。もともとピッタリしているデザインの制服だと身体を圧迫してしまうことや、お腹が大きくなってくると制服がきつく感じることがあります。すると、母体に負担がかかってしまうので、大きめのサイズの制服を着るようにしましょう。
仕事場のタバコに気をつける
●受動喫煙で早産のリスクも
職場でタバコをよく吸う人がたくさんいたら、受動喫煙をしている状態にあります。この状況は、早産のリスクがあるなど、良い点がありません。伝えづらいかもしれませんが、上司に相談をして、分煙をしてもらうか、換気扇の近くで吸ってもらうなど、職場の協力を得るようにしましょう。
仕事が忙しい妊婦さんに知ってほしい制度
法律に定められた妊産婦の働き方
仕事を続ける妊産婦を見守るべき法律があります。どのようなものがあるのか、認識した上で身体に負担のないように働きましょう。
妊婦を守る、労働基準法
●労働基準法には、妊婦を守る「母性保護規定」がある
労働する人を守る法律、労働基準法には、妊婦を守る「母性保護規定」があります。これから下に挙げているような労働からも、妊婦を守ります。
- 本人が請求すれば、時間外労働、休日労働、深夜業を強制させられない
労働基準法によると、雇用者は、妊婦が請求すれば、時間外や休日、深夜業を強制してはならない、としています。
- 妊産婦は週40時間、1日8時間を超えてはならない
こちらも、妊婦が希望すれば週40時間、1日8時間を超える労働をしなくて良い、という規定があります。辛い時は、すぐに相談をしましょう。
- 管理監督者の妊産婦は、請求すれば深夜の仕事だけつかなくていい
妊産婦本人が希望すれば、22:00-5:00間の深夜労働をしなくても良い、とあります。無理をしないことが一番です。
妊娠中の立ち仕事の際に気をつけたいこと
体調がいきなり変化しやすいのも、妊娠中の特徴。これらの不調が出たら、対策をとりましょう。
1. 急な腹痛
妊娠中、腹痛はよく起こるのですが、妊娠初期の腹痛には注意が必要です。流産の危険がある場合があるため、強い痛みが続く、などの場合は仕事を中断し、産婦人科を尋ねましょう。
2. 出血や血の混じったおりものが出る
1と同様、妊娠している間に出血することは、珍しいことではありません。しかし、一部では流産の兆候であったり、子宮外妊娠であることも考えられます。
3. 食欲がない
妊娠初期であれば、「つわり」で常に気分が悪く、食欲がなくなることがあります。この期間は、「食べられる物を、食べられるだけ」でOKです。また、気分の落ち着いた時にすぐつまめるように、小振りのおにぎりなどを作っておくと便利です。
4. 汗をかかなくなった
体温調節のために、汗をかくことは重要です。汗をかかない状態は、自律神経失調症などになっている可能性があり、「身体が不調」であることのサインでもあります。仕事による疲れが出ているのかもしれません。
5. めまいや貧血の兆候
妊婦の約4割が貧血、という程、貧血やめまいを訴える妊婦は多くいます。妊娠後期には、出産時の出血量が増えたり、産後母乳が出にくくなる、などの弊害があります。貧血の兆候が出たら、意思に鉄剤を処方して貰いましょう。
6. むくみ
妊婦に多いむくみも、塩分の取り過ぎや、運動不足によるものがあります。栄養バランスの取れた食事を心がけ、ウォーキングを日課にするなど、むくみ防止に努めましょう。
こんな場合は、なるべく早く休職か退職を
仕事を続ける意思があっても、これらの場合は、休職するか退職を検討しましょう。
1.医師に労働を止められている
医師に労働を止められているのは、ドクターストップが掛かるほどの危ない状態だと言うこと。医師の指示に従って、穏やかに過ごします。
2.お腹が張りやすい
お腹の張りは、よく起こることですが、これによって作業を中断せざるを得ないなどの状況であれば、無理をしていると言って良いでしょう。休養が必要です。
3.微量でも出血しやすい
身体が無理をしている時に出血をすることが多いため、この状態が何回も見受けられる場合は、継続して働くことには無理があります。
4.つわりがひどい
つわりで気分が悪く、会議や作業の途中で退席するなど、仕事への支障が目に余る場合は、つわりの時期が治まるまで、休職の措置を取る方が良いでしょう。
妊娠中に無理なくできる仕事
妊娠を機に仕事を辞めてしまったものの、自分の無理のない程度に働きたい。または、専業主婦をしていたけど、妊娠しても働きたい! そんな時に気になる分野をご紹介します。
求人
まずは、求人情報を検索します。求人の無料雑誌やインターネットでも検索は可能です。職場に通勤する必要がある職種においては、出産、産後のことも加味した上で、仕事を探しましょう。
在宅ワーク、内職
妊娠中の体調に合わせてできる仕事として、在宅ワークがあります。字の通り、職場に通うことなく、家に居ながら仕事をすることです。中身は、お土産もののパーツの組み立てや、宛名書きなど、単価自体はあまり高額は見込めませんが、数をこなすことで、収入を増やすことができます。
短期派遣ワーク
次に、「短期間」のみ働く短期派遣ワークがあります。継続して働くことが難しい妊産婦に向いていますが、在宅ワークや内職と違い、「職場(現場)に通う」必要があるため、産後には向かないかもしれません。
出産後の仕事復帰について
いつから
産後の仕事復帰に関しては、「お母さんと子どもが、離れても大丈夫な時期」と言えるでしょう。無理をして早く復帰しても、体調が戻っておらず、病気がちになってしまったりすることも。
また、仕事に出ている間に必要になるのが「子どもを預かってくれる施設」です。この見通しが立たないと、仕事復帰したくてもできない場合もあります。
仕事探し
産後新たな職場を求める場合は、職場の雰囲気をよく見ておくと良いでしょう。子育てに対して理解があるか、スタッフはギリギリで回していないか(子どもの発熱などで、職場を休みづらくないか)などをしっかり調べておきましょう。
児童手当も、大きな力に
子育てをする上で、手助けとなってくれるのが、「児童手当」です。児童の年齢によって支給額は異なり、例えば3歳未満の子どもであれば、月額15,000円を受け取ることができます。
まとめ
妊娠をすると、妊娠中のこと、出産のこと、産後、子育てのことに関する不安が出ます。それなのに、更に並行して仕事のことも考えなければならないと、頭がパンクしそうですよね。今回ご紹介した仕事や手当に関することに加え、ぜひとも聞いて欲しいのが「人生の先輩」。出産を終えた先輩ママに、どのようにして妊娠中を乗り切ったかアドバイスを参考にしながら楽しい妊娠ライフを送ってくださいね。