花粉症の歴史とスギ花粉の対策状況を調べたら絶望した話

日本人は3000万人以上(国民3人に1人)の花粉症患者を抱える花粉症大国。私も数年前に発症してから、目がやられています。国民病とも呼ばれるこの花粉症は将来的になくなるのか、スギ花粉対策の状況から将来的に花粉症に悩む時代はなくなるのか調べてみました。

花粉症の歴史

そもそも昔はアレルギーという言葉がなかったので、花粉症の人がいても花粉症と認識されていなかった可能性があります。また昔は広葉樹(杉が少なかった)が多かったですが、戦後にほぼ針葉樹林に変化したことも大きな要因です。

日本で1960年頃からスギ花粉症が急増した原因としては、農林水産省が推奨してきた大規模スギ植林が主に挙げられている。戦後復興や都市開発などで日本では第二次世界大戦以後木材の需要が急速に高まったが、一方で国内木材の供給量は不足気味で、林業の拡大と造林は 当時の日本において急務であった。このため農林水産省は戦後に拡大造林政策を行い、その一環として各地にスギやヒノキなどの成長率が高く建材としての価値が高い樹木の植林や代替植樹を大規模に行ったが、その一方でスギ花粉の飛散量も爆発的に増加することになり、大量のスギ花粉を曝露した日本人がスギの花粉症を発症することにもつながった。また高度経済成長を経て日本では林業が衰退し、木材も外国からの質が良くて安い輸入品に押されて国内スギの需要が低迷するようになったため、大量に植えたスギの伐採や間伐なども停滞傾向となり、花粉症原因物質であるスギの個体数が増加していることも花粉症患者の増加傾向の要因となっている。

引用:スギ花粉症(Wikipedia)

1960年~1970頃から成長力に優れたスギを植えまくったけど、品質が低すぎたり、外国産のほうが高品質だったり、国内需要が減り、林業の衰退が重なり、放置状態とのこと。最悪じゃん!

しかも昔は地面の土が多かったため、花粉が地面に吸着されていたらしいですが、現在のアスファルトやコンクリートになってから花粉が吸着・分解されにくい地盤になってしまい、再飛散するという状態になってしまったそうです。

出典:スギ花粉は樹齢何年から増える?

植えてから30年後に花粉を発生させるスギさん。そのころの負の遺産が花粉を飛ばし続けます。つまり今年植えた対策杉の効果があらわれるのは早くて30年後。とりあえず国が管理している国有林の杉全部を切り倒してもらえませんか?(´・ω・`)

なお北海道と沖縄にはスギがほとんどないらしく、スギ花粉症がほぼ存在しないらしい。北海道への移住を本気で考えました。

2018年最新の花粉症対策杉(対策杉)の状況

花粉量がゼロか微量の「花粉症対策杉(対策杉)」の苗木の生産量が近年、急増していることが12日までに分かった。林野庁によると、2016年度の生産量は、前年度比25%増の533万本に達し、同年度の杉苗木に占める割合は25%に上った。苗木の元になる、枝先や種子を供給する成木が増えたことで、苗木の増産ペースが加速している。一方、植林面積に換算すると、国内の杉の人工林面積の0・1%に満たず、取り組みの一層の推進が求められる。

引用:花粉症対策杉 苗が急増 16年度生産量の25%に

植林が国内の杉の人工林面積の0.1%に満たない現状に絶望しました。林野庁は2017年度には少花粉品種などを1000万本に増やすことを目標にしていたそうですが、どうやら未達成の模様です。

現状の対策状況は1歩進んで2歩下がる

花粉症への対策を進めようと、国内では1999年度に植林用の苗木生産が開始。16年度に生産された杉苗木全体に占める対策杉の割合は25%で、前年度比3ポイント増。同庁は、32年度までに同割合を7割にする目標を掲げる。

1999年から始まった少花粉型や無花粉型の対策杉が、ここ数年で25%になっていると意味不明に誇っていますが、これだけ花粉症に悩む人間がいる中で、25%・・・。つまり、花粉症対策されていない75%の苗が普通に生産されている。約14年後には70%を目標にしているが、なぜ100%にできないのか。悪意すら感じます。もはや犯罪行為。

個人が管理しているスギが多いこともわかる。森の保水力維持など防災上や人手不足の問題で一気に伐採できないのはわかる。しかし、植林だけはマジで止めない? 現状の対策状況は2歩下がって1歩進む感覚。いつまでたっても、花粉症が解決しないじゃん!

