円錐角膜手術(角膜内リング&クロスリンキング治療)体験記~病気発覚編~

2015年11月に円錐角膜という目の病気にかかり治療するために角膜内リング&角膜クロスリンキング治療手術をしました。これはその闘病記録です。

発症まで

2011年3月に神戸神奈川クリニックでレーシック(角膜屈折矯正手術)をおこなっていて、両目とも裸眼で1.2程度に回復していました。コンタクトレンズやメガネがいらない生活は天国。まさにこの世の春を謳歌していました。

しかし、左目の視力だけが手術後2年くらい下がり始め、術後2年後から急激に下がってしまいました。最初のころは視力検査しても「その日だけ調子が悪い」「たまたま目が疲れていた」と楽観的に考えていました。

しかし、2015年3月(手術後4年目)になって健康診断の際に視力検査をしたら0.1以下になっていたので「これはもうおかしい」「もしかしたらレーシックの後遺症がおきているのかもしれない」「念のため一度診断しておこう」と思うようになりました。

神戸神奈川クリニックでは「15年保証」とHPで書かれており、「再手術・追加矯正・合併症は無料」をうたっています。「最悪、もう一度手術になるのかな」程度に思って診察しにいったら「円錐角膜(えんすいかくまく)という疾患(病気)になっている。」と想定よりも斜め上の診断をされました。

円錐角膜とは

円錐角膜とはまだ不明な点が多い病気です。通常は丸い形をしていてドーム状の角膜が、ゆがんで凸凹になる病気です。簡単に言うと角膜が円錐状にゆがんでしまう病気。しかも病気の原因は不明。経過がさまざまで予後を明言することも難しいと書かれています。男性のほうが発症率が高いと書いてあったり、別のところでは女性のほうが高いと書かれていたり様々です。

発症率もインターネット上ではバラバラな情報です。私の感覚値からすると手術まで踏み切るのは1万人に1人くらい?かなと思います(症例数が少ないため)。

というのも軽度の場合は乱視と区別できないらしく、発見が難しいみたいです。そのため正確な発症率が不明とのこと。まだ未知の病気ですが、治療法が確立されているのが助かりました。

私の場合も2011年のレーシック手術が直接の原因かどうか特定できません。ただ一般的には思春期に発症し、30歳前後で進行が止まると書かれているため、30歳前後で発症している私は自然発症だとしたら、稀なケースのようです。(追記:20代後半から発症するという記事も見つけました。)

両眼性の疾患(両目で発症する病気)ですが、私の場合は左目しか視力が下がっていませんでした。※将来的に右目も発症する可能性があります。

ちなみにレーシック手術以降、花粉の時期に目が異常にかゆくなりました。そのため花粉の季節は目を凄いこすっていたのですが、「目を強くこすったりするのは良くない。目への刺激が原因という説もあります。」と言われました。

ググってみると同じようなことが書かれていました。こう書くとレーシック受けようとする人は事故や失敗がないか不安になると思います。大丈夫です。安心してください。円錐角膜の発症率よりも交通事故で死ぬ確率のほうが大きいです。

回復の見込みなし

凄いショックだったのがもう手遅れの状態(回復見込みなし)だと言われたことです。せっかくレーシック手術をして1.2以上まで回復したのに。。。_| ̄|○

世界が終わったと思いました。それもこれも0.1以下になるまで放置していた自分の責任です。仕事が忙しかったといえ、検査通院の時間とればよかった。。

円錐角膜はおそらく2013年頃から発症していたと思いますが、短期間に視力が0.1まで落ちたわけではありません。私の場合は大体1年間で0.3くらいずつ徐々に落ちてきました(これも個人差があるらしく数ヵ月で大きく進行する人もいるようです)。

レーシック手術をした際に手術後に視力を落ちる可能性があるという説明をうけていたため、(これもある程度仕方ないのかな。)という考えがあり放置していました。お医者さんに「視力が0.5くらいの段階で来院していれば、手術で回復できていた可能性がある。」と言われ、余計精神的にこたえました。(´・ω・`)

手術を即決で決断

診断の最後に「残念ながら症状が進みすぎて、もう回復は手遅れだけど、ただ進行を止めることはできる。いま手術して進行を止めれば角膜移植しなくても済む。」というビッグキーワードがさりげなく含まれた説明をうけました。

