【フラット35】審査前に必ず知っておきたい住宅ローンの対策まとめ

フラット35は長期間固定金利で人気の住宅ローンです。高金利のときに契約した住宅ローンからの借り換え需要にも利用できるようになって、ますます便利になったフラット35の審査前に知っておきたいポイントをまとめました。

住宅ローン「フラット35」とは?

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住宅金融支援機構が提供してるフラット35は、住宅ローンの期間中ずっと固定金利で返済を続けることができるという、長期間のローンでも支払額が変わらない、安心の住宅ローンです。

新築住宅だけでなく、中古住宅の購入でも住宅ローンを組むことができますが、住宅金融支援機構の定める水準以上の物件でなければ、融資の対象になりません。反対に、省エネルギー性に優れた住宅などの質の高い住宅の場合は、金利を優遇してくれるフラット35Sというローンもあります。

他行の住宅ローンからフラット35に借り換えを行うこともできるほか、住宅ローンを組むさいに必要になる保証料はかからず、返済期間中の繰り上げ返済や返済方法の変更にも手数料がかかりません。近年ではフラット35の金利は2%を切る低水準であり、低金利のローンへと借り換えを行う方々にも人気を博しています。

フラット35は時期によって金利が変わる

フラット35の借り入れ金利は毎月見直しが行われており、35年の住宅ローンの場合の金利は、2016年3月現在で1.250%~1.880%となっています。

実は住んでいる地域や取り扱いの金融機関によって金利が異なりますので、新規借り入れや借り換えを検討している場合は、その都度最新の金利情報を確認するようにしてください。また、フラット35の審査が下りてから建築を開始という流れになりますが、適用される金利は工事終了時の金利となりますので注意が必要です。

申し込み会社によっては仮審査と本審査がある

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フラット35を提供しているのは住宅金融支援機構ですが、いざフラット35を申し込むときには、機構に直接申し込みを行うわけではなく、銀行やモーゲージバンクを経由して申し込みを行います。このときに、銀行やモーゲージバンクが、機構にフラット35の審査を申し出る前に、事前に「仮審査」を行ってから、「本審査」である機構の審査に入るケースがあります。

結論からいうと、実は「仮審査」は本審査に影響せず、仮審査でOKをもらっても、本審査に落ちることは多々あります。あくまでも仮審査は機構の審査に入る前に事前に審査に通るボーダーラインを超えているかどうかを検討しているだけにすぎません。ですので、仮審査がOKでも油断してはならないのです。

「仮審査が影響しないなら仮審査に落ちても本審査に通るかも!」と思われるかもしれません。確かに本審査に申し込まないと結果はわかりませんが、仮審査でダメなら、本審査通過も難しいととらえるべきです。

仮審査は本審査通過のための申し込み条件のボーダーラインを越えられるかを検討したうえで審査の返事をしています。仮審査でNGの場合には、何がマイナス要因だったのかを検証するほうが賢明でしょう。

仮審査の結果「留保」と言われたんだけど…

金融機関による「仮審査」の結果、「留保」と言われることがあります。留保とは、仮審査の段階では本審査通るか通らないか判断がつかない場合に用いられ、【通過〇】と【脱落×】の間、いわゆる【留保△】の状態です。留保と判断されると、そのまま本審査を機構に依頼して通過するか、NGをもらうかは機構の判断次第ということになります。

留保と判断されたのち、ほかのフラット35取り扱い金融機関で仮審査を依頼することももちろんOKですが、あくまで「仮審査」での留保という扱いですので、金融機関の審査によってOKやNGに変わってしまうこともあります。

フラット35の審査基準

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前述のとおり新規借り入れ予定の物件によっては物件が審査に通らない(基準以下)の場合もあります。その場合はいくら住宅ローン契約者の属性が良くても審査には通りませんので注意が必要です。

フラット35の審査基準は、住宅金融支援機構のホームページで確認をすることが出来ます。特に銀行からの融資よりも有利な点は【団体信用生命保険】の加入が任意な点です。

団体信用生命保険は、住宅ローンの債務者にもし万が一のことがあった場合に備えてあらかじめ生命保険に加入をし、万が一のことがあった場合はその生命保険の保険金が住宅ローンの返済を終わらせてくれるというものです。

