少女漫画の名作『ガラスの仮面』は現在49巻まで発行されています。49巻が発行されたのは2012年の10月。すでに3年の月日が流れています。その間にも50巻の発行予定は幾度も延期となりネット書店には発行日が確定しないまま、発行を待ちわびる読者のレビューで埋まるほどです。『ガラスの仮面』50巻にまつわる事柄をまとめました。
『ガラスの仮面』50巻。みんなが気になる発売日はいつなの!?
発売日は「未定」...。現在までの発行ペース
ガラスの仮面は1976年から『花とゆめ』で連載開始され、2015年現在、39年目です。それまでに発行されたコミックスは49巻。49巻発行は2012年ですので、既に3年の月日が経過しています。原作者である美内すずえの執筆のペースに左右されますが、最近の発行ペースは比較的緩やかです。直近9巻分の発行ペースを見ると
41巻が1998年12月25日
42巻が2004年12月25日
43巻が2009年1月30日
44巻が2009年8月30日
45巻が2010年9月30日
46巻が2010年10月29日
47巻が2011年7月26日
48巻が2012年2月25日
49巻が2012年10月5日と、なっています。
41巻から42巻まで6年、42巻から43巻まで5年の月日が流れています。43巻以降は、それほどスローペースではないと思えますが、通常連載を継続していれば、3~4か月に1冊のペースでの単行本が発行されるはずです。『ガラスの仮面』では、連載が継続的ではないという前提において、単行本の発行ペースにばらつきが出てしまいます。
こうした休載により物語の進行スピードが遅延し、時代背景に矛盾が生じてきているという問題がおきてしまっています。もともとは1976年に連載開始され、北島マヤは当時13歳の中学生でした。作中で高校を卒業し、その後女優に専念していますが、時間の流れから言えば1980年代半ばのはずです。
しかし、作中では速水がノートパソコンを使用し、桜小路優は携帯電話を使用し始めました。このような矛盾が生まれてしまうほど発行スピードが遅いのには『ガラスの仮面』ならではの理由があります。
連載時の漫画が、コミックスに収録されてない?
雑誌掲載時に、主人公の北島マヤが、速水真澄にチョコレートをあげるというエピソードがありました。プラネタリウムで速水真澄が星が好きだと聞いたマヤが、星のチョコレートを贈り、それを持っているのを見た速水家の使用人がコソコソと噂話をし、チョコレートを一口食べた速水が「甘いな…心までとろけていきそうだ…天の川ミルキーウエイ…!」というモノローグが入るというエピソードです。
しかしこのエピソード、コミックス収録時にはバッサリとカットされてしまっているのです。コミックス未収録エピソードを収録した冊子にも収録されておらず、幻のエピソードとなっています。何故このような事が起きてしまうのかというと、美内すずえはコミックス収録時に、原稿を書きなおしてしまうというのです。
なんでこんなに時間がかかるの?
美内先生いわく「結末は決まっている」とのこと。でも先生ならではのこだわりが...
原作者である美内すずえは「完成したものしか見せたくない」完璧主義だそうで、そのためコミックス収録時には、改めて描きなおし収録されていると言います。描きなおしは、漫画の絵だけではなくそのストーリーまで描きなおしをしてしまうため、連載時とコミックスでは展開が異なってしまうという、ねじれ現象が起きてしまっているのです。
そもそも連載すら休載が多いのであれば、時間をかけて書き上げてから雑誌掲載すればいいのではないかと思ってしまいますが、とにかく書きなおしてしまうらしいのです。このため、チョコレートのエピソードもまるまるカットとなり、紅天女の試演舞台が劇場から駅の跡地である廃墟に変更されたりなど、楽しみで雑誌掲載から読んでいた読者が、コミックス版を購入後に展開が異なる事に気付き、雑誌を処分してしまった事を嘆く声も多くありました。
ファンの有志が、雑誌掲載時とコミックス収録時にどれほどの改稿があるのかまとめたファンサイトまで存在します。実は、美内すずえの漫画作品は『ガラスの仮面』以外にも『アマテラス』『聖アリス帝国』などの作品も終わっていません。
このように全編書きなおしをしているようでは、いつまでたっても終わらないのではないかと心配するファンの声も多くあります。
ぶっちゃけどこまで出来てるの?