そして「手術費用は全て無料」という力強い言葉を受け、「無料なら<手術しない>という選択肢はないな」と思い、その場で手術を決めました。

術式は最新治療方法?の「角膜内リング&角膜クロスリンキング」に決定しました。神戸神奈川クリニックではこの2つの術式で同時治療をおこない、効果の最大化を図っていると説明を受けました。

なお先生がとても優しくどういう手術なのか教えてくれましたが、一般人の私は「角膜にリングを入れる」という説明を理解できるのに時間がかかりました。最初に聞いたときは(え、この人何言っているの?)と思いました。以下にそれぞれの手術内容を説明したいと思います。

角膜内リング手術とは

角膜内リング手術とは、角膜内部に半円弧状のリングを挿入することによって角膜のカーブをフラットに変える手術だそうです。つまり「角膜の表面がデコボコしている病気なのでリング入れて平たくしますよ」という内容ですね。

さらっと説明されましたが、(えっ。いま角膜の中にリング入れるって言ったよね。リングを目に入れちゃうの??入れられるの?(。´・ω・)?)と心の中で物凄く動揺しました。

角膜クロスリンキング手術とは

角膜クロスリンキング手術とは、角膜にリボフラビン(ビタミンB2)点眼と医療用紫外線を照射することで、角膜の大部分を占める実質コラーゲン繊維の強度を強くする治療です。円錐角膜や角膜拡張症(エクタジア)の進行を抑える効果があります。

角膜移植ってなに?

説明のときに「角膜移植」というドラマか漫画でしか聞いたことが無い単語を聞き、正直(俺の人生詰んだな。)と思いました。

色々な検査をしてみた結果、私は重度一歩手前の状態になっているようです。なお円錐角膜という病気は、失明はしないと説明をうけましたが、(視力が0.01になったら目の役割としてほぼ失明に近くね?(T_T))と心の中で突っ込みました。

円錐角膜の治療法はいくつかあり、その一つが角膜移植らしいです。一度は聞いたことがあるかもしれませんが「アイバンク(角膜銀行)」という組織があり、重度の円錐角膜の場合は角膜移植手術という選択になるそうです。私の場合はそこまで重度ではなかったため、角膜内リング&角膜クロスリンキングという術式になりました。

後日、調べたところ角膜移植は様々な移植手術の中でも成功率がとても高いらしいです。理由として角膜には血管が通っていないため、拒絶反応がなく(←これが一番重要みたい)、ほぼ成功するといっていいようです。(とはいえ簡単な手術ではないことを補足しておきます。)

くわしくはわかりませんが、その「成功率が高い」という記事をみて医療の進歩は凄まじいと感じました。40年後にはメガネを選ぶみたいに「視力検査の結果、あんまり良くないから、目を交換する?」みたいな会話ができるかもしれません。

手術日までの過ごし方

この術式の難点として、すぐに手術できないところがあります。まず角膜に入れるリングですが、「海外から特注品で仕入れる」みたいなことを少し話していました。私の目に合わした特注品のリングを注文するらしいから、注文から日本にくるまで一か月以上かかると説明をうけました。

診察の最後にアイパッドで10分程度の手術に関する動画を見せていただき、「心構えしてくださいね!」的な親切な説明をしていただきましたが、このときはまだ(冗談でしょ?本気でまた手術するの?言っとくけど俺のメンタルはボロボロだよ。)と若干の放心状態でした。

神戸神奈川クリニックは国内最大手の眼科クリニックでレーシックの症例数は、国内トップクラスの実績があり、有名人も多数きています。受付の横の壁に有名人のサイン色紙がズラリ。圧巻の光景です。ホームページの体験談でも有名人の名前がたくさん掲載されています。そんな神戸神奈川クリニックでも円錐角膜の症例数が少なすぎて、(本当に特殊な手術なんだ…オレはなんて運が悪いんだ…)へこみました。

約2ヵ月後の2015年11月初旬の土曜日を手術日に決めました。たぶん4日くらいは仕事を休むことになるから翌週に祝日があるタイミングを選びました。のちにこの考えは甘いことがわかりました。

手術日までの期間、結構落ち込んでいましたが、会社の後輩から「眼帯つければ逆にカッコいいですよ。海賊みたいですね」と言われました。私自身も(あれっ。確かにワンピースみたいでカッコいいかも。)とか考えていました。馬鹿ですね。(つω`*)テヘ

次回、手術編になります。

円錐角膜手術(角膜内リング&クロスリンキング治療)体験記~角膜手術編~

※半年前の経験を思い起こしていますので、一部記憶違いの部分もあるかもしれませんがご了承くださいm(__)m