残された家族にとっては大黒柱を失ってさらに住宅ローンも払え!と言われるとどうしようもなくなってしまい、最悪マイホームを売る必要も出てきてしまいます。そうならないための保険です。

しかし、体の調子が悪く、生命保険に加入できない方は住宅ローンの審査に通りません。銀行もとりっぱぐれないためには生命保険がかけられる人しかお金を貸したくないのでしょうね。

この団体信用生命保険がフラット35の場合は【任意加入】になっており、さらに一般の生命保険よりも【加入条件が緩い】仕様となっています。これはフラット35のメリットであり、言い換えれば住宅ローンの審査においては審査に通りやすいといえるでしょう。

フラット35の審査通過に必要な年収は?

フラット35の借り入れの場合、明確に年収によって借り入れ金額が決まっています。総返済負担率(フラット35を含め、他社カーローン・カードローン・クレジットカードのリボなど)が年収400万円未満の場合は30%まで、400万円以上の場合は35%以下までです。

例えば、年収が100万円の場合、年間の返済総額が最大30万円までの支払いに収まるような借り入れならOKということです。他に借り入れがある場合は、その借り入れの毎月の返済額を12で掛け算して、30万円から引きます。 ●30万円ー年間の他社返済額(例:カードローンの借り入れ月1万円支払い×12か月)=18万円

この場合、ほかの借り入れの返済が邪魔をして、フラット35は年間18万円の返済額で収まるようにしか借りられない、ということです。

年収は審査基準というより、返済額の上限設定のためにある、と認識してください。当然ですが、年収400万円の自営業1年目と、同条件の正社員1年目なら、正社員のほうが支払い能力は上とみなされますので、年収がいくら高くても総合的に判断した結果、審査NGということも普通に起こります。

また、フラット35の場合の【仮審査】は審査通過の目安程度で、仮審査(取り扱い金融機関)OKでも本審査(住宅金融支援機構の審査)NGは多々あります。

審査で使う必要書類は何があるの?

大きなお金が動く契約になりますので、提出書類も厳格になります。一つでも不備があると再提出を求められますので、時間が大幅にロスします。チェックをしてから提出しましょう。

【提出物】 ・所得を証明する書類(源泉徴収票・事業所得がある場合納税証明など) ・住民票(家族全員の記載のあるもの) ・印鑑証明書 ・健康保険被保険者証のコピー ・本人確認書類(免許証コピーなど) ・購入予定の物件の内容がわかるもの(土地の募集広告や建物のプランなど)

物件の内容がわかるものは一番簡単なのは不動産会社が作成した重要事項説明書になります。重要事項説明書は契約の前段階で必ず確認が行われる重要な書類だけに、建物や土地の詳細な情報が記入されています。

もし、重要事項説明よりも前の段階で審査をしておきたいということであれば、建物の見積書と土地の登記簿謄本など、詳細に土地についてがわかるものを用意する必要があります。法務省のホームページから、不動産の謄本取得が可能になっていますので、そちらをおすすめします。

フラット35の審査は自営業でも大丈夫?

自営業の方はローン関係の審査に通りにくいことを常々感じてらっしゃると思いますが、フラット35の場合は、銀行融資に比べれば、比較的寛容なようです。

自営業の方の場合、所得を証明する書類は納税証明書か確定申告書になりますが、2期分の書類が必要です。前捻の業績だけでは融資額が低く設定されてしまう可能性がありますが、しっかり2期分の書類が用意でき、その内容が問題ないようでしたら、銀行融資よりは寛容だと一般的には言われています。

逆にとらえると、2年間はあまり経費計上しないほうが、後々得かもしれませんね。

団信審査が不安な人でもOK!

