《合同会社編》起業家目線で考える法人登記・会社設立のポイントまとめ

初めて独立するときや法人登記する際に注意してほしいポイントはたくさんあります。わからないことだらけの会社設立ですが、ネットでググると税理士や司法書士といった士業目線でのコラムが多く、起業家目線でのコラムが少なかったため、2016年に会社設立した立場からポイントをまとめました。

自己紹介

起業家と偉そうなタイトルをつけましたが、実態は個人事業主と大差ありません。法人取引が中心になるため最初から法人登記しただけです。会社設立にあたって反省点や失敗した経験がたくさんあるので、これから法人登記を検討する人には注意してほしいと思います。

今回まとめたポイントですが、合同会社をまったくのゼロから新規設立した立場からまとめました。法人登記と一言で言っても株式会社と合同会社で内容が違ってきます。また新規で法人を設立する場合と、個人事業主から実績を積んで法人化する場合でも、ポイントは少し違ってくると思います。一方で共通する部分もあります。参考程度に読んでいただけると幸いです。

法人登記・会社設立のメリット

節税対策

毎月の利益が50万円以上なら法人化したほうが節税できると言われています。個人事業主で1000万円を稼いだとすると、この1000万円に対して税金がかけられます。一方、法人の場合は役員報酬があります。

役員報酬は経費にできるので売上は同じでも会社の利益が減らすことができ、結果的に節税できます。また役員報酬は給与所得控除というメリットもあります。

法人取引

法人取引が発生するなら法人化するメリットがあります。特に営業会社の場合、大手企業の新規開拓・口座開拓の際に個人事業主だと都合が悪いことが多いです。私はこの理由から最初から法人化しました。

起業する前に知っておきたい会社設立のメリット9つとデメリット5つ | inQup

合同会社とは

合同会社は会社形態の一つです。最初に悩むのが株式会社にするか合同会社にするかです。合同会社の立場ですが昔の有限会社とほぼ同じと認識して問題ないと思います。株式会社よりも設立費用が安く、設立手順も簡単です。

司法書士への依頼料含めて約10万円ほどで設立することができます。2006年に有限会社法が廃止されたため、2017年現在では新規で有限会社を設立することはできません。譲渡されるか買収するしか手に入れられません。

合同会社は決算非公開や株主総会非設置などの特徴(メリット)があり小規模な会社に向いています。デメリットは社外的な信用度の獲得で考えると株式会社のほうが高いことです。とはいえ最近では大手企業も合同会社で設立する会社も増えてきています。

有名なところと言えばアマゾンジャパン合同会社、Apple Japan合同会社、日本アムウェイ合同会社、日本ケロッグ合同会社です。

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ポイント1:会社設立日

会社設立日は覚えやすい日がおススメです。どうでもいい人もいますが、私は会社設立をわかりやすく1日付にすればよかったと少し後悔しています。なんの意味もない日だと年に数回だけ発生する会社設立日を記載する際に「いつだっけ?」と混乱します(覚えろよって話ですが…)

ちなみに3月か4月に登記すると期末は2月か3月になります。これは多くの会社の会社決算日と重複するので、税理士さんとしては嬉しくはないそうです。税理士さんの問題は経営者にとって関係ないと思われますが、期末期初に相談したいことがあっても多忙のため、対応が遅れるのがちょっと嫌だと思う人は避けたほうが落ち着いて対応してくれます。

なお合同会社であれば初回の打ち合わせから法務局への申請まで1週間から2週間程度で設立できます。私は司法書士さんから縁起を担いで大安日をおススメされ素直に従いましたが、結構どうでもよかったとのちのち思いました(^_^;)

ポイント2:税理士契約について

税理士とは最初から契約しました。最初は自分で会計ソフトを導入し、申告など対応しようと考えていましたが、自分で全て対応した先輩経営者から「やめたほうがいい」とアドバイスされたからです。企業規模が小さくても大変だと言われて、知人経由で税理士さんと契約しました。

税理士は経費精算だけに限らず法人設立届出書の代行や源泉徴収票の対応やマイナンバー管理など自分では知識不足・理解不可能な部分をカバーしてくれます。私なんか法務局に新規設立届を出すだけOKだと思っていました…。税理士さんが各市区町村の税務局や都税局にも申請が必要だということを親切に教えてくれ、届出書も作成してもらいました。

