マイナス金利で低金利ローンがさらにお得?メリット・デメリット

マイナス金利はローンがお得と言われています。確かにローンがお得になり、預金利息が下がるのですが、お得の裏にデメリットはないのでしょうか?マイナス金利でローン万歳!その裏側にあるデメリットに迫ります。

借りるため知っておくべき事は?

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マイナス金利の発表があり、預金金利が軒並み下がっています。対しお得だと言われているのがローンです。マイナス金利になるとローンがさらに低金利化し、お得になると言われています。

今回はローンを検討している方、ローンの低金利化が気になっている方に、マイナス金利だとなぜローン金利が下がるのか、そして今後ローンを組むにあたり、多くの金融機関に共通するだろうマイナス金利ゆえのデメリットについて解説したいと思います。

ローン検討の鉄則は低金利?

家を建てる。車を買う。冠婚葬祭。お金に困った時は金融機関のローンを利用することが多いと思います。個人から借りてしまえば、後々金銭問題で揉めることも多く、何よりローンで使えるような控除制度の利用はできません。大きな買い物をするならとりあえず銀行からローンを借りる。これが最も一般的な方法であったはずです。

しかし、何でもとにかく近くの金融機関からローンを借りるということではなく、ほとんどの人はそれぞれの金融機関のローンを確認し、特に金利がどれくらいか、他の金融機関より金利面で安いのかをきっちり見定めて借りているはずです。

ここまでインターネットが発達していなかった頃は地縁で最寄りの金融機関からお金を借りることも多かったのですが、情報が発達し、インターネットやメール、電話、郵便で遠くの金融機関と簡単に取り引きできてしまうため、地元の金融機関だけでなく、ネット上の金融機関、大手都市銀行などと金利の比較も容易になりました。

容易になったからこそ金融機関は自分のところと取り引きして欲しく、金利やサービス面を充実させ、他のサービスと相乗でローン金利を安くするなどの条件をつけ、顧客の囲い込みを行っています。筆者は元行員ですが、銀行内部の事情をお話すれば、どこの銀行もローン顧客の獲得に物凄く必死ですし、キャンペーンの当たり外れに一喜一憂しています。金融機関にとってローンはお金を貸すという意味以上に、顧客と長くおつき合いできる、そして定期的にお金が入る、是非とも申し込んで欲しいサービスなのです。

銀行ローンは全部低金利になる?

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ローンを借りる時は金利の低い金融機関の商品をセレクトすることが賢い選択肢の一つです。その銀行の他サービスも併用すればさらにローン金利を下げてくれることが多いため、給与口座や引き落とし口座としてもなるべくその銀行を利用することになるでしょう。しかし今後はあえて他サービスと併用しなくても、ローン自体が始めから超低金利で提供される可能性が高くなります。

なぜなら、現在、金融機関はお金を貸したくてたまらないからです。金融機関はローンの金利で利益を得ていますが、ローンで得る利益よりお金を貸すことを優先し始めています。原因は、日本銀行から発表のあったマイナス金利です。このマイナス金利により、あえて金融機関やローンを吟味しなくても、また、多くの条件を満たさなくても、今後はとても低い金利で誰でもローンを組める可能性が高くなってきたのです。

マイナス金利とローンの関係

日銀から発表のあった「マイナス金利」。今後ローンを検討している人、低金利のローンを狙う人は、このマイナス金利とローンの関係を理解しておく必要があります。なぜなら、「ローンがお得になること」と「金利がマイナス方面に動くこと」は切っても切れない関係だからです。

まずマイナス金利の仕組みですが、こちらは簡単に覚えてしまいましょう。

マイナス金利とは、金利がゼロを通り越してマイナスへ動いてしまうことをいいます。プラス金利で預金に利息がつき、金融機関からお金を借りたらけっこうな金利がついてきます。金利が大きなプラスなら、預金や定期預金でお金を運用すると非常に有用です。バブル時代が良い例です。大きなプラスですと、預金にがっつり利息がつくからです。金融機関にお金を預けっぱなしにしておけば何時の間にかどんどん増えているということですね。

バブル時代ほどのプラスはなくても、プラス金利ですと預金にはそれなりの利息がつくことになります。ただし、お金を借りた時、つまりローンを組んだ時に金融機関に付される金利も大きくなるため、返済額も多くなる傾向があります。

ゼロ金利とは、預金に利息がつかない状態、ゼロの状態を指します。銀行にお金を置いていてもまったく利息がつきません。100万円預けたなら100万円のままです。ローン金利はプラス時より下がる傾向にあります。なぜなら、金融機関はお客さんから預かったお金を、払い戻しやローンで貸し出す準備資金以外を銀行の銀行である日銀に預けているからです。

日銀に預けた銀行のお金にも利息が付与されるからこそ大きなプラス金利では、銀行も利息で大きな利益を得ることができますが、ゼロだと日銀にお金を置いても利息がつかないため、だったらローンとして貸し出してしまった方がいいやという思考です。

ローンとして貸し出して、貸し付けたお客さんからローン金利としてもっともらった方が銀行側の利益になります。お客さんがどうやったらローンをどんどん借りてくれるのか?貸したいならとにかくローンに付す利息を下げればお客さんはどんどん借りてくれますよね。

ではマイナス金利では?