民間金融機関のローンを利用する場合は、団信の加入が基本的に義務づけられていることから、団信に加入できない=ローンの借入ができないということも考えられます。フラット35を利用する場合、団信に加入できる方には、団信への加入をおすすめしていますが、団信に加入できない方であっても、融資を受けることができます。

出典:www.flat35.com

フラット35は、団体信用生命保険に加入できなかった人でも問題なく審査してもらうことができます。通常、銀行で住宅ローンを借りようとすると、生命保険の加入が必須となります。一般的に団体信用生命保険とよばれており、ローン契約者(多くの場合世帯主)に万が一のことがあった場合に、銀行が債権を回収しやすくするためという側面と、残された家族の住宅ローン債務の負担を軽減し、土地・建物などの不動産がのこるように考えられた制度でもあります。

しかし、生命保険に加入するためには、健康であることが必要です。BMI指数や直近の疾病歴、入院歴なども加味されたうえで生命保険に加入できるかを保険会社が審査します。

たとえ銀行の審査がバッチリでも、団体信用生命保険(団信)に加入できないと、銀行の住宅ローンは見送られてしまいます。住宅金融支援機構も、フラット35加入者向けの加入しやすい団信を用意してくれています。加入は強制ではありません。

団体加入なので年齢が若い方ほど保険料が高くなってしまうというデメリットがありますので、将来的に住宅購入を考えている方で健康な方は、健康なうちに十分な保障と保険期間の生命保険に加入しておけば、フラット35利用時に団信に加入をわざとせずに、保険料分を節約することもできます。

ですが、単純に生命保険に加入できるのに理由なく加入しないという方は、残された家族の方のためにも、極力加入できる団信には入っておくことをおすすめします。

フラット35の審査期間はどれぐらい?

フラット35の審査期間は、書類がすべてそろった状態の場合、一般的に1ヵ月~2か月とされています。書類が不備なくそろっているという点が曲者です。印鑑証明書や住民票は平日の日中に取得せねばならず、源泉徴収票をもしなくしていれば再発行依頼や納税証明書の発行が必要になります。

審査は取次店(建築会社、不動産会社)からフラット35取り扱い代理店、その後に住宅金融支援機構へと書類が行き来することになりますので、途中で書類不備が見つかってしまったら大きな時間のロスです。確実に記入・捺印・書類の取り揃えを実施しましょう。

フラット35の審査に落ちた…

最近、民間金融機関やフラット35などの住宅ローンの融資の通りが難しいと聞くが原因はともかく景気の悪さを助長しているな、貸し倒れを警戒しているんだろうけど本来の審査能力の欠如からきているんじゃないの。

銀行の住宅ローンよりは条件が緩いフラット35ですが、それでも100%審査に通る保証はありません。仮に審査落ちしてしまった場合、他行の住宅ローンに申し込み直しても同じ結果になることが予想されますので、一旦落ちた理由を探すことから始めましょう。

住宅ローンの審査が厳しいのは当たり前!

フラット35は比較的条件が緩いと説明をしていますが、それはあくまで他行の住宅ローンと比べて、というところを忘れてはいけません。他行ではそもそも審査基準に達していないギリギリな人も要注意です。

住宅ローンの場合、土地と建物を担保にローンを借りることになります。車と同じく有担保ローンと呼ばれています。ですが、日本では建物は一度住めば中古、新築でも1年たてば中古、そして何より一旦建てた家は価値が付きにくく、20年もたてば逆に取り壊しで費用がかかる始末です。家を建ててすぐ売却するにはデメリットが多いのが現状です。審査が厳しくなるのは当たり前ですよね。

そんな中でお金を貸す側はどうやってとりっぱぐれを防ぐかというと、購入予定の不動産に対する抵当権の設定と、団体信用生命保険加入による生命保険金でまかないます。ということは、価値が付きにくい場所にある土地や団体信用生命保険に加入できない人などは、審査を通すことが出来ません。先方も商売なので仕方がないことですが、なんとも世知辛いでよね。