特にサラリーマン出身や営業畑出身の場合はそういった業務をしてこなかった人で、計算が苦手な人も多いと思うので自分で対応するのはかなり厳しいと思います。管理部や総務部が代行してくれていたことを自分でやるのは物凄く大変です。

月額顧問料ですが安くても月額15000円~2万円(決算は別料金)が相場になっていましたが、私は知人の紹介経由で激安価格にしてもらいました。ただし訪問頻度はゼロで、連絡もたまにもらえる程度ですが…。

顧問税理士の報酬相場 - 税理士ドットコム

ポイント3:資本金

資本金の額があまりに少額だと、銀行口座開設の審査に通りづらいことがあります。私は「資本金とは会社運営上、常に口座に保持していなければいけない金額」だと勘違いしていましたが、「会社設立時にいくらあるのか」の一指標でしかないことをこのとき始めて知りました。銀行口座にある金額を全額、資本金として設定することをおススメします。

ポイント4:銀行口座

法人登記の住所や資本金等も審査に影響する可能性があるので、注意してください。クライアントに請求書を送付する際に個人口座だとちょっとダサいですよね。会社口座は欲しいところです。

しかし、銀行口座は半年間は諦めたほうがいいかもしれません。私はみずほ銀行と三井住友銀行に設立直後にお願いしましたが、審査に落ちました。半年後にようやく東京三菱〇FJ銀行で法人口座を開設できました。

ただし、私は大手銀行だけにチャレンジしましたが、もしかすると地銀や信用金庫はちょっと審査が緩いかもしれません。地元の若い起業家を応援している銀行もあるのでダメ元で申請してみてもいいと思います。

もしも個人事業主として活動実績があるなら、利用している銀行にならチャンスはあるかもしれません。「1年間で500万円の売上があるけど、将来を考えて会社登記しました。ついては法人口座を作りたい」という主旨を伝えたら、チャレンジしてみる価値はあると思います。

バーチャルオフィスで銀行の法人口座を開設するための条件9選 | 日本橋・新宿のバーチャルオフィスならMETSオフィス

ポイント5:法人登記は専門家に依頼

私はバーチャルオフィス(レンタルオフィス)が司法書士と連携していたため、依頼しました。法人登記も最初は自分で挑戦してみようと考えましたが、やっぱり素人には難しかったです。

電子定款なら設立費用が安く出来ますが、ICカードリーダを新規で購入する必要があり、結局は専門家に頼んだ方が安くて便利だと気づきました。法務局で申請書類をミスって申請不受理になっても面倒だし、ここは素直に司法書士や行政書士に依頼するのが一番だと思います。

司法書士と税理士は連携しているところが多く、ある程度の規模になれば事務所スタッフに資格者が揃っているところも多いので、一つの事務所だけで完結することができます。人によっては司法書士と税理士の両方の国家資格を持っている人もいます。

ポイント6:法人登記の住所

法人登記の住所は自宅をおススメします。金融機関で法人口座を設立するためです。私はバーチャルオフィスの住所で登記しましたが、銀行審査に落ちてしまいました…。バーチャルオフィス(レンタルオフィス)だとオレオレ詐欺の影響で審査に厳しく、ほぼ審査に通過しません。

逆に自宅だと「住んでいる」ことが証明されるため、バーチャルオフィスより逆に金融機関の審査上は少し有利みたいです。ただしHP上や請求書など様々な部分で自宅の住所を公開しなければいけないというデメリットも発生します。

銀行がバーチャルオフィスの法人口座開設を断る2つの理由 | 日本橋・新宿のバーチャルオフィスならMETSオフィス

ポイント7:会社印鑑

司法書士や行政書士に依頼する際に「ついでに印鑑も一緒に注文しますか?」というケースが多いかと思いますが、一緒に作成をお願いしちゃいましょう。自分で注文するのと大差ない金額で注文できる場合が多いです。ゴム印も便利なので、一緒に注文できるのであれば、注文しておくことをおススメします。

まとめ

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会社設立について本やネットで調べるのもいいですが、一番は気軽に相談できる経営者仲間を作ることです。できれば同じステージに近い経営者仲間がいればベストです。同じ業界や同じ地域で活躍している人のアドバイスは貴重です。情報交換できる仲間を頑張って作りましょう!