実際、50巻に収録されるエピソードは、現在どれほど出来上がっているのでしょうか。最近、『ガラスの仮面』の劇中劇である『女海賊ビアンカ』が、舞台化された際、作者の美内すずえが、『ガラスの仮面』50巻について語ったそうです。
既に発行予定からかなりの年月が経っているのにも関わらず出来上がっているのは「三分の一」だといいます。50巻の展開に限定された話ではないですが、美内すずえは『ガラスの仮面』の展開に関して、80%は出来ていると語っています。そのラストシーンになかなかたどり着かないと述べています。
白目の大ゴマが多いからではないかという辛辣な意見も目立ちますが、それもファンの期待から出てくる言葉です。『ガラスの仮面』のラストについては「舞台と恋愛の双方が成就することはない」と述べており、単純なハッピーエンドではなさそうですが、正直それもアテにならない予感がします。実際今出来上がっていないのならば、この先どうなるかはまったくわかりません。
美内先生は次号の展開を考えず、「このあとどうなるの!」と読者を引くラストで締めることを優先して描くタイプだそうで、そのためコミックス収録時には、ストーリーの流れを優先に書きなおすという手法のようです。
しかし、例えばテレビドラマで好評を博した作品が、DVD-BOXになった時にテレビドラマの展開と異なっていたらどうでしょう。しかも、放送時のエピソードは収録されていないのです。こうした手法は、大御所である美内すずえにのみ許された方法だとも言えます。
美内すずえも既に60代の半ばです。それゆえ、ファンも最後まで読めるのかという心配があるようです。
待ちわびるファンの悲痛な叫び
スピンオフする前にやることあんだろ!というツッコミの集中砲火を受けたアニメ『ガラスの仮面ですが』の映画版。たしかに、コレジャナイ。
少女漫画の人気作品『イタズラなkiss』では、作者の多田かおるが連載途中で病死してしまい、主人公の琴子の妊娠がわかったところで物語が終わってしまったという事がありました。展開を楽しみにしていた読者は、作者の病死というショッキングな事件にも涙しましたが、主人公の妊娠という大きな大事件の後が読めないという事にも大きな悲しみを持ちました。
そのため、『ガラスの仮面』でも、美内すずえが存命のうちに書き上げて欲しいという意見が目立ちます。
私が生きてるうちに終わらないと思い始めてる
出典: girlschannel.net
しばらく出ないと思う…いつかな?まだかな?って、もう待つの疲れたから忘れる事にした。すっかり忘れた頃に「近日発売」の知らせを聞きたい。
出典: girlschannel.net
3月末の発売予定が5月末に延期になってすごくがっかりです。ここまで買い続けてきたからには完結まで買うつもりですが、もうちょっと発売のペースを上げて欲しいです。
出典: review.rakuten.co.jp
ネット書店や、インターネットでの『ガラスの仮面』50巻を待ちわびる掲示板には、悲喜こもごもともとれるファンの言葉が綴られています。元々、41巻から42巻まで6年、42巻から43巻まで5年の月日が流れたものの、やはり待ちきれないという意見が目立ちます。
また、正確にいうと長寿連載とは言えませんが、長く発表され続けている作品なため、作者の美内すずえのみならず、読者も高齢化しており、なかには3世代に渡って読み続けているという意見も目立ちます。
70代の方から「寿命があるうちに終わらせてください」というメールをいただいたこともありました。(完結を)あきらめているわけではないので、根気がいるけど、見守っていてくださいとしか言えないですね(笑)。ファンの皆さんには、健康でいてください、と。ラストを見届けることをモチベーションに長生きしてください。
出典: www.oricon.co.jp
これは、作者の美内すずえ自身の発言です。連載開始から40年近い時間が経ち、それでも終わらぬストーリーというのは、それだけ多くの人々に支持されているという事に他なりません。
50巻の展開を予想
49巻のあらすじをおさらい
『ガラスの仮面』最新刊の49巻では、マヤと速水真澄、そして速水真澄の婚約者である鷹宮紫織との三角関係のドロドロ愛憎劇が中心でした。48巻で自殺騒ぎを起こし、精神を病んだ紫織の父は、速水になんとか娘と無事結婚してくれと懇願します。
もともとは大都芸能の政略結婚のだった縁談ですが、紫織が速水を本気で愛してしまっているため、若干速水の方が優位にも感じますが、紫織がマヤに手切れ金を渡した事から、速水は紫織に対して不信を抱いているように感じます。