また、不動産(土地・建物)のせいではなく、住宅ローンの債務者予定の方に問題がある場合もあります。

審査に落ちたら信用情報を開示しよう

住宅ローンの審査に落ちた、正直審査が通るか不安というかたは、迷わず【信用情報機関の自己開示】を行いましょう。信用情報機関とは、クレジットカードやローン・割賦販売(携帯電話の分割払いなど)の契約・申し込みの履歴を個人ごとに登録している機関のことです。

ローンなどの金融商品の個人情報の取扱いに関する説明書類には信用情報機関に個人情報を登録します、そしてすでに登録されているものを照会します、といった旨の説明がされています。

実は、個人の信用情報は【自己開示】が可能であり、この自己開示の結果、延滞や金融事故の履歴が残っていた場合、その履歴が審査に悪影響を及ぼしたと考えることが出来ます。

フラット35の場合はどこで開示?

フラット35の申し込み書類を確認したところ、フラット35の審査のさいに照会される信用情報機関は2つありました。

・全国銀行個人信用情報センター ・株式会社日本信用情報機構

さらに上記2社と提携している信用情報機関として ・株式会社シー・アイ・シー(CIC)

株式会社シー・アイ・シー(通称CIC)は指定信用情報機関としてクレジットカード会社や銀行ローンなどは必ずCICを参照し、登録するようになっています。このCICと上記2社が提携を行っているので、事実上3社、フラット35の審査のさいには参照をされることになります。

住宅ローンの申し込みを行って審査に落ちてしまった場合、上記3社を確認する必要があります。

開示の方法は、CICはインターネットから照会し、PDFファイルをダウンロードすることが出来ますが、株式会社日本信用情報機構はインターネットで手続き後、郵送で書類が送付され、全国銀行個人信用情報センタ―にたっては、書類を印刷して郵便局に行って定額小為替証書を1,000円分購入して封入して郵送、その後郵送で書類を送り返してくるといった形式です。すべての機関で手数料がかかりますが、郵便小為替証書を購入するのは2016年3月現在では全国銀行個人信用情報センタ―だけです。

3社とも開示しようと思うと一日がかりの大仕事になってしまいますので、おすすめはCICのみの開示です。もし不手際で延滞していた場合、CICに延滞の履歴が残りますが、この情報は日本信用情報機構日本信用情報機構でも共有をされています。ですので一旦CICを確認して、万が一マイナス情報が乗っていれば審査に落ちたのはそのマイナス情報の可能性が高く、CICに何もマイナス情報が無いのに審査落ちした場合は改めて日本信用情報機構を開示する、といった流れが手数料的にもお得です。

CICを閲覧しても日本信用情報機構を閲覧しても何もマイナス情報がない(収入合算相手も含めて)場合は、個人の属性(年収・勤務歴など)にもんだがあると考えたほうがいいかもしれません。

また、反対に信用情報になにも履歴が無さ過ぎて(無借金・破産者含める)審査落ちすることもありますので、まずは自己開示で原因を突き止めましょう。

【豆知識】クレジットカードの枚数って関係あるの?

住宅ローンの審査のときに、住宅メーカーの担当者やローン担当者からよく言われるのが、「クレジットカードは何枚もっていますか?」という質問です。これは住宅ローンの審査に影響するのでしょうか。

諸説ありますが、基本的に住宅ローンの審査にクレジットカードの枚数は関係はないようです。枚数というよりも、「リボルビング払いの残債」「キャッシングの残債」がローンの借り入れ金額に直接影響します。「クレジットカードの総利用可能枠」が直接住宅ローンに影響するという根拠はないようです。

しかし、持っているクレジットカードの枚数分限界まで借金して逃げる!なんてことも、やろうと思えばできてしまうのも事実ですので、住宅ローン審査のさいに不必要な要素になるぐらいなら、いらないクレジットカードは整理してしまうほうが印象はいいでしょうね。

まとめ

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35年間固定の金利を約束してくれるフラット35は、2016年2月のマイナス金利の導入にともなって、借り換え需要も増えています。事前にどれだけしっかり準備を出来るかが審査の合否を分けてきますので、綿密に建築業者や不動産会社、金融機関と打ち合わせを行っていきましょうね!