『ワタミの失敗』(新田龍)を読んだ感想評価ネタバレ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

スポンサーリンク

私が大好きな居酒屋チェーン店ワタミに関する本が出版された。近年のワタミは「ブラック企業」だと様々なところで批判され、業績も悪くなっていた。これまで長く誤解があるように感じていたが、どこに誤解があるのかうまく説明できないでいた。カリスマ経営者・渡邉美樹が創業した会社がなぜそう言われるようになったのか。ひとりの顧客視点でネタバレを含む書評をまとめました。

ワタミの失敗  「善意の会社」がブラック企業と呼ばれた構造

ワタミの失敗 「善意の会社」がブラック企業と呼ばれた構造

 

著書では「ブラック企業とはなにか」「ワタミは本当にブラック企業なのか」「ワタミがブラック企業と言われた原因は何か」「ワタミだけ叩かれすぎていないか」と展開しており、様々な角度から検証され、語られている。

 

確かにブラック企業と言っても様々なタイプがいる。同書ではブラック企業という言葉は汎用性が高く、使い勝手のいいキーワードとして使われるが、その意味をしっかり理解すべきだと述べている。

 

この本の中に誰にとっていい会社・悪い会社なのかと定義する部分があり、「社員」「顧客」「株主」の三つに分類され議論されている。主観的だが利用者の立場からしたら超優良居酒屋チェーン店だと思っている。なぜそう思うのか、どういったところが好きなのか三つの理由にまとめました。

 ワタミが好きな理由1:安いのに美味い

第一の理由に「安いのに美味い」。リーズナブルな価格で一人3000円あれば十分。大学生やサラリーマンに優しい居酒屋である。それなのに上手い。特に焼き鳥は絶品。ワタミが美味しくないって奴とは絶対に友達になれない。そんな奴はフレンチレストランにでも行っとけ!私にとってひとつの判断材料にもなる素晴らしいお店だ。

 

ワタミのドリンクメニューにはスーパーメガジャンボサイズがあり、コークハイ1杯でおなかいっぱいになれる素晴らしいメニューがある。とにかくグラスがでかくて、一般人には重すぎるくらいだが、大好きなコークハイがいっぱい飲めると重宝していた。ワタミはサントリーと仲がいいので、ウイスキー関連はとても充実しているのがワタミの特徴なのだ。

 

余談だが上場以前はお店ごとに仕込んでいたから、お店ごとに味が違っていたらしい。しかし、セントラルキッチン導入後は店舗の負担も減り、全国均一の味になったとどこかで聞いたことがある。青年社長かなにかで読んだのかもしれない。のちに社長となる桑原豊氏が当時社長のミキティに提案したという文章を読んだ記憶がある。くわちゃん!いい仕事したね!

青年社長(上)<青年社長> (角川文庫)

ワタミが好きな理由2:失敗がない

第二の理由に「ワタミなら失敗がない」。近年ぼったくり居酒屋が問題視されているが、ワタミであれば全国一律の味と値段。「失敗した」がない安心のお店。これリピートするでしょ。ときには冒険も大切だが30歳を過ぎると無駄金を払いたくないのだ。大人になると安心安全が一番だと気づくときがある。その点でワタミは最高のお店だと言える。

 

ちなみに「金の蔵」「東方見聞録」を展開していた三光マーケティングフーズはワタミと似たような居酒屋チェーン店だったが、金の蔵はくそ不味かった。店員もアルバイトは中国人しかおらず、顧客側が努力しなければ会話も成立しない低レベルな居酒屋だった。

 

その体験以降、金の蔵には二度と来店していない。同社はその後、チカラめしを積極的に展開するが、チカラめしも上手くいかず、長い暗闇に突入した。チェーン店でも不味いところは不味いんだなといい経験になった。それを考えると如何にワタミが優秀だったかがわかる。

ワタミが好きな理由3:待たなくていい

第三の理由に「待たなくていい」。これはサラリーマンにとっては一番重要かもしれない。女性は「待ってでもおいしい店に行きたい」だが、男性は「すぐ入れるお店」のほうが大切だ。メシ食うのに待つ意味なくね?