対策杉以外を植えたら罰則か税金を設けて規制すべき。花粉症による経済的損失は約1兆円とも呼ばれており、いまなお発生患者は増加傾向。医療費を圧迫しているのに全然進まない現状に製薬会社が裏で暗躍しているとの噂まであります。

なんでいまだに花粉スギを植えるの?馬鹿なの?ドMなの?

2015年、花粉の飛散数は関東地方で昨年の2倍になると予測され、新たに花粉症になる人も増えている。今なお毎年1600万本近くの苗木が生産されているが、花粉が少ない品種の植え付けは全体の10%強にとどまっている。

引用:スギは毎年1600万本も植えられている。花粉症が今や「国民病」といわれているのに

国内に1029万へクタールある人工林のうち、現在もスギは4割以上を占めている。2013年度に植林されたスギの苗木は1581万本にも達しますが、対策杉はわずか201万本で、全体の13%にとどまっていました。3年で13%から25%に上昇。全然進んでいないですね。

一般のスギに比べて花粉量が1%以下の少花粉品種は130種類以上あり、技術的には花粉症を撲滅させることはすでに可能と判断できます。

東京都が撲滅宣言してから約10年経過したが遅々として進まず

「花粉の少ない森づくり」事業は開始から約10年が経過し、その間、都知事は猪瀬直樹氏、そして現職の舛添要一氏へと替わった。森林課によると、スギの植え替えは毎年60ヘクタールずつ進んでいるという。東京都の森林面積は約2万ヘクタール。単純計算しても、すべてを植え替えるのに300年以上もかかる。気の遠くなる作業だ。

引用:http://biz-journal.jp/2015/03/post_9222.html

2006年から始まった東京都の花粉の少ないスギに植え替える「花粉の少ない森づくり」事業。期待していましたが、10年で600ヘクタール。単純に2万ヘクタールすべてスギだと考えると10年で植え替え進捗率3%。絶望的すぎるΣ(・□・;)

花粉症は不治の病

病原菌に対する免疫と同様、体内に「花粉は異物である」と情報が記憶されるため一度花粉症が発症すると、原則的に花粉症の自然治癒は困難であると言われています。

つまり一生、症状を和らげる対処療法で我慢するか、マジで日本中からスギを伐採するかの究極の2択しかありません。

総括

資料:林野庁業務資料(平成24年3月31日現在)

植林面積で見ると、杉全体に占める対策杉の面積は依然小さい。杉の苗木は一般的に、1ヘクタール当たり2500本程度の密度で植林するため、16年度の苗木を植林面積に換算すると約2000ヘクタール。国内の杉の人工林の面積448万ヘクタール(11年度)の0・04%にとどまる。

仮に苗木を100%にしても、国内全ての杉が対策杉になるには100年以上かかるそうです。一説には500年以上かかるとも言われており、林業の人手不足、国内需要の減少など問題が山積みですが、団塊世代の負の遺産を孫の孫の代で解決できれば大成功といったところか。

18年度予算案で、花粉発生源対策の事業にわずか1憶円しか計上されておらず、森友問題以外の森にも注目してほしい。誰か国会議事堂に最強の細菌兵器と言える大量のスギ花粉をばら撒いてほしい。今年は2017年と比較して飛散量は2倍程度と言われている。どうやら死ぬまで我慢の日々が続きそうです。