速水が、自分のマヤへの気持ちに気付いていることから、紫織とどう別れようか考えているようですが、紫織は紫織で、自殺未遂の後に、今度は家に放火します。そして、大邸宅の庭の池にプカリと浮かびます。何してるんでしょうか。ちょっと怖いです。しかし紫織のこの行動は、自分が原因で紫織が病んでしまったと、速水が自身を責める事となり鷹宮家との結婚を了承する事となります。
また、亜弓は失明の危機に見舞われながらも、紅天女を目指して努力中です。そんな亜弓の姿に、密着カメラマンのハミルは惹かれていきます。マヤと速水の危機の最中、こちらはこちらで失明するかもしれない状況でありながら、ひたむきに演技に向き合う亜弓へのハミルの想いを応援したくなります。
速水は、マヤとの決別を覚悟しましたが、マヤのために暗躍してくれている聖が、速水からマヤを奪うという発言をした事により自分の本心と向き合います。でも、鷹宮家との結婚を了承した後です。そして、速水は家を出ます。いい大人が家出もないものだと思いますが、速水家との決裂を覚悟しているようです。そして、マヤの元には「紫のバラのひと」から面会が申し入れられます。
ここまでが49巻のあらすじです。50巻では、マヤと紫のバラのひととして速水が対峙するのかどうかに、ファンの関心が集まっています。
50巻では遂に結ばれるの!?マヤと真澄の関係はいかに
…悲しいお知らせである…。5月27日発売予定の「ガラスの仮面」50巻は発売延期となってしまった…。楽しみにしていた皆には本当に申し訳なく思う…。すまない…。49巻でホームレスとなった身には、一刻も早く居場所を用意して頂きたいものだ、美内先生…。
— 速水真澄 公式ツイッター (@masumi_hayami) 2013年4月19日
速水真澄公式ツイッターで、50巻発売延期のニュースが流れたのは2013年4月です。既に2年の月日が経過し、2年の間、速水は家なき子のままです。紫のバラのひとである速水がマヤを呼び出したのは伊豆です。これが速水家の別荘だったら、家を出たという速水の行動にも若干の疑問を感じますが、50巻では伊豆での対面劇となるのではないかという予想が繰り広げられています。
でもさ、今って試演1週間前ですよね。マヤちゃん、伊豆に行ってる暇なんてあるのかい??紫織さん問題もあるし・・・。伊豆で出会うのは試演前?試演後??
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マヤと速水の対面も大事ですが、時は既に紅天女の試演舞台が1週間後に迫っています。皆、行ったら1週間では済まないと踏んでいるのでしょうか。そもそも2年も経っているので、どうにも出来ないような気もします。このまま発行が延期してしまうと、東京から伊豆まで何かしらの高速移動手段が生まれてしまうような気すらしてきます。
「待つ」事に対して疑心暗鬼になるファン
50巻は伊豆編になるんだろうなあと思います。しかし、美内先生なので、最後まで油断は出来ません。
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伊豆!?って引っ張ってるけど、伊豆は50巻では早い気がするので、でてこないんだろーなー。でも「紫のバラ」には何か動きがあるとは思うんだけど。動くのは聖さんだろうけど。
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これまで何度も発行を延期されている読者の中には、まさか予想通りに事が運ぶまいと疑心暗鬼になっている様子も見て取れます。伊豆に行くと見せかけて、何かの回想でも入るのではないかという意見もあります。マヤと紫のバラのひとの対面と、想いを伝える事が同義と考えている読者は、それはそのまま『ガラスの仮面』の終結にも通じると感じている人が多いようです。
かつての少女漫画では、主に物語の中で片想いの気持ちの揺れを描き、最終回で結ばれるといった展開が多くありました。ガラスの仮面が連載されたり休んでいる間に、少女漫画の世界では、一度性描写がかなり過激になってしまい、それが問題となり性描写の表現がマイルドになるという流れがありました。
『ガラスの仮面』内では、若き日の月影千草と劇作家尾崎一連のベッドシーンが描かれましたが、これも通常連載を続けていたとしたら出来ない表現だったかもしれないと思うと、長くにわたる休載などで、漫画にまつわる環境も変わったと思えます。
50巻の展開を大胆予想!