 

その点ワタミは平日金曜にいきなり来店しても、すぐに座れるお店が多かった。新宿や渋谷の店舗でも待ち時間ゼロで座れて、突発的な飲み会が主体の私にとってはとても重宝した。

株主視点から考えるワタミという会社

一時期株主であったが、株主にとっても優しい会社だったと言える。株主優待券がとても素晴らしかったのはもちろんのこと、平日に株主総会を開催する会社が多い中で、休日に開催していたのはワタミくらいだった。(現在は費用の関係で平日のホテル会場でおこなっている)。

 

当時は両国の両国国技館で1日かけて株主総会をおこなっていた。いろいろと催し物が多く、株主総会というよりはイベントだった。会社と株主が触れ合う大切さを教えてくれたのはワタミだった。費用面を考えたら両国国技館なんて割に合わないのに当時は頑張ってくれていた姿勢は評価すべきだとなくなって初めて気づくものである。

 

懐かしい思い出を一つ。確か2008年頃だったと思うが、4000円食べたら2000円の割引券を渡す半額キャンペーンなるものをやっていたと思う。割引券を使うために来店したら、また割引券をくれるという無限ループがあり、居酒屋不況の時代だったとはいえ、いま考えればむちゃくちゃなことをしていたように思う。

 

しかし、顧客にとっては嬉しい限りだった。絶対に儲かりそうもないキャンペーンだと思ったが、1回あたりの利用金額は減ったものの来店頻度が増えたことで、結果的に結構な金額を使っていた。おそろしいシステムだと思った。

本当のブラック企業・ブラックバイトとは?

ブラック企業・ブラックバイトとして最近話題になっているのは「しゃぶしゃぶ温野菜」FCのDWE JAPAN株式会社(代表取締役:川井直)。ここはブラックバイトという概念を余裕で超えている。被害者から殺人未遂罪・暴行罪・恐喝罪・脅迫罪で訴えられており、ブラック企業というよりかはただの犯罪者集団。

 

また「しゃぶしゃぶ温野菜」運営元のレインズインターナショナルもFC解約してないらしく、ちょっとおかしい。社名や代表者名をなぜかどこのメディアも公表しておらず、もっと叩かれてしかるべきだと思うが、また別の機会にまとめたいと考えている。

経営者の責任問題

著書では創業者経営者であったミキティ以降、カリスマ経営者に頼り過ぎていたという文脈があるが、少し違和感があった。ミキティ以降、2名の社長がいた。前代表取締役の桑原豊、現代表取締役の清水邦晃。確かに直近では新規事業は生まれていない。介護も環境事業もミキティ発案の新規事業だ。

 

しかし、2名が就任していた頃の時代はリーマンショックや、東日本大震災など外食需要が冷え込む時代もあった。過労自殺問題もミキティが経営者時代のものだ。どちらの時代も苦しい時代だった。現在の清水社長も色々な負の遺産を抱えた中での就任だった。最終責任は代表者にあるとはいえ、過去のマイナスイメージを背負っている部分もあり、情状酌量の余地がある。

居酒屋業界の業界勢力図

私の世代としては居酒屋と言えばワタミだが、年代によって流行り廃りがある。独断と偏見で各年代に流行ったと思われる居酒屋業態を考えてみた。なお90年代~00年代初期は私が未成年の頃なので周囲の先輩方が喋っていた意見が中心だ。その時代を象徴する居酒屋チェーン店としての主役と新人と2部門で比較してみた。

1990年代後半:主役:養老乃瀧 新人:つぼ八
2000年代前半:主役:ワタミ  新人:ダイヤモンドダイニング
2000年代後半:主役:金の蔵  新人:てっぺん
2010年代前半:主役:鳥貴族  新人:該当なし
2010年代中盤:主役:塚田農場 新人:該当なし

こうやってみると、時代ごとに、サービス重視の店が流行ったり、コスパ重視の店が流行ったり、話題性があったりと面白い。飲食店は10年で10%しか生き残れないと言われている中でワタミはかなり頑張っていると改めて感じた。

書評まとめ

当時所属していた会社では年間100万円は落としていた和民代々木店が2015年3月に閉店し、会社の飲み会開催場所がなくなってしまい、かなり難儀した。もっと定期的に来店してあげればよかった…。ワタミが閉店して以降、予約なしで10人が入れるお店が代々木周辺にはなくなってしまった。

 

そして近所にあるワタミ幡ヶ谷店が2016年7月に閉店してから、近くにワタミという存在が無くなってしまった…。とても残念である。上に書いたように客が少ないと何かと便利なのだが、少なすぎると閉店してしまうという利用ユーザーとしての葛藤を抱えている。

 

同書の最終章では「いつまでも中小零細企業体質から脱皮できなかったワタミ」が原因だったと書かれている。しかし、現在のワタミは様々な改革をうっており、2016年5月から、ワタミグループはCI(コーポレートアイデンティティ)を刷新。現在の逆風からの起死回生に期待したい。最後に一言だけ「ワタミはコスパ最高!」ワタミのアスパラガス肉巻きメニューはまた復活してくれないかなぁ・・・、 

スポンサーリンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加