マイナス金利

マイナス金利

  • 作者:徳勝 礼子
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日本は今までゼロ金利でした。しかし、まったく預金に利息がつかないわけではありませんでしたから、限りなくゼロ金利に近いプラス金利であったと言えます。それが先日ついにマイナス側へもう一歩動いてしまいました。

マイナス金利になると、銀行に預けた預金に対し預金者の方が利息を銀行側に払わなければいけません。……というのが理屈であり鉄則であるのですが、預金に対し預金者が利息を銀行側に払うと、生活の基盤が揺るぎます。

給与振込があっただけで銀行側に利息を払う。公共料金や税金の引き落としのために銀行にお金をプールしておくと、銀行側に利息(手数料)を払わなければいけない。しかも、預けた額が多ければ多いほど銀行側に払わなければならない利息は増えるはずですから、高額の定期預金を所持している人など、ある日突然預金に対し高額の利息を請求されて目玉が飛び出そうになるかもしれません。

しかし、ご安心ください。マイナス金利の鉄則は、現状、日本では通用しません。確かに理屈としては、マイナス金利になると預金に対しての利息を銀行に払わなければならないことになるのですが、それは私たちが金融機関に払うわけではありません。

現行のマイナス金利では、金融機関が日銀に預けているお客さんから預かったお金に対して、金融機関側が日銀に対し利息を払わなければいけません。今までは金融機関も日銀に預ければ預けるほど利息がもらえましたから、お客さんに「定期預金してね!」「うちにいっぱい預けてね!」と呼びかけていました。たくさん預けてくれる人に対しサービス面で優遇していたのはそのためということもあります。しかし、マイナス金利により、金融機関はお金を預けられるとその分だけ損失が大きくなります。

じゃあ日銀に預けなければいいじゃない?と思われるかもしれませんが、金融機関各行が預かるお金は多額で、とても警備の面でも場所の面でも建物の中には置いておけません。筆者は行員時代に一千万円の束を何度も目にしましたが、一千万だけでけっこうな量ですし、重さとしては鈍器です。金融機関は日銀にお金を預けることが不可避なのですね。

だからこそローンがお得!

お金を預けてもらうと負担が増えるので、金融機関はお金を預けて欲しくありません。だからこそ現在はがんがん預金の金利を下げている状況です。

金利を下げるとお客さんが「このくらいしかつかないのか」と考えますから。また、日銀に預けたくないなら、他に取るべき手段があります。それは、ゼロ金利の時と同じように、お客さんに貸してしまえばいいのです。そうすれば、貸した分は日銀に預けなくていい、お客さんからローンの利息ももらえるというとても簡単な理屈です。お客さんがローンをどんどん借りてくれるには、やはりローン金利を下げるのが効果的です。

マイナス金利が導入され、あえて一生懸命探さなくても金利の低いローンが見つかる可能性が増えました。しかし、どうせ借りるならもっとお得に借りたいという思考もありますよね。金融機関側の都合でお金を預けて!という時と、どんどん借りて!という時がある。どうせならその都合をきっちり踏まえた上でお得に借りてしまいましょう。

では、今後、探さなくても低金利ローンがどんどん見つかる可能性が高いとして、どういったローンに目をつければさらにお得に借りることができるのでしょう?また、マイナス金利の影響でどんどん金利が下がるとして、そこにデメリットはないのでしょうか?

低金利ローンはお得だけなのか?

マイナス金利に移行し、金融機関はとにかくお金を借りて欲しい。お金を借りてもらうためにはローン金利を下げればいいという単純な理屈ですが、では、ローン金利が下がることによりデメリットはないのでしょうか?実は、あるんです。ローンの金利が下がってあえて苦労しなくても低金利ローンが借りられることになる、そのデメリットが。

低金利ローンのデメリット?

ローン金利が下がると、金融機関の利益が下がります。借り手にとっては嬉しいことです。また、マイナス金利の影響で、今まで色々と低金利ローンを探し回っていた人にとっては軒並み金利下落の可能性があることも嬉しいことです。地元の金融機関を除いてみたら前より金利が下がっていた。だったら地元の金融機関で借りるのもいいかな?と思うかもしれません。

しかし、良いことだけではありません。マイナスポイントが二つあるんです。

マイナスポイントの一つとして、ローンの特典が減るということ。今まではローンの金利がどれだけ低いかもローン選択の要点ではありましたが、それぞれの金融機関独自でつけている特典も魅力でした。しかし、金利を低くするとその分儲けが減りますから、保険や家事代行サービス、他サービスとの併用でのローン金利優遇、各種優待が消えてしまう可能性があります。金利を優遇しようにもローン金利が軒並み下がる可能性が高いので、これ以上優遇ができない、そして特典を継続する余力がなくなるということですね。

もう一つのデメリットとは?