あと、妄想にちかい予想ですが 例えば、マヤちゃんは待ってるけど、真澄が行かなくて 聖さんが行き「もし、私が紫のバラのひとだったら?」みたいな問いかけをして マヤちゃんがはっきり「違います」と否定し 聖さん、びっくり!みたいな展開とか、どうでしょう。 「マヤさまは、紫のバラの人の正体に気づいている…!?」みたいな。 そのあと、聖さんがどう動くか、知らないけど。 …この試演直前の忙しい時期に伊豆まで出向いて そんな中途半端でややこしい展開は、やっぱり無いかな(笑)。
出典: masumimurasaki.blog.fc2.com
個人的には有り得そうな展開だと思えます。かなりの期間、自分の気持ちを否定してきた速水ですので、そう簡単に自分の正体を明かすとも思えない気がします。もしくは、匂わせておいて、紅天女が上演した後に真実を告げるよと言うとか、もう少し何か引っ張るような展開があるような気がしてなりません。
このように、ファンは思い思いの展開を予想し、50巻の発行を待ちわびています。
ファンが待ちわびる長寿少女漫画の結末は?
文庫版がコミックス版に追いついてしまいました…。
他の長寿連載作品から読み取る『ガラスの仮面』の結末時期
ガラスの仮面は、連載開始から約40年が経過し、ようやく50巻が出るか出ないかというところですが、その他の長寿漫画はどのような発行ペースなのでしょうか。
現在国内で一番多くのコミックスが発行されているのは、週刊少年ジャンプの『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で、2015年11月現在で196巻まで発行されています。『ガラスの仮面』の連載開始と同じ1976年から連載されており、週刊少年ジャンプという雑誌の特性か、ほぼ休載もなく連載されています。もし、ガラスの仮面も休載なしで連載していたらこれほどのコミックス量になったのかもしれませんね。
少女漫画に限って言えば、小学生漫画雑誌を中心に連載していた『あさりちゃん』が、1978年から2014年までの連載で全100巻となっています。また、『ガラスの仮面』とおなじく『花とゆめ』に連載されている『パタリロ!』は1978年からの連載開始で、現在94巻まで発行されています。『パタリロ!』は番外編などもコミックス発行されているので、シリーズ累計で言えば100巻を超えています。
残された時間と戦う作者と読者
『ガラスの仮面』と似た発刊ペースと言えば、『王家の紋章』は『ガラスの仮面』と同じく1976年連載開始で、現在60巻まで発行されています。気になるのは、『王家の紋章』では、漫画の枠外に作者の細川智栄子のおしゃべりのコーナーがあり、細川の元に届いた読者からのプレゼントを紹介するコーナーがあるのですが、ほぼ毎回なにかしらの野菜を届けていた読者の名前が、途中からぱったり載らなくなってしまったのです。長寿連載につき、読者の方も…と考えてしまいました。
このように、『ガラスの仮面』以外にも、長く愛されている少女漫画が存在し、それぞれのファンが新しいエピソードを待ちわびています。美内すずえ御大も既に60代半ば。ファンもそれに伴い、自身が活きてい居るうちに『ガラスの仮面』の結末に立ち会えるか不安を覚えています。なにはともあれ、まずは50巻の大台突破です。『ガラスの仮面』50巻の発行を、皆が待ち望んでいますので、早々に発行が決まったニュースを聞きたいものですね。