もう一つのマイナスポイントとして、手数料が増えるということ。

ローンは純粋にお金を借りるだけというわけではなく、ローンによっては抵当を設定したり、保障機関に保証人代わりになってもらうことをお願いしたりしますよね。それぞれには手数料が必要になります。今までは金融機関側で手数料をサービスしてくれることも多かったのですが、今後はきっちり取られるだけでなく、マイナス金利の状況によっては、割増で取られる可能性もあります。

金融機関が日銀に利息を払う。そうすると金融機関の損失が大きい。お金を預けておいてもマイナスが大きいから借りてもらおう!借りてもらうためにはローンの金利を下げなければならない。ますます損失が大きくなる。なら、今まで無料だったサービスや、手数料をサービスしていたところからいただこう。こんな理屈です。ローンに必要となる手数料はがっつりいただき、その上でローンに関する入出金、返済、その他のサービスにも手数料が必要になる可能性があります。

けっきょく、低金利のローンが出回っても、他の部分で金利分取られてしまう可能性が高いということです。計算してみたら、ローン金利で下がった分より最終的に手数料の方が高くなっていた!ということさえあるかもしれないのです。

低金利ローンと銀行の選び方

金利の低い低金利ローン。マイナス金利で探すのが楽になるのは嬉しいですが、ただ喜んでばかりはいられません。軒並みローン金利が低くなったとしても、今までついていた特典がつかなくなったり、本来は手数料が不要だったところ、手数料がサービスされていたところで値上げや、新たに手数料要となる可能性が高くなります。必要手数料を合算したら、けっきょく低くなった金利分が取られていたということだってありえます。

そこで、今後の低金利でかつ優良ローンなを見分けるコツが大切になります。

コツは、ローンの金利だけ見ないこと。金利が低くてもその他のところで手数料がたくさん取られては意味がありませんから、必ずどんな手数料が必要になるのか、また、その金融機関の一般的な入出金サービスを利用するにあたり手数料は必要になるのかが重要になります。

今はまだ手数料にはそこまで動きは出ていませんが、マイナス金利が本格化すると、ローン金利を下げる代わりに手数料の値上げや、ちょっとしたサービスにも手数料が必要になることが予想できます。金融機関のローンが軒並み低金利するなら、今度はローン周りの手数料で判断する、これが重要でありローン選びのコツになるでしょう。

低金利ローンで住宅取得もお得に

住宅ローンも低金利ローンを探すまでもなく、マイナス金利の影響で比較的借りやすく、金利も低くなることが考えられます。ただし、これまで手数料無料キャンペーン、手数料割引キャンペーンがよく行われていた保証料や、住宅ローンについていた特典に関して、キャンペーンが少なくなり、特典が少しずつ少なくなってゆく可能性があります。

金利優遇も重要ですが、マイナス金利により金融機関は痛手を手数料に転嫁する可能性を指摘されているので、住宅ローンを申し込む際の手数料部分も比較することが重要です。

低金利ローンで車購入もしやすくなる?

車の関するローンも借りやすく、金利がマイナス金利の影響で低くなることが考えられます。ただし、今までローンに付属していたロードサービス系の特典が、無料だったはずなのに今後は割引になるだけということも考えられます。

低金利ローンで借り換えも有利に?

借り換えをすると利息の削減にも繋がり、人によってはかなりお得になることがあります。ただし、金融機関によっては借り換えの審査や条件が厳しいところもあります。しかし、今後はどうなのでしょう。

金利自体はマイナス金利が続くと低くなると考えられるのですが、借り換えの審査自体が緩くなることはあまり考えられません。なぜなら、金融機関側がマイナス金利の影響でローン金利を低くすることと、貸したお金を回収できるかどうかを判断する審査は別物だからです。

お金を回収できなければ金融機関はとても困りますから、金利面では借り換えでお得になることがあっても、審査面がマイナス金利の影響で優しくなることはないのではと思います。

今後のお得な低金利ローンとはつまり?

マイナス金利の影響で、ローン金利が下降の兆しを見せています。この状況が続けば、あえてネットで低金利ローンを一生懸命探さなくても、どこもかしこもローンは低金利になるかもしれません。そんな世の中で、どうやってさらなるお得なローンを選択するかが重要になります。

ポイントは三つ。手数料。そして特典、キャンペーンです。

マイナス金利により金融機関が日銀の預け金に対し手数料を支払うことになると、けっきょく、その分をお客さんの手数料に転嫁するのではないかと指摘されています。また、今までどんどん行っていた手数料割引・無料キャンペーンやローン特典を打ち切ることといった、マイナス金利によるデメリットが考えられます。

そこで、どこもかしこもローン金利が低くなったら、もう一歩踏み込んで、手数料、特典、キャンペーンを比較してみましょう。同じローン金利でもA銀行は奮発して保証料割引キャンペーンをしているのに対し、B銀行は保証料そのまま。こんな時は、手数料で比べるメリットがあります。

お得のその向こう側に、一歩踏み込んで、手数料や特典、キャンペーンについて考えてみてください。そこにデメリットが反映していないか、よく見ることが重要です。